英语家园

 找回密码
 注册

QQ登录

只需一步,快速开始

扫一扫,访问移动社区

搜索

[日剧剧本] Buzzer Beat 零秒出手(山下智久,北川景子)

发布者: 上官飞飞 | 发布时间: 2010-11-26 17:16| 查看数: 5827| 评论数: 5|

第一回

『恋は人を強くする!!崖ぷちヒーロー始動!!初回特別編』

「俺は強い・・俺は強い・・俺は強い・・。」

ハーフタイム終了直前、目を閉じてそう呟く直輝・・。

上矢直輝(山下智久)は、PBA=プロバスケットボールアソシエーション

傘下のプロチーム『JCアークス』の選手。

中学、高校、大学と、華々しい活躍を続けてきた直輝は、

2年前にアークスに入団した。

しかし、プロ入り後は、他のプレーヤーとの体格差などに加え、

いざというときにプレッシャーに弱いタイプであることも相まって、

思うように実力を発揮できずに苦しんでいた。

直輝の実力を評価しているヘッドコーチの川崎智哉(伊藤英明)は、  

そんな彼の姿を歯がゆい思いで見つめていた。

音大出身の白河莉子(北川景子)は、書店でアルバイトをしながら

プロのバイオリニストを目指していた。

だが、とあるオーケストラのオーディションでは、フルート奏者で 

親友でもある海老名麻衣(貫地谷しほり)は合格したものの、

莉子は、演奏中に弦が切れるというアクシデントもあって落ちてしまう。アークス試合会場

プレーオフ進出がかかった大一番、直輝は大事なところでシュートを

外してしまうが、宇都宮のブザービートで見事勝利する。

オーディションを終えた莉子と麻衣、試合を終えた直輝と秀治(溝端淳平)が

偶然同じバスに乗合わす。

オーディションに落ちてしまった莉子。

大切な一本を決められなかった直樹。

スポーツと芸術、別々の世界に住む二人ですが、どこか似ています。 ]

バスの中、自分よりも先にお年寄りに席を譲る直輝のことを U

微笑みを浮かべて見つめる莉子なのでした。

バスを降りた直輝と秀治。

秀治は直輝の恋人・菜月の足が綺麗だと褒め、自分はおへそフェチだと語る。

「おへそとか、足とかそういう問題じゃないんだ、あいつのいい所は。

 ハートがいいんだ。

 俺はあいつと本気で真剣に付き合っているんだ。

 ・・・ちょっと待って・・携帯忘れた!!」

直輝は走り去るバスを追いかけ始め・・。

バスの中

ガールズトーク炸裂させる莉子と麻衣は、バスを必死に追う直輝に気付く。

直輝のジェスチャーに、シートに置かれた携帯に気付く莉子。

その時直輝の携帯が鳴り・・。

莉子は、たまたま直輝の携帯に電話してきた川崎に事情を話した。

川崎は、いまから持ち主に会うから、といって莉子たちと待ち合わせを

する。

「ねえ、バスケットチームの人かな?」

携帯のストラップから想像する莉子。

「ただの大学生でしょ。ま、関係ないけどねー。

 山田先輩が言ってたよ。ああいう脳みそ筋肉のスポーツ系男子と 

 うちら芸術系みたいなこういう女子は合わないって!全く。」

「でも、悪い人じゃなさそうだよ。

 こんな可愛い待ちうけにしてる。」

バスケット選手のアニメ画を見つめて微笑む二人。

そこへ、川崎から電話が入る。

「美青年!いいかも、スポーツ系男子!」と麻衣。

「あの・・川崎ヘッドコーチさん?」と莉子。

「え?なぜ・・名前を?」

「着信表示に名前が。」

「ああ!」

「これ、ですよね?」

「これです。

 良かった!助かりました。

 うちの選手のもので。」 :

「選手?」と麻衣。

「はい。今から会うんで、届けてきます。

 本当に、ありがとうございました。」

「そうでしたか。良かった。」

「・・・あの・・いえ。」莉子に見とれる川崎。

「じゃあ・・。」

その時、夜空に大きな花火が上がる。

3人は花火に見とれ・・。

なぜかお互いを見てsいまう川崎と莉子。

「あの・・良かったら、連絡先聞いてもいですか?」

「はい。」

祝勝会会場の前で花火を見上げる直輝と菜月(相武紗季)。

「・・・あのさ。」

「うん。」

「もし、次のプレーオフでアークスが優勝したら・・」

「・・・」

「もし、優勝したら・・俺と、結婚して下さい。」

「・・・」「・・・」 、

「うん。勝ったらね!」

「やったぁ!!」 、

菜月にキスしようとする直輝。

「あ、待って直輝。」

菜月の視線に後ろを振り返ると、チームメイトたちが覗いていて、

二人を冷やかすのだった。

祝勝会

川崎は直輝に携帯を渡し、出会いをくれたことに感謝する。

「それでは、プレーオフ出場を祝って、乾杯!!」

「かんぱーーい!!」

「この日から、運命のボールがティップオフされていたことを、

 僕も彼女も、まだ全然知らないでいた。」

アークスは、キャプテン・宇都宮透(永井大)らの健闘も及ばず、

早々にプレーオフから敗退してしまう。 ]i

試合でいいところがなかった直輝は、悔しさを隠せなかった。

試合後

「今日から、一ヶ月のオフ。

 それぞれの契約の更新やら、年俸の交渉やら、いろいろある。

 一ヵ月後には、ここを去っているものもいるだろうし、

 新しいメンバーもいるかもしれない。

 でも俺は、また来期も、ここにいるみんなと一緒に戦いたい。

 またここに集まって、今度こそ優勝を目指して頑張ろう。」

川崎ヘッドコーチが選手達にそう告げる。

バスケットゴールを見つめる直輝。

「こうして、俺達の2008年のシーズンは終了した。」

ロッカールーム

直輝は菜月への婚約指輪を見つめ・・箱をパタっと閉じる。 |

上矢家

手際よくフレンチトーストを作る直輝。

「お兄ちゃんのフレンチトースト好き!」

「私も!」

妹と母親は大喜び。

「じゃあ、俺そろそろ行ってくるね。」

「あら珍しい。今日は?会社なの?」

「年俸のことで呼ばれてる。」

「行ってらっしゃい!

 あ、帰りにクリーニング取ってきてねー!」 ]

「やっぱ落ち込んでんのかな、お兄ちゃん。」

「そうね。今年こと優勝って張り切ってたから・・。

 私も直輝の結婚式には、着物のほうがいいか、シックなドレスの方が

 いいか、考えてたんだけどね。」

「ママ、気が早すぎ!」

「だって、菜月ちゃんいい子じゃない。

 礼儀正しいし可愛らしいし!」

「私はちょっと苦手。だってちょっと完璧すぎるもん!」

「そういう子が丁度いいのよ、直輝には。」

自転車で会社に向かう直輝と、

麻衣と莉子を乗せた引越しのトラックが並ぶ。

トラックの運転手が道を聞くために直輝に声を掛けるが、

麻衣と莉子は直輝があの携帯の持ち主だと知る由もなく・・。

会議室

「上矢君、来年度の年俸のことなんだけどね。」

「はい。」

「色々検討したんだが、こんなものでどうかな。」

『3,150,000円』

「え・・315!?」

「まあ、今年よりは少し・・落ちると思うけど、

 会社全体がこの不景気だからね。

 私達のボーナスだって減らされているんだよ。」

「・・・」

「どうする?君がその金額に不満なら、他に行く権利はあるし、

 私には止められないが。」

「・・・すみません。少し考えさせて下さい。」

昼休み、菜月と話す直輝。

「なんだよ315って。去年は450だったのに・・。

 こんな年棒じゃ食っていけねーよ。」

「大丈夫だよ。焦って結婚しなくても、私直輝の側にいるから。」

「・・・」

「大丈夫!ね!」

「・・・ありがとう。

 そうだよな。移籍選手リストに載れば、もっと俺の実力を認めてくれる

 チームから声が掛かるかもしれないし。」

「うん。」

その日菜月に手料理をご馳走すると言う直輝に、

菜月は残業があるからと残念そうにデートをキャンセルする。

帰っていく直輝をいつまでも見送る菜月。

直輝も何度も振り返り、菜月に手を振る。

だが菜月は大きなため息をつき、

「いつかはいつかはって・・いつまでガキのつもりなのよ。」

と呟いて立ち去る。

「ほんっといい女だよな。自分が情けないよ・・」と直輝は呟き・・。

タバコを吸う菜月。

「私が欲しいのはあんたの手料理じゃないんだよね・・。」

直輝が練習場を訪れると、チームメイトの三島が練習をしていた。

「俺も三島さん見習って毎日1000本シュートやってみようかなー。」

「え?」

「いや、今までも300ぐらいはやってたんですけど、こう・・変わりたくて。

 強くなりたいです。」

「菜月ちゃんと結婚もしなくちゃだしな。」

「でも・・今はまだちょっと無理ですね。収入が。」

「直輝、俺な、今年で止める事にした。」

「え・・」

直輝が風呂に浸かっていると、川崎がやって来た。

「お前又何か入れたろ!」

「はい。もう誰も来ないと思って。」

「ラズベリーバス・・。何が悲しくて男同士でピンクの湯に

 入らなきゃならないんだよ。」

「・・・川崎さん。」

「うん?」

「三島さんどうなるんですか?」

「・・さあな。誰かが止めないと新しい選手が入らない。

 悲しいが、プロとはそういうもんだ。

 プロっていっても、野球やサッカーみたいに目立たないし、

 可愛い女子アナと結婚できたりもしないけどな。」

「・・・」

帰り道

「お前割りとルックスいいんだからさ、実力さえあれば、

 日本バスケ会のトップスターになれるのに。

 なのにプロ入りして2年経っても、お前は本当にいざという時に

 弱い!何でだ?」

「俺もわかってきているんです。自分がそんなに強くないこと。

 いや、自信はあったんで。 

バスケ始めてからずっと、周りより全然上手かったし、

 中学高校、大学の時も賞とかもらったし。

 でもそれが今じゃ、腕が長くて背が2メートル以上の外人も沢山いるわ、

 幅のある選手は山ほどいるわで・・

 わかったんです。思いあがってたってことが。」

「いいんじゃない?思いあがりは、若者の特権だ。」

「いやでも・・そんなに若くないですし。」

「そんなことないよ。お前まだ24だろ?」

「もう24っすよ。

 こんなこと周りのせいにして、被害者ぶれる年でもないですし。

 本当は、25までに親に家買ってやるつもりだったんです。

 菜月と結婚して。」

「・・へー。直輝結婚とか考えてるんだ。」 

「はい。早く結婚したいほうですから。

 で、子供に同じアークスのユニフォーム着せて、 ^

 試合に勝ったら肩に乗せて、パパ勝ったぞ!って、やりたいですね。」

「直輝すごいね!」

「でもどれも全然ダメで、正直焦りますよ。

 自分がこんなにダメで弱っちいなんて。

 ・・・もっと強くなりたいのに。」

「ま、男ってものは、実際そんなに強くないからな。」

「・・・」

「強くないよ。

 でも、それでも男は、強くなきゃいけないんだ。

 強くなれない気分の時があったとしても、強く見せるための

 プライドまで無くしたらダメだ。

 だから、そういう顔は、女の前で絶対に見せるな。」

「はい。」

「移籍先、決まらなかったらいつでも戻ってこいよ。」

「ありがとうございます。」 

引越しの片付けをしながら、憧れの音楽家・中西のCDをうっとり

眺める莉子。

「会いたいなぁ、中西先生!」

「莉子と男の趣味絶対合わない!」

「うわ、麻衣、何この化粧品の数!」

「これが昼用、これが夜用、これが日に焼けた時のホワイトニング。

 そしてこれが週末の特別ケア。」

「へー。

 これが、私の。これだけ!」

「何この質素な基礎化粧品!

 知ってる?お肌が何も手入れしなくて元気なのは、二十歳までなの。

 24歳に最初のお肌の曲がり角がきて、それからは、曲がりっぱなし!」

「曲がりっぱなし?」

「若き日のニキビが終わったら、次は小じわや紫外線と戦って。

 つまり女の人生は戦い続ける人生なの。

 だからね、こういった武器を持たなきゃいけないわけ。」

「あの・・でも、まあいいや。今度また詳しく教えて。」

「・・・」

「あ・・ドの音がするね。」

「ド?車の音しか聞こえないよ?」

「そう?・・・」

耳を閉じ、ボールをドリブルする音に聞き入る莉子。

「・・・あれ?聞こえなくなった。」

バスケットゴールのある公園

「もしもし、上矢です。

 ・・・わかりました。色々ありがとうございました。」

電話を切ると、直輝はシュートの練習を始める。

ある日、麻衣と莉子が働く本屋に、川崎がやって来る。

「あ!びっくりした!」

「麻衣ちゃんに、本屋でバイトしてるって聞いて。」

「そうなんですか。

 あれ?今日、ちょっと声変えてます?」

「わかる?連日試合で怒鳴りつけてるんだ。」

「へー。怒鳴ったるするんですね。」

「そうそう、走れ、下手くそ、みたいに。

 試合の後は必ずこうなるんだよ。でも、よく気付いたね。」

「私、耳だけはいいんです。」

「そっか。じゃあ、バイオリニストには最適だ。」

「いえいえ・・楽器だけでは食べていけなくて。

 だから、バイトも。」

「でも、エプロンも似合ってるよ。」

「今日は何かお探しですか?」

「あ、うん。えっと・・スポーツコーナーはこっち?」

「スポーツでしたら、あちらになります。」

「ありがとう。

 ・・じゃなくって。

 本当は、君に会いに来た。」

「・・・」

「暫くはオフシーズンだから時間があるんだ。

 だから良かったら、どこか遊びに行かない?」

「・・・」

「麻衣ちゃんも一緒に。俺も誰か誘うから。」

「じゃあ、麻衣と話しておきます。」

「じゃあ又、連絡する。」

川崎はガッツポーズをしながらスポーツコーナーに向かう。

「最初から莉子狙いなんじゃないかって気付いてたんだよねー。

 目がね、もう莉子しか見てない!」と麻衣。

「ほんと?川崎さん?」

「言いつけちゃおうっかな。

 莉子って寝る前に、ブラジャー床にほっぽり投げて寝てるんですよ。」

「ちょっと待って!あれは引っ越し祝いでちょっと嬉しくて飲み過ぎた

 だけで、いつもじゃないよ。」

「しかも、ストリングスのバイトで会った音楽プロデューサーに

 2年以上、憧れつづけて、まる2年以上彼氏がいないんですよって!」

「いやいやいや、本当に許して許して!」

公園でバスケの練習を続ける直輝。

他のチームから良い返事をもらうことが出来ずに落ち込んでいた。

『お疲れ!

 今、俺、うちの近くの公園にいるんだけど、夕陽が超綺麗だから

 写メするね

 今週はずっと忙しいのかな?ひさしぶりにゆっくり会えると

 うれしいな

 もうナツだし、海に行かない?アークスのみんなでもいいし、

 二人でまったりでもいいしさ。あ、でも他の男に菜月の

 水着姿を見せたくないな(笑)

 あと、母さんが今度、菜月を家に招待したいって

 良かったら夕飯でも食べにこない?母さんも夜なら、

 お店を早めに閉めて帰ってこれるし

 菜月の好きなものを作るよ

 優里も菜月に会いたがってるよ

 考えといてね

 それじゃ、気をつけて帰るんだよ

 直輝』

直輝のメールを会社で読む菜月。

「ほんっと文章長い!電話すりゃーいいのに・・。」

そんな中、菜月は上司から、アークスがチームの補強のために

獲得に乗り出していた代々木廉(金子ノブアキ)を紹介される。

「はじめまして!」

「どうも。よろしく。」

代々木の握手に戸惑いながらも応じる菜月。

「わからないことがあったら何でも私に聞いてください。

 契約選手の福利厚生は、総務部の私の担当なので。」

「スリーサイズいくつ?」

「・・・ベタな冗談ですね。」

「彼氏いるの

「いますよ。ご心配なく。」

「じゃあ、欲求不満なんだね?」

「・・・」

「そういう顔してるよ。」

「・・・」

偶然中西と再会する莉子。

「白河君!」

「中西先生!」

「へー!綺麗になっていたから、一瞬気付かなかったよ。」

「いえそんな・・どうもお久しぶりです。」

「全然連絡くれないから。」

「連絡できるような活躍、全然出来てなくて。

 連絡したいなとはずっと思っていたんですけど。」

「そっか。もったいない。

 白河君には、他の人にない魅力がある。

 あ、そうだ、これ。

 今度、若い女性のクラシカルバンドを作って、CDデビューさせようと !

 思っているんだ。僕のプロデュースで。やってみない

「え?オーディションあるんですか!?受けたいです!

 是非受けさせて下さい!」

「わかった。」

家に戻った莉子は、張り切って練習をする。

そんな中、またあの音が聞こえてきた。

窓を開けてみるが、誰もいなかった。

「・・気のせいか。」

直輝はチームのロッカールームに行ってみると、みんなが集まっていた。

「何やってるんですか?オフですよ?」

「一週間も休むと身体がなまって気持ち悪いんだよ。」と宇都宮。

「俺も!」と守口。

「直輝さん移籍するんですか?」と秀治。

「今ハーツから連絡待ち。」

「直輝・・そんなこと言わないで一緒に頑張ろうぜ!」と宇都宮。

「でも年俸下がったしなー。」と守口。

「守口さんも?」と直輝。

「俺もです!」と秀治。

「秀治いくら?」と守口。

「300万。」

「酷いなー。」と宇都宮。

「ていうか俺とお前が15万しか変わらないなんて微妙だわ・・。」と直輝。

「松井とかイチローとか、年俸10何億とかもらってるんですよ。

 同じスポーツ選手なのに、この違い何なんですか!

 ケタが二つも違うんですよ。」と秀治。

「お前と松井は違って当たり前だろ!

 しかもお前はケタ3桁だからな。」と宇都宮。

「そうだよ、お前はまだマシだよ。

 俺なんて嫁と子供がいるんだぞ。」と守口。

「俺とお前が15万って・・。こんなプヨプヨの筋肉にな。」と直輝。

「プヨプヨってことないでしょう、ほらほら!」

筋肉自慢を始める4人。

そこへ川崎がやって来た。

「終わった?みんなちょっといいか?」 ]

川崎は4人を練習場に連れていく。

そこでは代々木が施設の見学がてら練習をしていた。

「前、インカレでやったことあるよね?」直輝が代々木に声を掛ける。

「あー。あのインカレで得点王もらってた一年か。

 なんか・・オーラ消えてて気付かなかった。」

「・・・」

「あのー、自己紹介とかいいんで、誰か1オン1付き合ってもらえます?

 その方がお互いのことわかるでしょ?

廉から挑発された直輝は、彼と1オン1の勝負をする。

が、結果は廉の勝ちだった。

「お前さ、そんなんで大丈夫なの?

 プロになったらさ、もう根拠ねー自信だけじゃやっていけないよ?」

廉の言葉に直輝は返す言葉が見つからず・・。

「俺もう少し考えますわ。 

 他のチームからもオファーが来てるんで。」

廉はそう告げ帰っていく。

「待ってください!代々木さん!」

その後を菜月は追い・・。

「入れば、即戦力にはなりそうですね。」宇都宮が川崎に言う。

「うーん、でもま、協調性の問題がありそうだ。」と川崎。

莉子はオーディションを受けるために、中西のスタジオを訪れる。

「どうぞ。」

「あ・・はい。」

「白河君は、モーツァルトが好きだったね。」

「はい。」

「モーツァルトは恋多き男性だ。君もそうなの?」

「あ・・いえ、私は、一人の男性をひたすら、思い続けるタイプというか・・。」

「もしかして、僕の事ずっと思ってくれてた?」

「・・・」

「僕の勘違いかな。」

「あ・・いえ、でも、今はバイオリンで認めていただきたくて。」

「バイオリンはいいから、脱いでみて。」

「・・・え?」

「演奏はいいから、脱いで。」

「あ・・はい?えっと・・」

「いいよいいよ、手伝おう。」

「いや!触らないで!」

「大丈夫だよ。」

「ざけんな!!」 

思わず中西の頬を叩く莉子。

「あ・・すみません、私・・。

 でも、何で?

 だって、私、今日、先生にバイオリンを聴いていただきに・・」

「バイオリン?

 言っただろ。君には他の人にはない魅力がある。

 君の魅力は、見かけだ。」

「・・・」

「見かけだよ。君の魅力は、見かけだ。」

「・・・」

「実力も無いくせに、プライドだけは高いその高慢ちきな顔。

 たまらないよ。

 幸いこのカルチェットは、見かけ重視。

 君程度の演奏も、僕のテクニックでどうにでも出来る。

 だから露出して、アピールしてみろと言ったんだ。

 どうだ?ほら早く脱いでみろよ。」

怒って立ち去る莉子。

「いいのか?後悔するぞ!」

「・・・」

「二流音大を辛うじて卒業した程度の実力じゃ、

 音楽の世界で普通に食べていけるなんて、

 本気で思ってたのか?」

「・・・」

アルバイト先の書店に泣きながら戻る莉子。

「莉子・・オーディションどうだった?」と麻衣。

「私・・本屋さんになる。」

「は?」

「立派にバイトして、正社員になって、音楽なんて・・音楽なんてもう・・」

「どうしたの莉子・・」 

「憧れてたのにー。弾かせてももらえなかったよ、悔しい!」

「泣かないでよ・・。

 川崎さん来てるよ。」

「・・・」

「あなたに会いに。」

「やだよ、こんな顔じゃ会えない・・メイクが・・」

「ほんとだ。酷い顔だね。記念に撮っておこう。」

麻衣が携帯カメラを向けると莉子は反射的にピースサイン!

「ロッカー行ってメイク直しておいで。」

気を取り直して川崎の元に行く莉子。

「おぉ!」

「あ、面白いですよね、この本。」

「まあまあね。あ、犯人言わないでよ。ちゃんと買って帰るから。」

「オーディションどうだった?」

「ああ・・あれ・・ダメでした。

 私が思っていた音楽性とちょっと方向が違ったっていうか・・」

「芸術の世界も色々あるんだな。」

「なんて。本当は私に実力がないだけなんですよね。

 わかっているんです、私。自分がダメだって。

 ダメなくせに、プライドばかり高くて。」

「最近、同じような事言ってるやつがいたなー。」

「え?」

「いいんじゃない?

 現実の自分と、理想の自分とのギャップに苦しむのも、

 若者の特権で。」

川崎の言葉に微笑む莉子。

「でもま、人生の先輩としては、あまり悩みこむより、もっと前向きに

 人生を楽しむことを勧めたいな。

 莉子ちゃんの分と、麻衣ちゃんの分。

 もしよければ、それと、俺の仲間も一緒に。いいかな?」

川崎はそう言いライブのチケットを渡す。

「はい!ありがとうございます!」

帰り道、麻衣と並んで歩く莉子。

「麻衣、私ね、あんなことに負けないで、バイオリン頑張る。

 もっと、前向きに!」

「そう!前向きでいかないとね!」

「うん。」

「川崎さんどんな男連れてきてくれるんだろうねー。」

「うん、いい人だよね、川崎さんって。」

「うん。」

「あれ?麻衣、携帯鳴ってない?」 

「え?私?」

「あ、ごめん。向こうの人だった。」

自転車から降りて携帯に出る直輝。

ここでも直輝と莉子、ニアミスです。

「どうした?菜月。」

「今ね、部長と宇都さんたちと一緒に代々木さんと飲みに来てるの。

 部長がどうしても代々木さんをうちに引っ張りたいみたいで。

 今から川崎さんも来るっていうし、直輝も来ない?」

「どうして俺があんなヤツの為に行かなきゃいけないんだよ。」

「・・・もしもし?」

「もしもし?俺、今日、やめとくわ。

 ハーツから連絡あるかもしれないしさ。」

「あ・・そっか。」

「じゃあ、帰ったら電話してよね。」

「うん。

 でもさ、来たほうがいいんじゃない?」

「何で?」

「だって・・もしかしたらこのまま、移籍先決まらないかも

 しれないでしょ?

 部長にお願いして、315万でもいいから、もう一年頑張りますって

 言った方が・・」

「何だよそれ・・」

「プライド傷つけたなら、ごめん。 j

 でも私、今・・直輝はうちのチームで頑張ったほうがいいと思う。

 ほら、その方が私も寂しくないし。」

「とにかく、今日は俺行かないから。」

直輝はそう言い電話を切ってしまう。

「チッ。ヘタレが」菜月はそう呟き席に戻る。

上矢家

「ただいま。」

「お帰り!何か食べる?」

「ううん、大丈夫。」

部屋で考え込む直輝。

その晩、直輝のもとに他チームからの連絡はなかった。

「直輝ー!!ちょっとー!!」母の叫び声。

「何?」

「ちょっとちょっと!英語しか出なくなっちゃったー!ほらー!」

「大丈夫だよ。はい。

 こうしたら又英語になっちゃうからね。」

母親が使っていたパソコンを直す直輝。

「OK!やっぱり頼りになるわね、直輝がいる。

 よし、もう一仕事。コーヒー入れよう。飲む?」

「いらない。

 あのさー、」

「うん。」

「俺って本当に頼りになるのかな。」

「うーーーん、そうねー。ならないかも。」

「今なるって言ったじゃん。」

「冗談よ。

 私が離婚して、女手一つになってから、どれだけあなたを頼りに

 してきたと思ってんの?」

「・・・」

「よーし。思い切り濃いの飲んで頑張ろう!」

直輝の部屋

直輝は婚約指輪を見つめ・・

自転車で菜月たちがいる店へと急ぐ直輝。

同じころ、菜月は、明日は朝から出張だから、と言って先に店を出ていた。

夜道を一人歩きながら携帯で直輝に連絡する菜月。

「チッ。出ろよ!」

ベンチに腰掛け、タバコを吸っていると廉がやって来た。

「こんなところ一人でいたら襲われちゃうよ。」

「・・・」

「んなことはないか。

 君って結構周りが思っているより悪い子だったりしてね。」

「だったらどうなのよ。

 悪い子だったら、どうなの?」

「・・・」

「良く知らない男に、文句言われる筋合いないんだけど。」

「いいや。だったら俺と気があうかも。」

菜月を抱き寄せ強引にキスをする廉。

菜月もそれを受け入れ・・。

そんな二人に気付かずに通り過ぎていく直輝。

店に到着した直輝は、菜月が先に帰ったことを知る。

そこで直輝は、もう1年アークスでやらせてほしい、と足利に頭を下げた。

部長も川崎たちも直輝を歓迎する。

店を出た直輝は、いつも練習をしている公園に立ち寄る。

公園では莉子がバイオリンの練習をしていた。

しばらく演奏を聴いていた直輝は、莉子が弾き終えると拍手をした。

直輝がバスケットボールを持っていることに気付く莉子。

「あ・・ごめんなさい、気付かなくて。」 

「ああ・・全然。」

「いつも狭いところでしか練習できないから、なんか広いところで

 弾いてみたくなっちゃって。」

「そうなんだ。どうぞ。」

「いえ、もう終わりにしようと思ってたんで。どうぞ。」

さっそくシュートの練習を始める直輝。

そのドリブルの音こそ、莉子がいまの部屋に引っ越して以来、

ずっと気になっていた「C=ド」の音だった。 ,

目を閉じてその音の聞き入る莉子。

「ドの音!」

そう呟き目を開ける。

その時、華麗なシュートを決める直輝の姿が目に飛び込む。

「すごい!」

次々とシュートを決めていく直輝。

「すごいキレイ!」

「・・・」

「すごく上手いんですね! `

 綺麗なフォームで、綺麗なリズムで。

 私、男の人見て綺麗だと思ったの初めて!

 なんか尊敬しちゃった。」

お辞儀をして答える直輝。

「あら?どっかで会った事あります?」

「・・・いや。」

「あ・・そうですか。

 あ、ごめんなさい。素人が生意気に。」 

「いえ。」

「どうも、お邪魔しました。」

帰ろうとする莉子に、直輝が声を掛ける。

「あの・・」

「はい。」

「ありがとうございました。」

「??」

「すっげー嬉しかった!

 俺のバスケ褒めてくれて。'

 ・・嬉しいというか・・嬉しかった!ありがとう!」

「どういたしまして。

 私も嬉しかった。」

「え?」

「さっきの拍手。

 ね、バスケットボールの選手なんですか?」

「まあ一応。

 でも全然ダメですよ。ギャラ少ないし、ファンとかもいないし。」

「そうなんですか?」

「・・・上手くいかないことばっかだし。」

「そっかー。

 ・・・」

自分のことを重ねて落ち込む莉子。

そんなお互いの様子に笑い出す二人。

「なんか、笑えますよね。」と直輝。

莉子が直輝に歩み寄る。 

「まあ・・色々あるけどさ。」

直輝の肩に手を置く莉子。

「頑張ろうよ!」

莉子に励まされて頷く直輝。

「私が・・あなたの最初のファンになってあげる!」

そう言い笑顔で帰っていく莉子。

「・・・何だよファンって・・。」

直輝はそう言いながらも微笑み・・。

莉子が部屋に戻ると、麻衣はお肌の手入れをしていた。

「ただいまー。」

「おかえり!・・莉子、まさかすっぴんで外に出かけたの?」

「うん。そうだけど。」

「夜の外気は肌に悪いの!」

「あ、そういえば私、ノーメイクで男の人と喋っちゃった。

 アハハ。」

早朝、並んでランニングする川崎と宇都宮。

「久しぶりに体重計に乗ったら、体脂肪が二桁になっちゃってさ。

 辞めて2年経ったからって、身体まで引退するわけにいかないだろ?」 

「もっと川崎さんと一緒にプレイしたかったな。」

「ウツ、お前来週あいてる?」

「もしかして又女ですか?」

「俺もう32だよ。今度は本気!

 今度こそ、本気でゴール決めるぜ!」

ホテル

服に着替えたあと、カーテンを少しあける菜月。

ベッドで眠る廉に声を掛けずに部屋を出ていこうとすると、

「カーテン閉めて。」廉は目を閉じたまま呟く。

朝、莉子は、例のドリブルの音で目を覚ます。

窓の外から公園をのぞくと、直輝がもくもくとシュート練習をしていて…。

'

第2話からレビューを始めたブザービート、第1話を今頃アップ(笑)。

バスケのシーン、チアのシーン、バイオリンのシーン、

見せどころ満載なドラマです。

でも、みんな一生懸命練習したのだろうけれど、

カメラワークでごまかしているような気がしちゃいました。

一番良かったのはブラックな相武さん!

可愛い顔して舌打ちしたり、タバコぷかぷか。

彼女の存在が一番気になります!

麻衣、莉子、直輝、秀治。

初回でバスに乗り合わせた4人が、最終的にはカップルになるのかな?

恋人・菜月の本当の気持ちに気付かない直輝と、

憧れの音楽家(鈴木一真)に傷付けられた莉子。

莉子に惹かれる川崎コーチ。

菜月の欲求不満を見抜き、ちょっかいを出す廉。

B’zの主題歌のイントロがわくわくさせてくれます。

「あなたは私のほんの一部しか知らない」

菜月の心境がピッタリな歌詞!

他の登場人物にも今後シンクロしてくるのでしょうか。

初回では、気軽に楽しめる作品かな、と思っていましたが、

第4話まで見続けてきて、ちょっとドキドキしてきました。(笑)

第二回

『夏の恋が始まる!!』  

上矢直輝(山下智久)と白河莉子(北川景子)は、互いの名前も

知らぬまま、親しく話すようになる。

直輝がシュートの練習をするために使っている公園で、

莉子がバイオリンの練習をしていたことがきっかけだった。

莉子は、その公園のすぐそばにあるアパートで、

親友の海老名麻衣(貫地谷しほり)とルームシェアを始めたばかりだった。

まだお互いの名前も知らない間柄なのに、

お互い、バスケ、バイオリンを習い始めたきっかけを語り合う二人。

莉子は直輝が相手だと素直に何でも話せるようです。

ある夜、直輝の家に、恋人の七海菜月(相武紗季)が遊びにくる。 

直輝の母・真希子(真矢みき)や妹の優里(大政絢)は、

いつものように大喜びで菜月を出迎えた。

菜月を迎える準備に張り切る真希子と優里が

可愛らしい。

菜月はみんなの前ではとても礼儀正しく、気配り上手。直輝たちが皆で食事をしていると、菜月の携帯電話に着信があった。

電話をかけてきた相手は、直輝のチームメートになった

代々木廉(金子ノブアキ)だった。

友達と嘘をつき無視しようとする菜月だが、直輝たちに出るよう言われ

席を外して電話に出る。

「もしもし。」

「あー、俺俺!今どこにいるの?」

「今?彼氏の家。」

「あー、そう。いい休日だね。」

「そう。いい休日なの。

 だから・・・ '

 一回寝たくらいで、勘違いしないでくれる?」

菜月はそう言い、電話を切ってしまう。

同じころ、莉子と麻衣は、直輝が所属するJCアークスの

ヘッドコーチ・川崎智哉(伊藤英明)に誘われて、飲みに出かける。

その席に川崎が連れてきたのは、アークスのキャプテンを務める

宇都宮透(永井大)だった。

川崎が莉子に興味を持っていることを知っている麻衣は、

ひと目で宇都宮のことが気に入っていた。

だが、莉子が川崎から聞いた話によれば、宇都宮にはあるウワサが

あるのだという。それを知った麻衣は…。

「男の人が、好きな人かも。」

莉子の言葉に戸惑いながらも、宇都宮にうっとりな麻衣!

宇都宮が有能な選手と知り、ますます夢中に。

川崎も選手時代は宇都宮以上に優秀。

ひざの故障が原因で、選手生命が絶たれたようです。

「今更だけど、莉子ちゃんは彼氏とかいるの?」と川崎。

「え?」

「どっちでもいい。

 いないならいないでラッキーだし、

 いたらいたで、かえって燃える。」 

「いません。」 

「そう。じゃあラッキーだ!」

「・・・」

莉子は川崎のペースに巻き込まれていくようです。

菜月を見送る直輝。

家まで送ろうとするが、

「大丈夫。駅まで近いし。

 お母さん手伝ってあげて。片付けまだだったでしょう?」

と菜月が気遣う。

「うん。じゃあ・・」

お休みのキスをする直輝。

「・・・ね・・・もう一回して。」

「・・うん。」

直輝はもう一度軽くキス。

「・・・」

「うん?」

「うん?・・ううん。おやすみ。」

「おやすみ。」

直輝と別れたあと、一服する菜月。

その側を、莉子と麻衣が通り過ぎていく。

「ああいう大人の男性のデートって、何かいいよねー。

 学生ん時と全然違うっていうか。」と莉子。

「私も思った!学生の時の彼みたいにさー、これからどうする?とか、

 お前何食べる?お前決めてよ、みたいな

 そういうんじゃなくてさ。

 こっちが何もしなくても自然とエスコートしてくれるみたいなさ!」

「そうそう!道歩いている時も、自然と車道側にすすっと出てくれる

 みたいな!」

「それすっごいいい!女の子として大事に扱われてるって感じするもん!

 やっぱ時代は年上だね!」

「でもだから余計に相手のペースに流されてるっていうかさー、

 本当はすっごい悪い男だったりして!」

「あー。肩凝った!」

タバコを吸い終えた菜月が呟く。

いい子を演じるのは疲れる・・ということでしょうか。

前回、彼女の別の顔にびっくりさせられましたが、

直輝のことを好きだからこそ、いい子を演じてしまっている。

自分のことを大切にしすぎる直輝のことがじれったくて、

その反動があんな行動に出てしまっているのかな。

代々木とホテルに泊まった日のことを必死に言い訳するところを見ると、

直輝のことを愛する気持ちには嘘はなさそう。

そんな風に思ったら、彼女の事も好きになってきました。

風呂に入っていた直輝は、水にぬれないようビニール袋に包んだ携帯に

菜月からのメールが入り、一安心。 ,

『今家に着きました。

 今日はごちそうさま』

「その夜、久しぶりに子供の頃を思い出した。

(試合でゴールを決める直輝)

 あの日から夢中でバスケを続けてきたけど、

 俺はいつまで、この夢を見続けられるんだろう。」

直輝たちアークスの面々は次のシーズンに向けて動き出す。 ]

来週から再開される練習の前に、選手紹介用の写真撮影などをこなした

直輝は、秦野秀治(溝端淳平)、守口修斗(青木崇高)らとともに

子どもバスケット教室にも出向き、小学生たちを指導する。

直輝は、子どもたちから大人気だった。

「上矢選手はどうしてバスケットの選手になろうと思ったんですか?」

子供からの突然の質問に、直輝は答える。

「・・・あ、俺も、バスケを始めたのは、丁度みんなと同い年位の時で。

 小学校5年の試合のときに、試合の最後の最後にブザービートを決めて。」

「ブザービートって何ですか?」

「ブザービートっていうのは、試合の最後のブザーが鳴った直前に

 放ったボールが、ゴールに入ること。

 そういうシュートのことを、ブザービートって言います。

 その試合は、1点差で負けてたんだけど、

 そのシュートを決めて、逆転優勝した時に思ったんだ。

 試合は、最後の最後の1秒まで、絶対に諦めちゃいけないって。

 それでその時に、絶対プロになってやるって、決心しました。」

この時の菜月の微笑みに嘘はないように思いました。

彼女はやっぱり直輝のことが好きなようです。

一方、莉子は、川崎に誘われ、初めてふたりだけで会うことに。

川崎が連れていった場所は、バスケチーム行きつけのカフェバー。

「なんか今日、警戒してる?」

「いいえ・・でも、突然だったからちょっと、緊張はしてるかも。」

「大丈夫だよ。初めてのデートで突然キスしたりしないから。」

「そんなこと思ってませんよ。」

店主は川崎の大学時代の後輩で、元バスケ部。

「そんなに上手くて止めちゃうなんて・・」と莉子。

「バスケは日本ではマイナーだし、実際好きなことやって食べていくのは

 大変だからね。」

「ま、確かに・・。」

「今度ナオが来たらハッパ掛けてやってよ。

 あいつスランプ脱してないんだよ。」

「了解です!」と店主。

その頃、直輝は菜月の家でゲームをして遊んでいた。

「・・・」

「・・・」

「俺、そろそろ帰るわ。」

「え?どうして?」

「最近さ、朝500、夜500で、シュート練習してるんだ。」

「そうか。真面目だね、直輝は。」

「今シーズンこそ、いいとこ見せないとね。」

「・・・」

直輝が帰ると菜月は切ない表情を浮かべていました。

夜道を歩く莉子と川崎。

莉子の指には絆創膏。川崎のジャケットの取れかけたボタンに気付いた莉子は、

直してあげた際、指を針で刺してしまったのだ。

「驚いたよ。振り向いたら血出してたから。」

「そういえば私、小学校の時から家庭科苦手だったんです。

 指怪我するといけないからって、ドッチボールとかバスケットとか

 そういうのも全然やってなかったし。」「バイオリン、大丈夫?」

「右手だから大丈夫!

 でも、ボタンはすぐ取れそう。

 取れたら次はちゃんとつけますから。」

「大丈夫だよ。ありがとう!」

「あ、川崎さん、この辺で大丈夫です。

 今日は、ありがとうございました。」 

「なんかさ、川崎さんって言われるたびに、会社の人間に会っている

 みたいで、背筋が伸びちゃう。」

「そうなんですか?」

「嫌だな、川崎さんは。」 l

「じゃあ・・なんて呼べば?」

「なら・・智哉で。」

「智哉・・さん。」

「お、いいね!」

「なんか恥ずかしいですよ。」

「何回も言ってれば慣れるって。」

「うーん、智哉さん・・智哉さん・・智哉さん・・

 智哉って名前母音に"お"が多いかも、」

川崎が莉子にキスをする。

「・・・嘘つきなの?」

「時々ね。」

「・・・」

「じゃあもう嘘はつかない。

 初めて会った日、空に花火が上がった瞬間、

 あー、人はこういうのを運命って言うのかなって、

 そう思った。」

莉子の手を取る川崎。

「本気で言ってる。

 好きだよ、莉子ちゃんのこと。」

「・・・」

川崎はもう一度莉子にキスをし・・。

ニタニタ笑いながら帰宅する莉子。

「ただいまー!」

「おかえりー!」

「エヘヘヘヘ・・・・」

「何あれ・・。」

「キスされちゃったー!しかも上手い!」

「何の話?」 :]

「恋愛ってこんな簡単に進んでいいもの!?」

「何!?進んだの!?川崎さん!?」

「うん。」

「何があったのー!?」

「知りたい?言わないー!」

「教えてーー!!」

公園

「今日はいないのか・・。」

直輝はいつものように練習を始め・・。

菜月の家に代々木がやって来る。

「あ、チェーン・・」

「この間のは、遊びだから。」

ドアを閉めようとする菜月。

「性格悪いね。」

「言いふらせば?」

「やめとくよー。お前の彼氏繊細そうだし。」

「・・・」

「あいつだったとはなー。」

「もう帰って!」

閉まりかかるドアに足を挟む代々木。

菜月はその足を踏みつけ、ドアを閉めた。

菜月の携帯が鳴る。

「酷いじゃん。お前がいたからアークスに入ったのにー。」と代々木。

「・・・」

「じゃあこうしようよ。

 今度の練習試合で、俺があいつより点数稼いだら、 )kkhJI*v

 俺と付き合う。 $9ky{T?YG

 あいつの方が点取ったら、今までどおり浮気相手としてお前に尽くす。」

「やるわけないでしょ、そんなガキみたいな賭け。」

菜月はそう言い電話を切る。

大学との練習試合が開かれる。

「お久しぶりです!直輝さんと試合できて嬉しいです!」

後輩が直輝に挨拶をする。

それを聞いていた代々木、

「過去の栄光でも思い出して頑張ってよ。」と嫌味を言う。

川崎は直輝をベンチに呼び・・。

試合が始まる。

直輝はベンチからチームを応援していた。

「直輝がスターターじゃないなんて・・初めて。」

観客席にいる菜月が呟く。

代々木は華麗なボール裁きで次々とシュートを決め、

そのたびに、菜月の方を見る。

代々木の視線に困惑する菜月。

そこへ、莉子と麻衣がやって来た。

「宇都宮さーーん!」麻衣は目じりを下げて応援する。

莉子が直輝に気付く。

「あれ!?

 うっそ、あの人だ!

 嘘みたい。あの人ここの選手だったんだ!

 こんなトコで会うなんて・・。

 あの人すっごい上手いんだよ!

 何で試合出てないんだろう・・。」

「直輝。

 なぜスターターにしなかったかわかるか?」と川崎。

「・・多分。」

「よし、行って来い。」

「はい。」

直輝がゲームに入ると、後輩が言う。

「驚きましたよ、直輝さんがベンチなんて。

 プロは厳しいってことですか?」

直輝のシュートがゴールを外れる。

「・・あれ?」と莉子。

宇都宮がシュートを決める。

「知ってる人が強いって楽しいね~!」と麻衣。

「・・うん。」と莉子。

直輝のシュートは外れてばかり。

それだけでなく、チームワークも乱れていき・・。

試合を見つめていた莉子が立ち上がる。

「ちょっと!8番!!何やってんのよ!」

「・・・」

「グズグズ、グズグズ、グズグズ、グズグズ!!

 あんた、バカじゃないの!?」

「莉子ちゃん・・」と川崎。

「あんたの実力は、そんなもんじゃないでしょうが!!」

「・・・」

「すみません、試合の邪魔になりますので・・」

菜月の注意にも莉子は止まらない。

「強いのに!才能あるくせに!

 何怯えてんのよ!!

 悔しかったらここで見せてよ!あなたの実力を!

 あんた絶対強いんだから!!」

「・・・」

「強いの!!上手いのよ!!

 ちゃんとやんなさいよ、バーーカ!!」

「・・・」

莉子の叫びに吹っ切れたのか、直輝はシュートを見事に決め、

後半は連続でシュートを決め続ける。

「ようやく吹っ切れたか。」と川崎。

直輝のブザービートが決まり、78対63で試合はアークスの勝ち!

「さすが直輝さん!やっぱ叶わないです。

 ありがとうございました!」と後輩。

直輝は二階席の菜月にVサインを送ると、辺りを見渡す。

だが、莉子はもういなかった。

莉子を探しに会場の外に出てみると、菜月がやって来た。

「お疲れ様!」

「菜月、あいつ見なかった?」

「え?」

「あの・・怒鳴ってた女。」

「ああ・・試合の途中で帰ったと思うけど。」

「帰ったのかよ・・」

「知り合い?」

「知らないけど、川崎さんの知り合いらしくて。

 ちょっと俺探してくるわ。」

「・・・」

一人になった菜月の隣に、代々木がやって来た。

「点は俺の方が取ったよ。」

「・・・」

「でも今日は勝った気しねーから、まあいいわ。」

「勝つって、直輝は同じチームの仲間でしょ。」

「何言ってんだ、偽善者。」

「・・・信じられない!!」

宇都宮との2ショット写真をねだる麻衣。

写真を撮っているのは秦野。

オープニングを見ると、麻衣はこの秦野とカップルになるのかな?

莉子の携帯が鳴る。

「もしもし・・」

「帰っちゃったんだって?」と川崎。

「・・はい。」

「ありがとう、うちの選手を罵倒してくれて。」

「すみませんでした。私・・」

「いや、本音。あれがなかったら本当にやばかった。」

「なんか、悔しくなっちゃって。」

「ね、知り合いだったの?」

「いえ。知り合ってほどじゃないんですけど、

 ご近所さんみたいなんです。

 時々会った事があって。」

「ふーん。そう。」

「うん。」

莉子のマンション

「・・・なんであんなこと言っちゃったんだろう。」

自己嫌悪に陥る莉子。

その時、バスケットボールの音がしてきた。

窓から覗くと、直輝が練習をしていた。

莉子は部屋を飛び出し・・。

「おーい、そこの人。」と直輝。

「・・・さっきは、怒鳴ってごめんなさい!

 でも、私、嘘はいってないから。」

「何で途中で帰ったんだよ。」 .

「・・いや・・周りの目が・・辛くって・・」

「俺の方が辛かったし。」

「そうだよね・・。ごめんなさい。」

「でも・・ありがとう。

 まあ感謝するよ。

 なんか勇気出たし。

 ていうかさ、怒鳴ったなら最後まで見て帰れよ。

 せっかくブザービート決めたのにさ!」

「ブザー?」

「うん。まあいいや。」

「ごめん。」

「公式戦始まったら見に来て。」

「公式戦?」

「君が見てると強くなれそうな気がするし。」

その言葉に微笑む莉子。 &>4$ [m>n

「ちゃんとやらないとバカって怒鳴られるし。」

「もう怒鳴りません。

 うん。わかった。

 応援しに行くね。

 私、あなたのファンだもんね!」

「怖いファンだけどね!」

「これもファンの愛情だし。」

公園に子供達がやって来た。

「何してるんですか?」と直輝。

「七夕の飾りを燃やすの!」「花火もやるの!」

二人は子供達が七夕の飾りを燃やし、花火で遊ぶのを

ベンチに腰掛けて見つめ・・。 '

「今日は、バイオリンの練習しないの?」

「あ・・うん。

 でもま、明日から又頑張ろうかな。」

「うん。」

「じゃ!

 ・・・あ、ねえ。

 次また怒鳴る時の為に、名前教えてよ。」

「上矢直輝です。」

「カミヤ・・ナオキ。

 漢字で書くとどういう字?」

「上下の上に、矢印の矢。」

「なるほど。私は白河莉子。

 紅白の白に、サンズイの川。」 

「白河さん。」

「年は?」

「24。」

「やっぱ!じゃあ同じ学年だ!」

「丑年?」

「うん! ! `

 ・・じゃあ、またね!上矢君。」

「じゃあね、白河さん。」

莉子が帰ったあと、直輝はふと、公園の看板を見つめる。 

『Love makes me strong』

第1話よりも引き込まれたのでレビューしてみました。

莉子の叫びは、多分、全力を出し切れていない直輝の姿に

自分を重ねてしまったのでしょうね。

打ち上げ花火の夜に莉子に恋に落ちた川崎は、

莉子に名前で呼ぶよう言い、キスをしました。

公園の花火を楽しそうに見つめていた莉子と直輝。

二人はやっと出会い、名前を知り、苗字で呼び合うようになりました。

似たもの同士の二人は、お互い叱咤激励し、良いパートナーと

なるのかな。

同志のような関係に留まるのか?恋に落ちてしまうのか?

北川さんの長い髪が時折山口智子さんと重なります。

思い浮かぶのは、『ロングバケーション』の名シーン!

菜月が直輝に本当の思いをぶつけるシーンを早く見たいです。

第三回

『二人の秘密』

上矢直輝(山下智久)たちJCアークスの面々は、シーズン開幕に向けて

トレーニングを続けていた。

練習試合の最中に、白河莉子(北川景子)から檄を飛ばされた直輝も

必死に練習に打ち込んだ。

ヘッドコーチの川崎智哉(伊藤英明)は、トレーナーの松山亮介(川島章良)とともに、個人練習のメニュー作りに余念がない。

一方、マネージャーの春日部良夫(金田哲)は、予算の削減を受け、

ロッカールームの蛍光灯を減らすなどして経費を切り詰めていた。

キャプテンの宇都宮透(永井大)は、チームが厳しい状況に置かれて

いるいまこそ力を合わせて頑張ろう、とチームメートたちを鼓舞した。

 

練習を終えた秦野秀治(溝端淳平)は、莉子と海老名麻衣(貫地谷しほり)がアルバイトをしている書店を訪れる。

秀治を呼び出したのは麻衣だった。宇都宮に心をひかれていた麻衣は、

秀治に彼のことを調べさせようとしていた。

一方、菜月(相武紗季)は、新戦力としてアークスに加入した

代々木廉(金子ノブアキ)の態度の変化が気になっていた。

廉が、菜月のことを無視しているように見えたからだった。マンション前のコートから聞こえるバスケットボールの音。

直輝じゃないとわかると、莉子は残念そうに

「今日はいないのか。」と呟きます。

その頃直輝は菜月の家でオムライスを作ってあげていました。

「ねえ直輝。やっぱり・・・結婚しない?」

菜月は自分の心に代々木が入り込むことが怖いんじゃないのかな。

そんな菜月に対して、直輝は 

「ごめん。今は無理。

 俺もしたいよ。

 でも、自分に自信がない。

 金の事もそうだし、選手としてのキャリアも。

 だからもっと強くなって、ちゃんと菜月を幸せに出来るって、

 そういう自信が付くまで・・もうちょっと、待って欲しい。」と返事。

「うん・・わかった。

 そうだよね!わかった、OK!」

明るく答える菜月が健気に思えてきました。

「こんな俺で、ごめんね。」菜月を抱きしめる直輝。

「ううん、いいよ。」

菜月は直輝に手を回しますが、でもその表情は冷めているようにも

見えて・・。

この時のBGMが、莉子が奏でるバイオリンの音色。

翌日、気合を入れて練習をする直輝に川崎コーチは

ヒザに負担が掛かることを心配し、

「焦るな。」と声をかけます。

アパートが見つからずに途方にくれる秀治。

「こういう時に養ってくれる年上の彼女がいればいいんですけどね。」

「は?俺絶対そういうの嫌だわ。」と直輝。

「バカだな、秀治は。

 女は男が幸せにしてやるもんだろ。」と川崎。

「俺も断然そっち派です。」と直輝。

「宇都さんはどうですか?」と秀治。

「俺は今はシーズンのことで頭がいっぱいで、

 女のことなんか考えている暇がないってとこかな。」

秀治と麻衣は上手くいきそう!?

直輝と川崎の恋愛論は似ていそう。

宇都宮さんは・・謎!!

代々木は直輝を見てる見てる!

麻衣に手を出したのは直輝への対抗意識だけなのか?

練習を終えて帰宅した直輝は、母親の真希子(真矢みき)に、

結婚して家を出た姉の部屋を秀治に貸してもいいか相談する。

秀治は、間もなくアパートを追い出されてしまうが、

まだ引っ越し先が決まっていないのだという。

真希子は、高校生の次女・優里(大政絢)がいることもあって

一瞬考えるが、秀治ならいいだろう、と言ってそれを許可した。

そんなある日、菜月と食事をする約束をした直輝は、

スーパーマーケットまで買いだしに行く。

直輝は麻衣の家で食事を作るために買物に来たのだが、

デートがキャンセルになり、食材を戻していく。

「ふーん。彼女いたんだ・・。」莉子は呟く。

公園に立ち寄った莉子と直輝は一緒にビールを飲み始める。

「私ね、夏のイメージって、爽やかっていうよりも、

 荒々しくて怖いっていうイメージなんだ。」

「怖い?」 

「うん。子供の頃に聞いた、リバルディの夏っていう曲の

 イメージなんだけど。

 夏の空に雷が鳴って、その時に雹が負って。

 バイオリンの音がこう、キュキュキュキュって。」

「うーん、怖い夏ってイメージ出来ないな。」

「あ!今持ってるよ、聞く?」

莉子のイヤホンを耳に当てる直輝。

「これ何の音?」

イヤホンの片方を莉子に渡す。

「あ、これがバイオリンの音なんだよ。」

「へー、こんな音出るんだ、バイオリンって。」

「そうそうそう!カッコイイでしょ?」

「うん。かっこいい!」 

二人の顔は急接近!

莉子は慌てて離れます。

「飲みっぷりいいね!」

「よく言われる。

 でも安心して。酔ったりしないから。」

「え?」

「酔って迷惑掛ける女って嫌じゃない? J

 例えば、男の人に甘えたりだとか。

 私はそういう女になりたくないんだよなー。」

莉子はそう言いながらもう一本を開ける。

「酒強いんだ。」

「うん。

 ねー、彼女ってどんな人?」

「うーーーん。

 すっげーいい女。

 いい女過ぎてこっちが焦るよ。

 付き合って2年になるんだけど、彼女は、キャリアアップっていうか、

 OLとしてちゃんとやっているんだけど、

 俺は・・2年前から成長してないっていうか。」

「ふーん、そうなんだ。」

「劣等感だね。男として情けない。」

「そうかなー。

 きっと幸せだって思うな。上矢君の彼女は。」

「そう思う?」

「うん。もちろん。

 だってそんなに真剣に彼女の事考えてて、

 料理も作ってくれて、

 うん。十分幸せだよ。」

「そっか!」

「ま、ダメなところもありそうだけど。」

「ま・・彼女の事、早く安心させてやりたいんだよな。」

「ふーん。

 ・・・あれ。何か今・・胸がザワっときた。酔ったのかな・・。」

その時、公園に粗大ゴミを不法投棄していく若者達が!

「ちょっと!そこの人!何やってんのよ!」と莉子。

「関係ねーだろ!」

「片付けなさいよ!不法投棄でしょ!

 警察に連絡するわよ!」

莉子は逃げようとする男達を追いかける。

「あぶないから!やめよう!」と直輝。

「だって!あんな所にゴミがあったら上矢君がバスケの練習

 出来ないじゃない!!」

莉子はそう言い、男達の車を追いかけ始める。

直輝も携帯で連絡を取りながら莉子を追い・・。

直輝の練習する場所が奪われたと

莉子は怒っているわけですね。

直輝は警察に連絡していたようで、犯人は無事に逮捕されます。

警察の帰り道。

「・・・なんか・・気持ち悪い!」

「どうして・・」 ]

「すきっ腹で・・飲んで・・走ったから・・うっ!」

「え!?そんなに!?」

具合の悪くなってしまった莉子を直輝は背負って送り届ける。

散らかった部屋に唖然とする直輝。

莉子をソファーに寝かせ、毛布を掛けてあげると、

部屋を片付け、フレンチトーストを作って帰る。

翌朝、泊りがけの練習から戻った麻衣は、部屋が片付けられていて

びっくり!

「わかった!小人さんよ

 きっと魔法の国の小人さんが、莉子が寝ている間に

 綺麗にすっかり片付けてくれたのね!

 ・・んなわけないでしょ。莉子がこんなに片付け上手なわけないし。

 どうして・・。

 まさか不審者!?神経質な下着泥棒か?

 盗んだ代わりに片付けてってくれたとか?

 え!?莉子何もされてない?

 怖い、女の二人暮しって怖い!」

「・・・うわ!思い出した!!」

「泥棒さんがフレンチトースト作ってくれたの?」

「思い出したくなかった・・。」

「何があったの?これ食べていい?」

「・・・恥ずかしすぎる!」

上矢家に秀治が引っ越してくる。

が!

上矢家の長女・ユキノが夫とケンカをし帰ってきてしまう。

・・・秀治の引越し話はなかったことになってしまった。

姉にリクエストされてフレンチトーストを作る直輝。

「あの子食べたのかな。」とふと呟く。

公園に不法投棄された粗大ゴミがやっと撤去される。

偶然その場に居合わせた直輝は、携帯カメラでその様子を撮影。

莉子にメールを送ろうとするが、

「あ・・。俺アドレス知らないんだ。」

麻衣のコンサートに川崎は花束を抱え、チームのメンバーを連れて

駆けつける。

その帰り、川崎はみんなを行き着けのバーに連れていく。

トイレから出てきた直輝に声を掛ける莉子。

「あのさ・・この間は、ほんとごめん!

 お礼言いたかったんだけど、連絡先わからなくて。」

「ああ。俺も。

 ゴミ撤去されてたよ。」

「うん。私も見た。ほんとゴメン。酔っ払って。」

「ううん。」

「私・・さ、なんか変なことしなかった?」

「あ・・苦しいからブラ外してって言ってたよ。」

「あ・・女として終わってる・・。」

「どうかした?」と川崎。

「あ・・いえ。」

莉子は直輝に言わないで、とジェスチャーし、席に戻る。

川崎はチームのメンバーに莉子を自分の彼女と紹介する。

「あの、みなさん、この間は試合中にご迷惑お掛けして、

 すみませんでした。」と莉子。

「俺、あんなデカイ声で怒鳴っている女の人、

 初めて見ました。

 でも川崎さんの彼女なら納得ですよね。」と秀治。

「まさに熱いもの同志!」

「確かに。」と直輝。

そこへ、代々木と会社の女の子達がやって来た。

「お疲れ様です。」菜月が挨拶に来る。

トイレから出てきた菜月と代々木がすれ違う。

「ねえ!

 いつもそうやって私を見るの、止めてくれる?

 迷惑!目障りなの!」と菜月。

「見てるのはお前だろ?」

「・・・」

「俺の目はコートではボールを追ってて、

 コートの外では女を追ってる。

 そういう風に出来てんの。

 女なら誰でも見てるし、お前一人なんか全然見てねー。

 自意識過剰。

 自分が可愛いとか思ってんだろ?

 そうでもねーよ。」

「・・・」

「目が合うのは、お前が俺を見てるから。でしょ?

 認めるならキスしてあげてもいいよ。

 いつも安全な男じゃ退屈だろ?」

「・・・」

怒って立ち去る菜月・・。

菜月は直輝の所へやって来る。

「ごめん、私帰る。」

「何で?」

「朝から体調悪くって・・。」

「俺、送っていきます。」

菜月と直輝が帰っていく。

「ほんと仲いいよなー、あの二人。」と秀治。

「ほんと羨ましいよ。

 付き合って2年以上経っているのに全然倦怠期とかないらしいよ。」と店長。

「ね!選手の女だって言ったでしょ。

 そういうタイプの女だと思ったんだよね。」と麻衣。

「うん。

 あの人が彼女なのか・・。」と莉子。

莉子を送る川崎。

「もう一軒どっか行く?」

「あー、いえ、今日は帰ります。

 生ゴミ、ベランダに出しっぱなしだったから。」

「・・・そう。 j

 もしかして、迷惑だったのかな。

 俺が、莉子ちゃんのこと彼女だって紹介したこと。」

「いえ、そういうわけじゃ。

 でも・・スピードが・・。」

「スピード?」

「いえ・・。

 私、二股掛けられたことあるんです。

 高校の時と、大学のときと、二回も。」

「二股・・」

「2年間憧れていた人には、バイオリンはいいから脱げ、とか言われて。

 だから・・だから、男の人のこと、そんなにすぐに信用出来ないのかも。」

「・・・」

「あ、川崎さんのこと信用してないわけじゃないんです、全然。

 川崎さんは・・じゃない、智哉さんは、優しいし、大人だし、

 カッコいいし。

 だから、もう少し、ゆっくり進んでもいいですか?」

「・・・いいよ

 こっちこそ、ごめん。

 俺はどっちかっていうと、ちょっとせっかちな所があるから。」

「いえ、そんなことは・・」

「現役時代も、即効が得意だった。」

「そうなんですか?」

「そうだよ。

 うん。そうだな。

 少しずつ俺の事を知って、少しずつ、俺の事を好きになってほしい。」

「はい。」

「で、いつか、莉子ちゃんがコンサートする日には、

 今日よりももっとでっかい花束、持っていくよ。」

嬉しそうに微笑む莉子。

「じゃあ、今日は、ここまで。」

川崎はそう言うと、莉子の頬にキス。

「お休み。」

「おやすみなさい。」 :

一度背を向けた川崎は、振り返り、莉子が帰っていくのを見つめ・・。

川崎の言葉を思いながら微笑みを浮かべて歩く莉子。

ふと、公園の前で足を止め、バスケットのゴールを見つめると、

迷いを振り切るように又歩き出す。

菜月の家でおかゆを作る直輝。

「直輝、大丈夫だよ。

 ちょっと気分が悪かっただけだから。」

「ダメだって。疲れてるんだって。

 最近残業ばっかだったし。」

「・・本当は行きたくなかっただけなの。

 でも、みんな行くのにリーダーの私が行かないわけにいかなくて。」

「うん、わかるよ。」

「・・・」

直輝にそっと抱きつく菜月。

「どうした?」

「おかゆはいいから・・一緒に寝て・・ね!」

「ダメだって。 ]

 ゆっくり休まないと。

 食欲なくても、ちゃんと食べないと、元気でないよ。」

「・・・違う。」

「うん?」

「大事にしてくれて嬉しいよ。

 でも・・私が欲しいのはこういうことじゃないの。」

「・・・」

「ねえ、もっとドキドキさせてよ!

 もっと夢中になりたいの!

 ほかの事、何も考えられなくなるぐらい、

 他のものに目がいかなくなるぐらい・・・

 もっと、直輝を好きでいたいの。」

「・・・好きでいたいって・・好きじゃないの?」

「・・好きだよ。」

菜月はそう言いキスしようとするが、直輝はそれを避けてしまう。

「どういう意味?」

「・・・」

「何だよそのため息。」

「ため息なんかついてない。」

「・・・俺が結婚できないって言ったから怒ってんの?」

「違う。

 ・・・でも直輝ってさ、いつになったら自分に自信が持てるように

 なるの?」

「・・・」

「それって来年?再来年?

 10年後?20年後?

 それとも・・このまま一生持てなかったりして。」

「何だよ、それ。」

「だってどこにもないじゃない!

 直輝が一流になる保証なんて。

 もっと強くなりたい強くなりたいって、

 強く願ってればいつかはその夢が叶うはずなんて!

 まさか本気で思っているわけじゃないよね?

 子供じゃあるまいし!」

「・・・」

「ねえ、もっと現実と向き合ってよ!

 もっと大人になって! 

 そのチンケなプライドに付き合わされるこっちの身にもなってよ!」

「・・わかったわかった、もういいよ。」 `

「・・ごめん!」

直輝は帰ってしまう。

翌日、川崎はみんなを海に誘う。

「誘ってくれて、ありがとうございました。

 ちょっと色々あって、頭の中混乱してたんですけど、

 ちょっとすっきりしました。」と直輝。

「俺もだよ。

 女のことで悩むのは性に合わない。」

「珍しいですね。川崎さんが女で悩んでるなんて。」と宇都宮。

「悩むよ。やっぱりさ、真剣に付き合おうと思う女には、

 それなりに悩むよ。」

「おへそ天国だぜ!」と秀治。

「見て!腹筋天国よ!」と麻衣。

秀治から宇都宮情報を聞き出す麻衣。

「そう、今は女のことを考える余裕はないって言ったのね?」

「はい。なんか今は、男といる方が楽しいみたいですよ。」

「・・・やっぱりそっち!?」

「いや僕も、もっとバスケのことで悩みたいんですけど、

 今は家がないことの方が深刻で。」

「うち住む?」

「え!?」

「え・・何言ってんの?」と莉子。

「あの何度があるでしょ?

 メロディーちゃんよりも、番犬にしちゃ逞しいし丁度いいんじゃない?」

「でも・・男の人と一緒に住むなんてさ、」

「私ね、実は純情なの。

 男兄弟はいないし、この間なんかディズニーランドに行った時、

 ドナルドダックに肩を抱かれただけでドキドキしちゃったけど、

 でも大丈夫。秀治君には何も感じない。」

「僕も何も感じません。」

「失礼な!」

「でもやっぱりさ・・」と莉子。

「いいじゃない。宇都宮さんのことも川崎さんのことも

 いろんなこと教えてくれるかもしれないでしょ!」

「でも、」

「何が問題なの?」

「部屋で、ノーブラで過ごせないでしょ・・」

「付けて、夜は。」

「・・うん。ま、いっか!」

「やったーー!!」

直輝は菜月にメールをする。

『昨日は帰っちゃってごめん。色々話したい。

 今夜、会える?』

川崎をデジカメで撮影し微笑む莉子。

そこへ直輝がやって来た。 `

「見る目あるね!」

「うん?」

「川崎さん。」

「・・ああ。でもまだ、出会ったばっかりだし。」

「超最高だよ、川崎さん。俺も尊敬しているし、

 男から見てもカッコイイって宇都さんも言ってたし。」

「そうなんだ。そっか。」

「この間さ、送ろうと思った写真があったんだ。

 でも川崎さんの彼女じゃ、メアドとか聞けないか。」

「別に、それはいいんじゃない?」

「いっか!別に友達だしね。」

「・・友達。そうだよね、友達だもんね。」

「じゃあ、赤外線・・」

直輝の携帯を見た莉子は、前に見たことがあると気付く。

バスでお年寄りに席を譲った青年が、忘れていった携帯・・。

「これ・・・!」川崎たちと野球をして遊ぶ直輝を見つめて微笑み・・

直輝のメールが菜月の携帯に届く。

メールには海へと真っ直ぐに伸びる遊歩道の写真が添付されていた。

その時菜月は代々木とベッドにいて・・。

菜月は直輝のスピードに、川崎は莉子のスピードに、

無理して合わせようとしているんですよね。

無理をしているのは、相手のことが好きだから。

でも菜月は直輝のマイペースさに苛立ちを隠せず、

とうとう爆発させてしまいました。

川崎も大人の対応を見せていましたが、内心は歯がゆかったり

するのかな。

川崎と莉子の恋を邪魔するのは宇都宮??

ありのままぶつかり合える直輝と莉子。

この二人なら恋は上手くいくのでしょうか。

過去に二度、二股を掛けられた経験のある莉子は、

菜月に二股掛けられていると知り傷ついた直輝の心を

癒すのかな。

母、姉、妹と女家族の中で育った直輝。

料理が出来て優しくて、草食系男子って感じですが、

女が男が守るもの、と意外と男っぽい考え方でした。

家族の中で男は自分ひとり。

自分がしっかりしなければ、と家族を支えてきたのかな。

実は物凄く強い人なのかもしれません。

最新评论

上官飞飞 发表于 2010-11-26 18:36:23

第四回

『衝撃の夜』  

直輝(山下智久)は、ヘッドコーチの川崎(伊藤英明)に誘われて

海に遊びに行く。

莉子(北川景子)や麻衣(貫地谷しほり)、チームメイトの

秀治(溝端淳平)、宇都宮(永井大)らも一緒だった。

だが、前夜、恋人の菜月(相武紗季)とケンカしてしまった直輝は

元気がない。

直輝は、いつになったら自分に自信が持てるようになるのか、

もっと現実と向き合うべきだ、という菜月の言葉にショックを受けていた。

直輝は、話がしたいから今夜会えないか、と菜月にメールを送った。

しかし、菜月からの返信はなかった。

一方、莉子は、バスの中で拾った携帯電話が実は直輝のもの

だったことを知る。

そのことを興奮気味に麻衣に知らせる莉子。

「私達は同じ時に、同じバスに乗ってたってこと!運命的に!」

「ってことは、彼こそ運命!?」と麻衣。

「そう!運命の!」

「莉子と川崎さんの運命をつなぐ、キューピッドだったってことね!

 そうだよ!

 上矢って、名前に矢って漢字が付いてるし!

 きっと彼って天使みたいな人なんだろうね~!

 私もちょっとお祈りしてこようかなー。」

「・・・そうなのか?」

「は?じゃあ何なの?」

「いやいや、別に・・。」「・・・えーっ!!まさかあなた、運命なのは上矢君とか

 言うんじゃないでしょうね?」

「いやいや、そういうワケじゃないけど・・」

「運命なのは川崎さんじゃなくて、あっちとか言うの?」

「違うってば!」

「酷い!莉子ってば酷い!」

「違うってばー。上矢君はほら、可愛い彼女がいるじゃない。」

「彼女?あー、いたねー、あのいけ好かない気取った女でしょ?

 あの女、チアやってるらしいよ!

 あの顔でミニスカートで踊られたりしたら、そりゃあキューピッドも

 メロメロでしょうよ。」

「うん。メロメロみたいだった。

 だから、私と上矢君は、友達!」

「・・・」

「友達だよ。普通に、近所の友達。

 運命的な、友達!」

「じゃあさ、私を安心させるためにこう言って。

 上矢君のことは好きじゃない。」

「神谷君のことは好きじゃない。」

「好きじゃない好きじゃない、好きじゃない。」

「好きじゃない、好きじゃない、好きじゃない!」

「川崎さんのことが好き。」

「・・・川崎さんのことが・・好き。」

「もっと言って!」

「川崎さんのことが好き、川崎さんが好き。川崎さんが好き。

 エヘヘヘ。ちょっとなんで麻衣にこんなこと言わなきゃ・・」

莉子はそこで、すぐ側に川崎と宇都宮がいることに気付く。

「・・・」

「川崎さんの車で一緒に帰らないって言いに来たんだけど・・

 俺達お邪魔かな。」と宇都宮。

「はい!では私達は電車で。」と麻衣。

「いいよいいよ。4人で一緒に帰ろう!

 どうせ二人とも同じところに住んでるんだし。」と川崎。

「そうだよわざわざ別で帰ることないよ。」と莉子。

「いやぁ、いいんですかねー。」と麻衣。

「あ、じゃあ俺もいいっすか?」と秀治。

「来ないで。まだ一緒に住んでないんだから。」と麻衣。

「はい、すいません。電車で帰ります。」

「悪いね、うちの選手がお世話になることになって。」と川崎。

「お邪魔じゃないかな、秀治。」と宇都宮。

「いえいえ、お二人のお役に立てて光栄です。」

そこへ直輝がやって来た。

「直輝、乗ってくか?」と川崎。

「あ・・俺・・どうしようかな。」

メールをチェックする直輝。

『私も会いたい。昨日はごめん』

と菜月からメールが入っていた。

「大丈夫です!ありがとうございます。電車で帰ります。」

「気をつけてな。」

「はい!」

「元気になったみたいですね、直輝。」と宇都宮。

「あー。菜月と痴話げんかでもしてたんだろ。」と川崎。

麻衣は莉子の表情が曇っていることに気付き・・。

菜月の部屋には、廉がいた。

「早く帰って。」

「やっぱ別れる気ないんだな。」

「ない。ないよ。

 自分だって、私と真面目に付き合う気なんてないでしょ。」

冷蔵庫から勝手にペットボトルの水を取り出し、直接口をつけて飲みだす廉。

「・・・ないね。」

そう答えると、菜月を抱きしめようとする。

「やめてよ!直輝が来ちゃう!」

防波堤を歩く莉子と川崎。

「今度さ、俺の大学時代の仲間と一緒に飯食わない?」

「え?」

「紹介したいんだ、莉子ちゃんのこと。」

「・・はい。」

川崎は莉子の手を握り締め・・。

菜月のマンション

合鍵で鍵を開けようとすると、菜月の声がする。

「直輝!?」

「うん?」

「直輝!助けて!直輝!どうしよう!!

 虫・・虫が!

 掃除しようと思ったら窓から入ってきて。」

直輝はカーテンに泊まっていた虫を外に逃がしてやる。

「良かった!怖かったぁ!」

「びっくりしたよ。強盗が入ったのかと思った。」

「ありがとう!」

「掃除してたんだ。」

「・・うん。ちょっと空気入れ替えようと思って。

 ・・・直輝。ごめんね昨日は。

 あんなこと言うつもりなかったの。」

「ショックだったなー。そういう風に思ってたんだって。

 でも、お陰で色々考えたよ、自分のこと。

 菜月にそんな風に思わせてる俺って、何なんだろうって。

 でも、確かに自分に自信をもてない男って最悪だよね。

 菜月なら、色々許してくれると思って、どっか甘えてた。

 ごめんね。」

「そんな!謝らないでよ。

 直輝優しすぎる。」

「優しくないよ。」

「優しいよ。

 ・・コーヒー入れようか。」

「うん。

 でもさー、女にとっては、優しいって褒め言葉であるけど、

 男にとってはどうなんだろうね。」

「みんな優しい男の人が好きだと思うけど。」

「うん・・でも、安全って感じだよね。」

「・・・そんなことないよ。

 でも、優しい直輝も大好きだけど・・

 やっぱり私は、バスケで輝いている直輝が好き。」

「うん。

 輝いてみせるよ。NBAは無理かもしんないけど、

 いや・・NBAも出るし、オリンピックも出るし、

 日本のバスケ界も絶対俺が盛り上げる!

 って気持ちで頑張るから、見ててよ、俺の事。」

「うん!」

「元気になってきた!」

腕立て伏せを始める直輝。

が、その際、直輝は、菜月のベッドの下に、黒いアームバンドが

落ちていることに気づく。

「・・・」

上矢家

オレンジページを見ながら考え込む直輝。

「まさか・・家にいたのはカナブンだけじゃない・・

 なんてことはないよな・・。」

「それ絶対浮気だよ!」と妹。

「でもまだわかんないじゃない。ユウスケさんが猫を預かったって

 だけなんでしょ?」と母。

「でも前の奥さんのネコを預かるなんて、まだあの女のこと

 好きだからに決まってんじゃん!」と姉。

「私的にもそれは浮気!

 身体は浮気してないかもしれないけど、心が浮気ってことでしょ!」

「そう!!まだ愛し合っているのよあの二人は!」

「まーまーまー、姉ちゃん落ち着いてよ。」

「落ち着いてるよ!私はいつも落ち着いてるの!

 だからあれ!あれ飲みたい!受験の時に作ってくれたやつ。」

「あ、あれね。」

「でもユキノ。ユウスケさんと結婚したってことは、

 ある程度その、離婚という過去も背負って結婚したわけなんだから。」

「でもまだ関係が続いているなんて許せないの!

 しかもそのネコ!そのヒラマヤの顔が、なんかあの女の顔に

 似てるのよね!そこがさらに許せないの!」

「ちょっと待って。ヒラヤマじゃなくてヒマラヤンよ、ね!」

「この家庭環境だと悩み事も出来ないぜ。悩まない!」

直輝が呟く。

夜、直輝がいつもの公園を訪れると、莉子がバイオリンの練習をしていた。

「あ!こんばんは。」莉子が直輝に気付き敬礼する。

「先ほどはどうも。

 曲、いつものと違うんだね。」

「うん。今度、後輩の代わりに急遽ミニコンサートに出ることに

 なっちゃって、その曲。」

「じゃあ川崎さんとかも来るんだ。」

「ううん、呼べない呼べない。

 そんなちゃんとしたコンサートじゃないんだ。

 ショッピングモールの広場で、お客さんが買物している真ん中に

 パイプイス置いてやるような。」

「ふーん。いいじゃん、別に。」

「嫌だよー。この間の麻衣のコンサートと違いすぎて、

 恥ずかしくて呼べない。」

「へー。そういうもんなんだ。」

「うん。

 明日早いからそろそろ帰る。」

「ああ、頑張ってね!」

「うん。

 ・・・見てていい?」

「は?」

「上矢君のバスケ聞いてると、元気が出るんだ。」

「聞く?」

「うん。

 ボールのトントンって音とか、シューズの、ズズっという音とか

 シュシュっていう音とか、

 聴いてるとワクワクするんだ。」

「音フェチ?」

「そうかも!」

「俺はね、床の音が好き。

 バッシュがこう、キュっとすれる音。」

「ああ、あの音!体育館の!」

「そうそう!このキュッキュって音聞くと、

 敵がこっちに来てるとか、味方が今後ろに来てるとか、

 そういうの全部わかるから、すごいゾクゾクするの。」

「ゾクゾクかぁ。私にも聞き分けられる?」

「うーーん。ま、無理でしょ!素人には。なんつって!」

「素人・・いつか絶対聞き分けてやる!」

直輝のバスケの音を目を閉じて聞き入る莉子。

「好きじゃないよね…

 うん、友だち。」とつぶやいた。

練習に集まったアークスの面々は、マネージャーの春日部(金田哲)から、

夏のスポーツフェスタに協力するよう指示される。

アークスも例年どおりスポーツフェスタにブースを出し、サイン会や

グッズ販売などを行ってファンクラブの会員を増やそうとしていた。

宇都宮、そして廉(金子ノブアキ)の姿はなかった。

ふたりは、日本代表の強化合宿に参加していたのだ。

そんな中、秀治は、莉子と麻衣の部屋に引っ越した。

麻衣は、細々と秀治に注意事項を伝える。

「冷蔵庫は好きに使っていいんだけどあまり大きくないから

 買いだめはしないでね。

 バスルームの化粧品には一切手を触れない。

 洗面所とおトイレは綺麗に使ってね。

 それから、女は連れないでね。風紀が乱れるから。」

そこへ莉子が起きてきた。

「あ・・ブラ忘れた!」

「・・・」

「極力風紀は乱さないこと!」

「はい、了解です!」

スポーツフェスタ当日。

直輝たちアークスの選手は、ユニフォーム姿でファンサービスに務めた。

菜月としおん(小松彩夏)は、アークスブースでグッズの販売をしていた。

そこに、浴衣姿の莉子と麻衣もやってきた。

莉子たちは、川崎らと楽しいひと時を過ごした。

その際、莉子は、直輝のグッズが売れ残っていることに気づく。

川崎は女の子たちに囲まれている。

「すっごい人気・・」莉子が呟く。

莉子は買ったのかな?もしかして沢山買っちゃった?

このグッズがいつ登場するのか楽しみです。

莉子と川崎が歩いていると、そこに川崎の大学時代の友人・柏崎が

やってきた。

柏崎は、莉子を見るなり、川崎に10万円払わないと、と言い出す。

「こいつ、春に仲間と集まった時に言ってたんだよ。

 夏までには、堅めの女を見つけるってね。」

「堅めの・・女。」と莉子。

「そうそう。今まで散々女とっかえひっかえしてきたくせに、

 急に、親も年取ってきたからそろそろ固めの女を捜すとか言い出すから、

 今度の飲み会までに、女を連れてこれるかどうかで、

 10万賭けたんだよ。な!」

「・・・」

「さすがだよ、智哉!こんな立派なバイオリニスト用意するなんて。

 やっぱお前には勝てないわ。」

「この間言ってた・・仲間って・・」と莉子。

「・・うん。」と川崎。

「最低!」

「ちょっと待てよ!

 お・・前ふざけんなよ!」

「10年前に女取られた仕返しだよ。」

「子供かよ!10年前だろ!ホントふざけんなよ!

 莉子ちゃん!!」

「ちょっと待ってよ莉子ちゃん!莉子ちゃん!」

「賭けの為に、私のこと誘ったんですね!」

「違うよ。

 全部違うとは言わないけど・・」

「初めて会ったときからそういうつもりだったの!?

 だからあんな積極的に・・」

「そうじゃないよ!

 俺は本気で、」

「そんな言葉誰も信じられません!」

「あのね莉子ちゃん、」

「もういい!離して!バカ!!」

泣きながら立ち去る莉子。

丁度その場を秀治と直輝が通りがかる。

「生で修羅場見ちゃった!」と秀治。

「・・・」

アパートに戻った莉子は、麻衣に慰められていた。

そこへ、秀治の携帯に直輝から電話が入る。

莉子と話したいらしい。

「もしもし。」

「もしもし上矢です。」

「あ・・白河です。」

「うん。あのさ、秀治にシール渡しておいたよ。」

「え?」

「この間集めてるって言ってたでしょ。だからいるかなーと思って。」

「ありがとう!あと3枚でね、青いマグカップもらえるんだ。」

「そうか。良かった。

 ・・・あのさ、俺、この間言ったじゃん。川崎さんのこと尊敬してるって。

 あれ、嘘じゃないよ。

 まあ・・確かに川崎さんは女にモテるけど、

 信用出来ない男じゃないし。

 友達として、それを言っておきたくてさ。」

「わざわざそれだけの為に?」

「うん。本当はそっちもわかってんでしょ?

 川崎さんがそんなに悪い人じゃないってこと。」

「・・・わかんない。

 ・・・でも・・うん、ちょっとはわかってる。」

「うん。」

「でもやっぱ、割り切れないところもあるよ。

 それって、私のせい?

 私ちょっと、男性不振なのかも。」

「そうなの?」

「うん。」

「うん、まあ・・とりあえず一回直接会って話したほうがいいよ。」

「うん。落ち着いたら話してみる。」

「うん。じゃあ、それだけだからさ。またそのうち。」

「うん。じゃあ又ね。

 あ・・電話だとね、声が変に聞こえる。」

「俺!?変??」

「ううん。ありがとね。」

電話を切った莉子の顔に笑みが戻っていた。

「何が変だよ・・ア、ア・・」

発声練習をしてみる直輝だった。

別の日、直輝や菜月たちは、陽一(加藤慶祐)の店で、日本代表の

ニュースを見ていた。

足首を痛めてしまった廉は、別メニューで調整をしているらしい。

直輝は廉のニュースに身を乗り出して聞き入る菜月に気付き・・。

そして、廉が菜月の部屋に落ちていた黒いアームバンドと同じものを

していることに気づく。

「菜月・・」

「うん?」

「この間さ、部屋にアームバンドあったじゃん。」

「・・え!?」

「あれ、俺のじゃないよね。」

「・・ああ、あったあった。あれ代々木さんの。

 会社に来た時に忘れちゃって、預かっておいてって頼まれたの、

 間違えて家に持って帰っちゃって。」

「・・ふーん。」

「うん。なんだ、直輝も気付いてたんだ。

 だったら直輝に持っていってもらえばよかったね。」

「うん。」

莉子は、麻衣にアルバイトのシフトを代わってもらい、ショッピング

モールで行われるミニコンサートに出演する。

姉の雪乃(ちすん)、妹の優里(大政絢)とともに、母・真希子(真矢みき)の誕生日プレゼントを買いに出かけた直輝は、

偶然、莉子たちのコンサート・ポスターを発見する。

こっそりコンサートを見に行った直輝。

走り回る子供達に「しーっ。」と注意をする。

そして莉子に渡すために、近くのフラワーショップで

一輪のひまわりを買った。

直輝が、演奏を終えた莉子の方に近づこうとする。

そこに大きなバラの花束を持った川崎が現れる。

川崎は、麻衣から連絡をもらってやってきたのだ。

「何て、言えばいいのかな。こういう時。

 素敵な演奏を、ありがとう。」

「・・・」

観客が二人に拍手を送る。

「びっくりした。」莉子が微笑む。

「・・・良かったじゃん。」

直輝はそう呟くと、さっき注意した子どもにひまわりをプレゼントし、

そっとその場から離れた。

駐車場

「そっか・・麻衣から聞いたんですね。」

「嘘はつかないって言ったから、全部本当のことを話すよ。

 確かに俺は、昔はそれなりに遊んでた。

 ラブスコアラと呼ばれてたこともあったんだ。」

「ラブスコアラ?」

「つまり、女性相手に、何ていうのかな、こう、点を取りまくってた。」

「最悪。」

「バスケの方も、3年連続得点王。」

「知りませんよ、そんなことは。」

「だけど、あとのことは全部誤解だよ。

 仲間に会わせたかったのは、莉子ちゃんのことを、本当に、

 自慢したかったからで。

 賭けも、確かにジョークでやっていたけど。

 別に賭けの為じゃない。

 親が年を取ってきて、そろそろ真面目に恋人を捜したいなと思ってた

 のも本当。

 春に親父が入院して、なんとなく、そろそろなのかなって。

 初めて会った日、運命を感じたのも本当。

 だから、積極的にもなれたし、

 本屋に通って、そんなに好きでもない推理小説も読んだ。」

「でも、面白かったでしょ?」

「うん。

 だから、別のシリーズも買った!」

「ホントだ!」

「信じてくれる気に、なった?」

「・・恥ずかしかったです。あんなミニコンサートで、

 こんなに大きな花束。

 せっかく聴いてもらうなら、ちゃんとした会場で、

 ちゃんと、聴いてもらいたかったし。

 でも・・嬉しかった。

 今日は、ありがとう。」

二人は微笑みあい・・。

その夜、上矢家では、真希子の誕生パーティーが開かれる。

そこに、菜月から電話が入った。

「もしもし?」

「もしもし?今大丈夫?」

「うん。」

「特に用は無かったんだけど、めずらしく今日は一回もメール

 来なかったから、どうしてるのかなと思って。」

「どうもしないよ。優衣と買物に行ってた。

 母さんの誕生日プレゼント買いに。」

「あ!そうだ!お母さん誕生日だよね!

 ごめん、忘れてた。私も何か買わなきゃ。」

「大丈夫だよ。気持ちだけで十分。」

「じゃあ、お母さんに代わってもらってもいい?」

「もしもし?まあ!ありがとう!

 もういいのよ、プレゼントなんて。」

「また伺わせて下さい。はい!

 はい。では失礼します。」

電話を切ると、菜月は苛々した様子でタバコに手を伸ばす。

子供達からのプレゼントに嬉しそうな真希子。

「でも、一番嬉しいのは、3人とも元気で、

 ここにいてくれることだな。」

「まあ姉ちゃんは余計だけどね!」

「そうよ、雪乃。あんたはもうそろそろほら、おうち帰らないと。」

「そうだよ、ユウスケさんの電話を無視しちゃって。」

「弁解ぐらい聞いてあげないと不公平だよ。」と直輝。

「夫婦なんてそんな簡単なものじゃないの!」

「簡単なものじゃないけど、でもね、雪乃も、直輝も、優衣も、

 幸せな結婚してほしいのよね。」と真希子。

「・・・」

「あ、私の真似なんかしないで、ね!」

「わかってるって。」と直輝。

「私も。

 ・・・わかった。ちゃんと話聞いてみるよ。」

「私は大丈夫!絶対に幸せな結婚出来るから!」と優衣。

「そうね!」

「ケーキ食べよう!ケーキ!」

「お兄ちゃんの手作り~!」

直輝の部屋

直輝は婚約指輪を見つめ・・

「しっかりしろ、俺!」と呟く。

川崎からもらったバラの花束を部屋に飾る莉子。

カバンの中から、ひまわりの花を取り出し・・。

宇都宮と廉が強化合宿を終えてアークスに戻ってくる。

廉のケガは全治1週間だという。

「・・・大丈夫?」直輝が声を掛ける。

「・・・あんま優しすぎると、あとで自分だけ痛い目に遭うぞ。」

「・・・」

夕方、体育館に忘れものを取りに向かった直輝は、公園の前で

莉子に出会う。

「あ。」

「あ。」

「ね、この間ありがとう。

 お陰で昨日ちゃんと話せた。」

「良かった。」

「うん。

 今まではね、大人の男性だなってことしかわからなかったんだけど、

 話して、いろんな面が見えて、前よりなんか近づけた気がする。」

「ふーん。」

「この間ね、お客さん15人しかいなかったのに、

 こんな大きな花束、もらったんだ。

 初めてだったなー、あんなの。

 あとね!小さい男の子が花くれたの。ひまわりの一本の可愛いヤツ!」

「・・・」

「嬉しかったなぁ。バイオリン、もっと頑張んなきゃって私、

 又思ったんだ。」

「良かった。」

「練習?」

「うん。体育館に忘れ物してさ。そのまま自主トレ。

 そっちは?デート?」

「何でわかった?」

「近くでいる時と、外でメイクが違うでしょ?」

「え?そんな濃いつもりないけど。」

「じゃなくて普通に、綺麗だなと思って。」

「・・・」

「じゃ!」

「・・じゃ。」

自転車を漕ぎ出した直輝だったが、一度停まって振り返る。

「ねえ!」

「はい?」

「俺らさ、頑張って夢追っていこうよ。」

「え?」

「いや・・俺はもっと強くなって、優勝して、オリンピック出て。

 そっちはほらこう、何とかホールとかでコンサート出来るような

 すげーバイオリニストになってさ。

 今はまだ夢の話かもしれないけど、

 絶対いつか叶えてやろうぜ。

 最後の最後まで諦めないで。」

「うん。

 私も頑張る。

 おばあちゃんになっても、この夢、絶対にあきらめない!」

「うん。じゃあね!」

「じゃあね!」

直輝と別れた後、莉子は、

「好きじゃないよね…私・・・。

 好きじゃない・・好き、じゃない・・」

と何度も繰り返しながら歩いていた。

が、ふと立ち止まった瞬間、直輝に対する自分の気持ちが

わからなくなり…

「・・・好き。」

「莉子ちゃん!」川崎に声を掛けられると、莉子は自分の思いを

振り払うように笑顔で川崎に駆け寄る。

 

そのころ、ロッカールームには菜月と廉の姿があった。

「自業自得じゃない。

 バカみたい。無理しちゃって。」

「俺に会いたかった?」

「あなたのその自信って、どこから来るの?」

「・・今はちょっと自信ねーかも。

 ・・・自信持たせてよ。」

廉のケガを心配する菜月は、珍しく弱音を吐く廉に、自分からキスをした。そんな菜月を抱き寄せる廉。するとそこに、直輝が現れて…

スポーツと芸術。

全く別の舞台に生きる二人ですが、

夢に向かって突き進むお互いの姿に勇気を分け合っているようです。

莉子は自分の気持ちに気付いてしまいました。

好きじゃない、好きじゃないって、自分に言い聞かせるように

していましたが、やっぱり好き、なんですよね。

そして菜月も、自ら廉にキス。

今までは廉とキスをしていても氷の様な瞳だったのが、

今回は少し温かい笑みを浮かべていました。

それを、直輝は見てしまいましたね!!

恋人とライバルのキス。

10年前川崎は大学の友人・柏崎の恋人を奪ってしまった、という

エピソードが登場しましたが、直輝と廉は良いライバルとなれるのでしょうか。

上官飞飞 发表于 2010-11-26 18:39:13

第五回

『君の涙』

直輝(山下智久)は、恋人の菜月(相武紗季)がチームメイトの

廉(金子ノブアキ)とキスしているところを目撃した。

そんな直樹に気付く二人。

「・・・何してんの。」直輝が呟く。

「・・・」

「何してんだよ!」

ショックを受け、その場から立ち去る直輝。

「直輝!違うの!直輝!

 お願い待って!」

菜月が直輝の後を追う。

「待ってよ直輝!ごめん!

 ごめん私・・

 ごめんなさい・・。」

「何でそっちが泣くんだよ!

 ・・ずるいだろ!」

「ごめん!私なんであんなこと・・ごめん!

 ごめん・・。」

泣きながら必死に謝り続ける菜月。

そこへ廉がやって来た。

「お前さ!俺の女だってわかってて手出したの?」

「どっちでも良くね?

 人の球だろうがルーズボールだろうがさ。

 欲しい球は取るよ。」

廉に掴みかかる直輝。

「直輝!やめて!」

菜月は直輝を廉から引き離すと、

「帰ってよ!」

と廉に叫び、廉は帰っていく。「・・いつからだ?」と直輝。

「・・・」

「いつからだよ!」

「今!さっき急に。

 ごめん。あんなことするつもりじゃなかったの。

 怪我の話聞いてたら、急に・・。」

「・・意味わかんねーよ!」

「自分でもわかんないよ・・。

 ごめん直輝、許して!

 ごめん・・ごめん・・。」

菜月はその場に泣き崩れ・・。

一方、莉子(北川景子)は、川崎(伊藤英明)とデートをしていた。

「いつもいつもご馳走になっちゃって。

 バイト代入ったら次は私がご馳走しますから。」

「いいの!女の子はそんなこと気にしなくていいの!

 で・・このあと、どうする?」

「・・・そうだ!じゃあうち来ませんか?」

「え?いいの?」

「はい!」

莉子と麻衣(貫地谷しほり)のマンション

秀治(溝端淳平)のトレーニングに付き合う麻衣。

麻衣の携帯にメールが届く。

「あ、なんか莉子と川崎さん今から来るって。」

「じゃあ俺達邪魔じゃないですか?」

「なんかね、秀治君の引っ越し祝いやろうって。」

「マジっすか!?やったぁ!

 いやでも僕嬉しいです。こうやって、麻衣さんや莉子さんと

 お友達になれて!」

「お友達じゃなくて居候ね。そこんとこ間違えないで。」

「はい。すみません。」

「じゃあ片付けて。」

「はい!」

「でもね私、基本的に、男と女の友情って、ちょっと胡散臭いなって

 思っているところあるのよねー。」

「何でですか?」

「だってさ、いくら友達とか言ったってさ、結局男と女のわけでしょ?

 抱きあったりキスしたり、それ以上したりすることもあるわけじゃない。」

「うーん、でも、友達だったらないんじゃないんですか?」

「想像してみて。

 あなたの友達がすごく可愛い女の子で、

 秀治、私、彼氏と別れようと思うの、なんて相談して

 首をかしげながら、谷間をこう作りながら、近づいてきたら、

 どう?」

「・・・しますね確実に!」

「でしょ!?でも女同士だったら絶対にしない。

 だけど男女だとそういうわけにはいかないのよ。

 だから純粋な友情なんて、出来ないと思うのよねー。

 ・・・だから何か莉子も怪しいっていうか・・。」

その頃、帰宅した菜月は部屋の明かりも付けず、呆然と立ち尽くし・・

タバコに手を伸ばすが、それを握り潰す。

莉子たちの部屋

「乾杯!」

「なんかすみません、お祝いなんて。」

「いや・・すっかりお前の存在を忘れていた。」と川崎。

「え?」

「ま、いっか!部屋には来れたんだし。」

自分が贈ったバラの花に目を細める川崎。

「それにしてもいい部屋だね!

 女の子の部屋って感じがするよ。」

「そうですか?」と麻衣。

「いや、麻衣さんがキレイ好きで、片付けに厳しいんですよ。」と秀治。

「そうだよね!麻衣って厳しいよね?」と莉子。

「はい。麻衣さんは、見た目ほわっとしているのに、実はキビキビしてて、

 逆に莉子さんは、見た目シャープなのに、家ではダラダラヘナヘナ

 してるんです。」

「へー。そうなんだ。

 秀治、二人に感謝しろよ。」

「はい!」

その時、インターホンが鳴る。

「来た来た!僕が呼んだんです。」と秀治。

「呼んだ?呼んだって?」と麻衣。

「直輝かな?あいつんち近いし。」と川崎。

「え!?上矢君!?」

莉子のリアクションが引っかかる川崎。

やってきたのは、宇都宮(永井大)だった。

秀治が麻衣に気を利かせたのだ。

宇都宮に思いを寄せている麻衣は、大喜びだった。

行き場のない直輝は、いつもの公園にいた。

混乱する気持ちを抑えるかのように練習に没頭する直輝・・。

川崎と宇都宮が帰るのを見送る莉子と麻衣。

翌朝、新聞を取りにポストまで降りてきた莉子は、

ベンチで眠っている直輝の姿を見つける。

そっと歩み寄った莉子は、携帯電話を取り出し、直輝の寝顔を撮った。

ポストまで降りてきた麻衣と秀治が、そんな莉子に気付く。

シャッター音に直輝が目を覚ます。

「何してんの?」

「あ・・おはよう!」

「うーん・・何か撮った?」

「え・・いや・・あの、蝶!蝶がいたの。

 見たこともないやつだったなー。」

「蝶ね。」

「そうそうそう!あれ、何て名前なのかなー。

 羽がこう、ひらひらひらって。」

「ははー。」麻衣が呟く。

「今何時?」と直輝。

「7時ちょっと過ぎ。」

辺りを見渡す直輝。

「俺の携帯鳴らしてもらっていい?」

「ああ、いいよ。

 ・・・ごめん、番号知らない。」

直輝は莉子に携帯の番号を告げる。

「あった!」

「ねー、もしかして一晩中練習してた?」

「うん。」

携帯を開くと、菜月からの着信が何度もあった。

「夢なら良かったのに・・。」

「うん?」

「じゃあ、俺帰るね。」

「あ!待って待って!相棒、忘れてる。」

莉子がバスケットボールを放る。

「・・・何やってんだ俺・・。

 ありがとう!」

直輝が帰っていくのを見送る莉子は、麻衣と秀治の姿に気付き・・。

莉子と直輝、こういう形で携帯の番号を知ることに!

部屋に戻ると、麻衣は莉子を追求する。

「ねえ莉子、教えてもらいたいんだけどさ。

 この都会のど真ん中のどこに蝶がいたの?」

「うそ!全部見てたの?」

「信じられない!何盗撮なんかしてんの!」

「いや別に撮る気はなかったんだよ。

 だけど・・上矢君の寝顔見てるとさ、自然にこう手が、伸びて。

 血迷ったのかなー。」

「どんな言い訳よ・・。

 やっぱり莉子、上矢君のこと・・」

「それはない!

 好きじゃない。」

「・・・」

「好きじゃないよ。

 彼女いる人好きになるなんてあり得ないし。

 ・・うん。この間ね、上矢君に言われたんだ。

 一緒に夢追ってこうぜって。

 私・・嬉しかった。

 だから、好きになんかなったら、大事な友だちなくしちゃう。

 だからそれはない!

 そして・・この写真も・・消す!」

写真を削除する莉子。

「消した!」と麻衣。

「うん。ちなみに私、麻衣の寝顔も沢山撮ってるから。」

「嘘でしょ?」

「ほんと!」

「見してよ。」

「見せない!」

「見して!」

「やだ!

 ・・・麻衣、私ね・・川崎さんのこと、きっと好きになる。」

「うん。」

「絶対なる。

 だから、大丈夫。」

「・・うん。わかった。

 そうだよ。あんな言い人いないよ。」

「だよねー。」

帰宅した直輝に、母親の真希子(真矢みき)や妹の優里(大政絢)たちは

直輝の様子が変だと気付き、心配する。

シャワーを浴びながら直輝は考える。

「良く考えれば、予兆はあった。」

「私が欲しいのはこういうことじゃないの。」

「もっと夢中になりたいの!

 他のものに目が行かなくなるくらい!」

「バカなのは・・気付かなかった俺だ・・。」

アークスが恒例の合宿に出発する前日、

川崎は上司にボストンに視察に行くよう告げられる。

「今シーズンこそ、本当に負けられないからね・・。」と上司。

直輝が一人残って練習をしていると、携帯が鳴る。

菜月からだった。

直輝は携帯には出ずに練習を続け・・。

そんな菜月に、宇都宮が声を掛ける。

「久しぶりに飲みにでも行くか?」

「あ・・今日はやめておきます。まだ仕事があって。

 でも、今度、話聞いてもらっちゃおうかな。」

「OK!それじゃあね。」

「はい、お疲れ様です!」

宇都宮が菜月に声を掛けたのは、

菜月が元気ないと気付いたから?

それとも、菜月のことが好き?

莉子と麻衣のマンション

「ねえ麻衣聞いて!」

「莉子聞いて!」

「じゃあじゃんけんね!」

莉子の勝ち!

「あのさ、この間ミニコンで一緒だったさ、タシマさんっていたでしょ?」

「ビオラの?」

「そう、あの人から今メールがあって、バイト紹介された。」

「バイオリンの?」

「夜の会員制のバーで弾くようなやつなんだけど。」

「あー、ちょっとお水系ね。

 ああいうのあんまり好きじゃないって言ってなかった?」

「そうなんだけど、夜の仕事はちょっとって思ってたんだけど、

 せっかく声も掛けてくれたことだし、」

「そろそろ私の話してもいい?」

「ああいいよ、どうぞ。」

「宇都宮さんからデートに誘われた!」

「きゃぁ~!」

「私ね、今まで好きってバレない程度に、

 二日に一度と控えめなメール送り続けてきたわけ。」

「それ好きってバレてますけど。」と秀治。

「今、初めて向こうからメールがきて・・

 明日から合宿だから、今夜ご飯でもどうですかって!!」

「何て素敵なの!」

「でしょ!?

 文章までスポーツマンシップに溢れてる!」

「ほんと!麻衣良かったね!」

「うん!よし、あれを使おう!

 デート前にぴったりの即効性パック!

 1枚1,500円!」

「高っ!」

「やっとあの秘密兵器を使うときが来たのよ!」

「ねーねー、私にも見せてその秘密兵器!」

「いいよ、こっち!」

「うん!」

「あ・・秀治君、色々ご協力、ありがとうございました。」

「・・はい。」

一人になると秀治は呟く。

「なんかちょっと・・寂しいな、俺・・。」

秀治は麻衣に恋心?

麻衣を迎えにいくという宇都宮に付き合って、

直輝は、莉子と麻衣がアルバイトをしている書店を訪れた。

「練習帰り?」と莉子。

「うん。自首トレしてた。今回の合宿が勝負だからさ。」

「何の?」

「ポジション取りの。

 俺はすごいぞー、だから使ってくれってこう、

 ヘッドコーチにアピールするの。」

「ふーん。楽しみだな、試合見られるの。」

「うん。そっちは練習してる?」

「うん、毎日練習しないと指がなまっちゃうからさ。

 演奏する予定はないんだけどねー。」

莉子は中西が表紙の雑誌を手に取りページをめくる。

彼がプロデュースした『ヴィーナスストリングス』デビューの記事が

載っていた。

「ねえ上矢君、もしね、この中のうちの一人が私だったら、

 すごいと思う?」

「うん、思う!だってCD出すんでしょ?」

「うん。まあね・・。」

「クラシックって結構薄着なんだね。」

「これは、プロデューサーの趣味だと思う。」

「ふーん。でも俺はやっぱ、CDより生演奏の方が好きだな。」

「何?その音楽マニアみたいな意見。」

「だって、演奏している姿が見えた方がいいじゃん。」

「うん。」

「俺ね、白川さんが演奏している姿好きだよ。」

「え?」

「男らしいし、カッコいいし、イケメンだ!」

笑い合う二人。

「ま、いっか!

 でも確かに、ちゃんと誰かの前で演奏できるのって、幸せなことだよね。」

「うん。」

「うん、よし!やっぱあれやろ!」

「何?」

「バーのバイト。

 夢からはまだ遠いけど、バイオリン聴いてもらってお金貰えるなんて、

 嬉しいもん。」

「うん、いいじゃん。頑張ってよ。

 俺もいつか見に行くから。」

「ありがとう!

 私、上矢君と話してると、いつもなんかやる気出る。」

「マジで?」

微笑み合う二人。

「・・行かないと。

 上矢君も合宿頑張ってね!」

直輝が家に戻ると、雪乃(ちすん)の夫・祐介(川端竜太)が来ていた。

「本当にごめんなさい!」

「いいから、帰って!」

「頼むよ雪乃、許してくれよ。

 内緒で元妻に会ったのは、悪かったです。反省しています。

 もう二度としません。だから許して。」

「・・・」

「何で会っちゃったんだろう、俺。

 自分でもわかんない。

 でもな、浮気はしてないんです。してません!

 頼むからもう許してよ。」

「ね、雪乃、もうそろそろ許してあげたら?ね!

 こんなに一生懸命謝っているんだから。」と母・真希子。

「そうだよ、いくらでも謝るから。」と祐介。

「いや、許せないよ!」と直輝。

「うん?」

「だってさ、許してとかごめんって言われたら、

 絶対許さないといけないの?それ変だよ。

 裏切られた傷は、そんな簡単に治んねーよ。」

直輝はそう言い捨て自分の部屋へ。

「直輝!?」

「どうしたのよ直輝!大丈夫?」

「いや、許したい気持ちはあるよ。

 でもさ、何信じていいかわかんないんだよ。

 信じているもんがさ、いきなり全部崩れちゃった感じで・・。

 価値観崩壊だよ。」

「ねえ直輝、何かあったの?」と雪乃。

「・・いや、別に。」

「菜月ちゃんと何かあったの?」と真希子。

「俺の話はいいからさ、ちゃんと二人で話し合って、

 結論出して。」

部屋からみんなを出すと、直輝はベッドに横になり考え込む。

同じころ、莉子は、川崎と会っていた。

川崎から、今夜は一緒にいてほしい、と言われた莉子は、

朝まで飲みましょう、といって彼の誘いをかわす。

あくる日、直輝たちはアークスの面々は合宿先へと向かった。

菜月たちチアチームも一緒だった。

合宿先に到着すると、すぐにトレーニングが始まる。

「代々木君の足はもう大丈夫そうだね。」と上司。

「はい、練習に支障はありません。」と川崎。

「やはり、宇都宮君の次は、アークスの二枚看板として育ってほしい

 ものだね。」

チアの練習を指導する菜月。

後輩たちを厳しく指導していく。

練習後、部屋割り表が配られる。

皮肉にも、直輝と廉は同室だった。

「お前と同室とはね。

 寝ている間に刺したりすんなよ。」と廉。

「そんなくだらねーことしねーよ。

 ・・・いつからだ。」と直輝。

「は?」

「いつからだよ。」

「ああ。

 お前に1on1で勝った日かな。」

「・・・」

翌日、アークスのメンバー・ラリーがボストンから帰国し練習に合流。

直輝は練習試合でキレのいい動きを披露する。

練習試合を見つめる川崎たち。

「確かに代々木廉は面白い選手です。

 しかし、直輝も仲間の動きを良く見ています。

 直輝も今年3年目です。

 これからが面白いですよ。

 どう組ませるか、楽しみだな、こりゃ!」

そんな中、試合に出られなかった秀治は悔しさを噛みしめていた。

風呂場、浴槽に浸かる宇都宮、川崎、直輝。

「なぁ直輝。菜月と何かあったのか?」宇都宮が聞く。

「え・・」

「今まであれだけ仲が良かったんだから誰だって気付くだろ。

 菜月も元気ないし。」

「・・・」

「そうだったのか?」と川崎。

「あ・・心配掛けてすみません。

 でも、大丈夫です。」

直輝はそう答え、風呂から上がる。

「大丈夫かな、あいつ。」と宇都宮。

「うん?」

「いや、難しいんですよね。選手と社員の恋愛って。」

「うん。

 そういえば、お前麻衣ちゃんとどうだったんだよ。」

「え?俺っすか?

 なんか女の子と二人なんて、何喋っていいのかわからなくて

 緊張しましたよ。」

「そっかそっか。」

「やっぱり俺は男同士の方が安心出来るな。」

「・・実はな宇都・・俺も悩んでるんだよ。」

「え?」

「もしかして・・愛されてないのかなー。」

一人練習を続ける秀治。

「・・・今年も出られへんのかな・・。」

寂しそうにそう呟き・・。

直輝の携帯が鳴る。

「・・・はい。」

「直輝?

 そろそろ、ちゃんと話しない?」

「俺もそう思ってた。」

離れたベンチに座る二人。

「・・・私・・浮気した。」

「・・・」

「ごめん。

 言い訳してもしょうがないから、正直に話す。」

「あいつのこと好きなんだ。」

「直輝が好きだよ。

 直輝が好き。

 優しくて、いつも私のことを思ってくれて・・。」

「・・・じゃあ何でだよ。」

「でも代々木君に出会うよりずっと前から、

 ・・・私直輝に不満があった。

 ねえ直輝、優勝したらとか、自信が持てるようになったらとか、

 ・・・そんな、あいまいな物いつまでも待っていられるほど、

 私心に余裕ないよ。」

「・・・」

「私が支えたって全然良かったのに・・

 なのに直輝はいつも自分のプライドばっか。」

「・・・」

「直輝、俺が幸せにする幸せにするって、

 何回も言ってくれてたけど・・

 あれって、全然リアルじゃなかった。」

「・・・あいつの言葉なら、リアルなの?」

「彼はそんなこと言わない。

 私、あの人といると、何も考えないでいられるの。

 好きとか嫌いとか将来とか、そういうの何も考えないで、

 ただ夢中になってられる。」

「・・・」

「それだけだよ。

 それだけ。

 直輝と別れたいなんて思ってない。

 だから・・私、」

「もういいよ。」

「・・・」

「チンケかもしんないけど・・

 俺にとっては大事なプライドだよ。」

「・・・」

「幸せにしたいって・・守りたいって・・

 本気で思ってた。」

「・・・」

「・・・今までありがとう。

 すげぇ好きだったよ、菜月のこと。」

「・・・」

直輝は、そう言い残して菜月の前から立ち去った。

部屋に戻った直輝に、廉が言葉を掛ける。

「明日は負けねーからな。」

「なあ、

 ・・・よろしく頼むよ、菜月のこと。」

「何の話?」

「あいつ・・すげぇ寂しがりやなんだ。

 しっかりしているように見えるけど・・中身もろいし、無茶するし。

 だから・・もしお前が本気なら・・

 ちゃんと、本気で菜月と付き合ってほしい。」

「なんだそりゃ。

 何?俺に結婚しろとか言うの?

 まだ25だよ、」

「真剣に話してんだよ俺は!!」

「・・・じゃ許してやれよ。

 わっかんねーけど、お前との人生設計とか、思うようにいかなくて、

 反動的に真逆なものに惹かれてるだけでしょ?」

「・・・」

「無理してんだよ。タバコも似合ってねーし。」

「・・・俺の前では吸わなかったよ。」

「・・・」

「俺じゃダメなんだよ。」

「・・・」

「よろしく頼むよ。」

直輝はそう言い、部屋を出ていく。

一人でランニングしながら、直輝は菜月との思い出を振り返り・・。

泣きたいのを堪えて走り続ける。

合宿所に戻った直輝は、仲間たちが盛り上がっている部屋を素通りし、

自分の部屋へ。

代々木がチラっと直輝の方を見ていたような気が・・。

彼も悪い人じゃなさそうです。

ベッドに腰掛けていると、莉子から電話が入る。

「はい。」

「白川です。」

「ああ。」

「あ、ごめん。今、大丈夫?」

「・・うん。どうした?」

「うん。

 シールが全部揃ってね。マグカップ、もらえたの。」

「そっか。良かったね。」

「うん。だから・・お礼を。

 ごめん、用それだけなんだ。」

「・・大丈夫。」

「練習、大変?」

「うん。かなりキツい。

 でも、川崎さんイキイキしてるよ。」

「なんかわかる。」

「あと、秀治がトレーナーと同じ部屋なんだけど、

 いびきがうるさいから、早く帰りたいって。」

「なんかちょっと麻衣も寂しそう。」

「そうなんだ。」

「・・今日ね、初めてバーのバイト行ってきたんだ。」

「うん。上手く弾けた?」

「うん。一生懸命弾いたけど、誰も聞いてなかった。」

「そんなことないよ。」

「ま、基本お酒飲むお店だしね。

 みんな大きい声で喋ってたし。」

「大丈夫だよ。誰かはちゃんと聞いていたと思うよ。」

「そうかなー。

 あ!ねえ、今聴いてくれる?」

「うん。」

莉子は携帯電話を置いてバイオリンを演奏した。

その優しい音色を聴いているうちに、直輝の瞳からは止めどなく涙が

溢れてしまう。

「もしもし、聞こえた?長かったかな。」

「・・うん、良かった。」

「・・どうかした?」

「・・大丈夫。」

「・・・」

「ごめん、電池なくなっちゃった。」

「上矢君!」

「ありがとう、又掛けるから。」

直輝はそう言い、電話を切り・・。

莉子の部屋に麻衣がやって来る。

「莉子、今の演奏すっごい良かったよ。

 どうしたの?」

「どうしよう・・。泣いてた。」

「はい?」

「どうしよう、麻衣!!」

「・・・」

あくる朝、直輝は、体育館で練習をしていた。

するとそこに、突然、莉子がやってくる。

「え!?何で!?」

「だって・・泣いてたから。」

「・・・」

「はぁ・・着いたぁ!

 夜中には着くと思ったんだけど、途中で電車なくなっちゃって、

 深夜バス乗って、そしたら、変なトコしかバス停なくて。

 それで、タクシーもなくて、走って・・。

 上矢君、大丈夫!?」

「・・それ俺のセリフだよ。

 大丈夫?」

「うん。」

「泣いてねーし。」

「泣いてたし。」

「泣いてないってば。」

「私耳だけはいいんだから。」

「・・・」

そんな莉子を思わず抱きしめてしまう直輝。

「・・・ごめん。」

体を離して謝る直輝。

すると莉子は直輝に抱きつく。

「ううん。

 大丈夫。

 もうちょっとだけ・・・このままで…

直輝はそんな莉子を抱きしめ・・。

物語が大きく動いてきました。

キス現場を見られてしまった菜月。

泣きながら、直輝に必死に謝り続けましたね。

直輝の言うように、それはズルイのだけれど、

自分の過ちの大きさにやっと気付き、

直輝を失いたくないという思いが伝わってきました。

いつもの公園で、直輝の寝顔をつい盗撮してしまう莉子。

そしてそのあと、莉子は麻衣に言いました。

「この間ね、上矢君に言われたんだ。

 一緒に夢追ってこうぜって。

 私・・嬉しかった。

 だから、好きになんかなったら、大事な友だちなくしちゃう。

 だからそれはない!」

直輝との友情を壊したくない。

でも、麻衣曰く、男と女の間に友情は成り立たない。

友達という枠からはみ出したくないのは、直輝を失うことが怖いから?

「私ね・・川崎さんのこと、きっと好きになる。」

莉子のセリフ。

親が決めた許婚じゃあるまいし・・。

恋って努力して好きになるものじゃないですよね。

川崎の、もっと一緒にいたい、という思いをかわす莉子。

川崎さんの誘いの言葉に、待つと言っていたのに・・と

思ってしまったけれど、

「もしかして・・愛されてないのかなー。」

そう呟く川崎が、ちょっと可哀想になりましたが、

菜月は、人の前でいい子ぶりっ子、というわけではないんですね。

後輩には厳しいけれど、嫌われてはいない。

クラブのオーナーの前ではタバコを吸っている。

直輝の前だけ、いい子を演じてしまっているのかな。

タバコを吸わないのは、直輝の健康を気遣って?

そう思うと、菜月のことも憎めません。

菜月と直輝の微妙な関係に気付く宇都宮。

「今まであれだけ仲が良かったんだから誰だって気付くだろ。

 菜月も元気ないし。」

と言っていましたが、川崎は宇都宮に言われて初めて気付いた様子。

宇都宮が菜月を見つめていた、という設定なのか、

みんなをしっかり見ている、という設定なのか、

「男同志の方が安心出来る」という言葉の意味も

体育会系だからなのか、別の意味がるのか、気になります。

菜月とのことで傷つきながらも、莉子の話を聞いてあげる直輝。

優しいですね~!

自分も辛いのに、莉子のことをちゃんと励ましてあげている。

こんな"友達"が欲しい!と思ってしまった。(笑)

莉子の弾くバイオリンの音色に、我慢していた涙を溢れ出させる直輝。

直輝の涙に気づき、無茶して駆けつける莉子!

そして、二人は抱きしめあい・・。

友情の枠からはみ出してしまったのでしょうか?

川崎から贈られたバラの花束はリビングに、

子供(実は直輝)から贈られたひまわり一輪は莉子の部屋に

飾ってありました。

無意識のうちに、直輝からのものを部屋に飾っているところにも

運命を感じさせます。

麻衣はあの時「行け!」と言ってくれたのかな。

川崎と直輝の友情がどうなってしまうのか気になります。

上官飞飞 发表于 2010-11-26 18:44:09

第六回

『約束』

合宿中だった直輝(山下智久)のもとに、莉子(北川景子)が

やってきた。

電話で直輝と話していたとき、彼が泣いていることに気づいた

莉子は、心配になってアークスの合宿先まで駆けつけたのだ。

そんな莉子を思わず抱きしめてしまった直輝は、次の瞬間、

体を離して謝った。

すると今度は、莉子の方から直輝に抱きついた。

「もうちょっとだけ・・このままで・・。」

が、抱き合っているうちにバランスを崩して倒れこんでしまう

ふたり。

「・・・」

そのとき、莉子が目覚まし用にセットしておいた携帯電話の

アラーム音が鳴り出した。

その音で我に返った直輝は、明るく振舞い、

こんなところまで来てくれるなんてビックリした、と莉子に話す。「ねえ・・合宿で何かあった?」と莉子。

「・・・うん。プライドは守ったかな。」

「え?」

「何でもない、大丈夫。」

「そうか。

 ごめんね、急に来て。」

「俺の方こそなんか、心配掛けちゃったみたいで。」

「ううん。

 じゃあね。」

「え?もう帰るの?」

「うん。

 バイトあるし・・練習、あるでしょ?」

「あの・・川崎さんとか、会っていかないの?」

「うん・・ノーメイクだし、差し入れとかも何も持ってきてないし。」

「そうなんだ。」

「うん。」

「・・・ほっとけなかった。泣いてたから。」

「・・・」

「ほら・・私・・友達だし・・」

「うん。」

「ファンだし。」

「俺も、白河さんの友達で良かったよ。」

その言葉に微笑む莉子。

「ありがとう。」

「じゃあ、また!」

「ねえ!」

「うん?」

「バス停、バス停まで送っていくよ。」

 

その頃、川崎(伊藤英明)は宇都宮(永井大)と一緒にランニングをしていた。

「合宿終わったらすぐボストンですか?」

「ああ。月曜に経ってそれから2週間だ。」

「結構ハードですね。」

「俺のことはいいよ。

 それより今は、お前ら選手の体調やメンタルが大事だ。

 上手くやれよ、私生活もな!」

「はい。

 でもどっか女って面倒で。」

「そう言うなよ。

 自分一人より誰かの為に頑張ろうって思った時の方が、

 強くなれることもある。」

「さすが恋する男のセリフは違いますね。」

「・・・」

「大丈夫ですよ!

 川崎さんが愛されてないはずがないじゃないですか。」

「だから、俺のことはいいって。

 よし、もう一周行って来い!」

「はい!行ってきます!」

バス停

「・・白河さん。」

「うん?」

「演奏、本当良かった。

 音楽のこと、よくわかんないけど・・

 電話で聴いても感動した。

 だから・・頑張ってね。」

「うん。」

バスに乗り込む莉子。

「じゃあ、またね!」

手を振り別れる二人。

バスの中、莉子は切ない表情を浮かべ・・。

莉子を乗せたバスを見送る直輝。

そしてそんな二人を川崎は偶然見てしまい・・。

朝、選手たちより先に帰京する菜月(相武紗季)たちチアチームが

ロビーに集合する。

廉(金子ノブアキ)に歩み寄る菜月。

「代々木さん、これ、前に言ってた去年の試合のDVDです。」

「おぉ、サンキュー。」

「東京に戻ったら、連絡してね。」

「・・・」

「ではみなさん、お先に失礼します。」

菜月は直輝を無視し、立ち去ろうとする。

「菜月!今のどういうこと?」宇都宮が呼び止める。

「そんなに心配ですか?直輝が。」

「いや・・でも・・」

「振られたのは・・・私です。」

「え!?」

直輝たちアークスの面々は、トレーナーの松山亮介(川島章良)らの

指示で厳しいトレーニングを続けていた。

練習を見守りながら、川崎は莉子と直輝の今までの様子を思い起こし・・。

「あー・・直輝かな・・。」と呟く。

「面白いじゃないか・・。

 よーし、全員集合してくれ!

 今から10分間休憩したあと、練習試合を行う。

 赤チーム、佐賀、ラリー、中村、廉、・・直輝。

 白は、宇都、守口、佐藤、田中、それから・・」

「それから、」と秀治。

「それから・・それから、俺!」

「え!?」「川崎さん!?」「川崎さんがやるんですか!?」

初めて川崎とプレーすることになった直輝たちは、テンションが

上がっていた。

名前を呼ばれなかった秀治はがっかりした表情で・・。

同じころ、帰宅した莉子は、待ち構えていた麻衣(貫地谷しほり)に、

合宿所での出来事を打ち明ける。

「私・・上矢君を押し倒してしまった。」

「え!?はい!?」

「押し倒して、あわよくば、自分からキスするところだった。

 どうしよう私・・自分が怖い!」

「ちょっと待って!どういうこと!?」

「わざとじゃないのよ、本当に。

 相手の方から、フッと来て、だから、自分も思わず、ガっと行って、

 そうすると、胸の音がドキドキドキドキ聞こえてきたから、

 もっとよく聞きたいなと思って、グッと近寄ったら、

 こう、バタっとなってしまって。

 それで、」

「ちょっと待って!擬音ばっかで全然わかんない。」

「それで、ピピピピっとなって、目覚ましが、

 そこで、我に返って、

 川崎さんとか、上矢君の彼女とかに見られたらどうしようって

 自制心が急に沸いて・・。

 はぁ・・。反省してる、今、すごく。」

「わかんないけど・・うん。大体わかった。

 シャワー浴びておいで。10分で出るから。」

「うん。ありがとう、麻衣。」

一人になると麻衣は呟く。

「予想以上に深刻だぞ・・。」

川崎チームとの試合に敗れた直輝たちは、罰ゲームとして

ランニングをしていた。

その際、直輝は、一瞬、足首に痛みを感じ…

 

その夜、直輝は、川崎の部屋を訪れた。

「なぁ直輝。」

「はい。」

「お前・・今シーズンから本格的に1番やってみるか?」

「マジっすか?」

「って言うつもりだったけど・・

 でも今日の動きじゃなー。

 球も全然回ってないし。」

「・・・」

「代々木もだ。

 お前らさ、いいコンビ組めたら最高なのにな。

 ま、今日は俺が素晴らしすぎたっていうのもあるけどな。」

「はい。すごかったです、存在感。

 マッチアップしてても普通に怖かったし、

 初めて川崎さんのこと憎いと思いました。」

「ハハ。そうか。正直でよろしい。

 ・・正直で優しくて。だからお前は信頼出来るんだ。」

「優しくないっすよ。俺、なんかその言葉嫌いなんです。」

「優しいよ。

 ・・でも直輝。お前・・何か隠してないか?」

「・・・隠してるつもりはなかったんですけど。」

「・・うん。」

「菜月と、別れました。」

「え!?」

「いやでも、全然大丈夫です。

 これで、やっとバスケに専念出来るなって。

 心配掛けてすみませんでした。」

「謝ることじゃないけどさ・・

 でも大丈夫なのか?」

「はい。俺、暫く女はいいです。」

「・・・」

「じゃ、お疲れ様でした。」

直輝はそう言い、部屋を出ていく。

「・・・暫く女はいいか・・。

 じゃあ俺は、遠慮なくいくぞ。」

川崎はそう呟き・・。

部屋に戻った直輝は、足をマッサージしながら、

莉子を抱きしめたことを思い出し・・。

「何であんなことしちゃったんだろう・・。」と呟いた。

直輝の電話に母・真希子(真矢みき)からメールが入る。

『お姉ちゃんは無事に帰りました。

 ご心配なく。

 合宿、頑張ってね♪

添付された3人の写真に直輝は微笑み・・。

「了解。」と呟いた。

その日から、莉子と麻衣はお互いの恋について語り合う。

「川崎さんからメールきてた。」

「何て?」

「帰ってきたら翌日会おうって。」

「わ!積極的!こっちはメール一度もないっていうのに・・。」

「え?宇都宮さん?」

「うん。

 宇都宮さんデートの時もバスケの話ばっか。

 日本のバスケのボールとNBAのボールは、重さや質感が全然違って、

 NBAのボールはしっとりタイプだけど、日本のはさらっとタイプ。

 その話題で1時間以上延々と喋り続けてたからね、あの人。」

「ふーん、日本のはさらっとタイプなんだ。」

「で?どうなの?川崎さんとは。」

「私もさ、川崎さんと会うたびに、このまま上手くいくんだろうなって

 思うんだけど・・

 いざ今晩一緒に過ごそうとか言われると、緊張するっていうか・・。」

「それなのに上矢君とは、緊張もせず押し倒した。」

「・・・」

「でもさ、もうちょっと頑張ってみたら?」

「でも、宇都宮さん女に興味ないんだと思う。

 だからわざとあんな面白くない話してたんだよ。

 もう私諦めようかなー。」

「でもさ、男の人が、自分の好きなことについて一生懸命話してる

 顔って良くない?

 私あれ好きなんだけど。」

「でもね、オープンスタンスとクローズドスタンスっていうのの違い、

 終電前まで語られたら流石に飽きるよね。」

「何そのスタンスって。」

「謎でしょ?」

「謎。」

「でもわかんないなー。上矢君のどこがいいの?

 川崎さんの方がずーーーっと素敵なのに。」

「うん。でも川崎さんってちょっと、胸板が厚すぎて怖いのかな。

 男らしすぎるっていうか。」

「変な言い訳やめてよ。

 それに海で上矢君の裸を見たけど、あれも相当な胸だったよ。」

「そうだったんだよ・・ああ・・又聞こえてきそう。

 上矢君の胸の音。低いファの音だった。

 いいリズムで、ドキ、ドキ、ドキ、ドキ。」

莉子の頭を叩く麻衣。

「痛っ!」

「いい加減にしなさい、この変態が!」

「変態じゃないよ、ただ普通に、」

「普通に?」

「・・・普通に・・好き、なだけ。」

「ああ、とうとう言っちゃったよ・・。」

「まだ完全に片思いなのよ。

 だから、絶対に好きにならないって思ってたんだけど・・

 なのに、何で気持ちは抑えられないんだろう。」

「莉子、ヤバイよ私達!

 バイトと恋バナばっかりしている間に、いつの間にか1週間経った!」

「うわ!ほんとだ、すごい!」

「そういえば大学四年の時もこういうことあったよね。

 私達なんで彼氏出来ないんだろうねー、とかその話題だけで

 朝までファミレスで喋り続けて。」

「あったねー!懐かしい!

 あ、私もうすぐ誕生日だ。」

「本当だ。毎日喋り続けている間に私達もいつの間にか24歳ですね。」

「うん。」

「さ、オケ行こっ。」

「・・・麻衣。」

「うん?」

「私ね・・明日っから、川崎さんアメリカに行っちゃう前に、

 正直に話す。

 好きな人が出来たって。」

「・・・いいの?理解出来ない。幸せになれる道を引き返してまで

 不幸の道に進むなんて。」

「うん・・。でももう、嘘はつけないからさ。

 川崎さんにも・・自分の、気持ちにも。」

「・・そっか。」

「うん。」

合宿を終えて莉子たちのアパートに戻った秀治(溝端淳平)は、

麻衣に感想を聞かれて表情を曇らせる。

「俺もう辞めた方がいいのかな・・。」

「え?」

「合宿で大体、今シーズンコーチはどのメンバーを使うのか、

 決めるんです。

 俺は、完全にメインから外されていました。」

「・・・そっか。

 なんか私達寂しいもの同志だね。」

「麻衣さんも寂しいんですか?」

「うん。

 よし!私がレッスンしてあげる。」

秀治の手を掴み立ち上がる麻衣。

「レッスン!?恋のレッスン?」

「特訓!

 クローズドスタンス!オープンスタンス!」

「・・・」

「合ってる?」

「はい・・何となくそれっぽいですけど。」

「じゃあご一緒に。」

「はい。」

「クローズドスタンス!オープンスタンス!」

楽しくポーズを決めたりしながら遊ぶふたり。

秀治は、麻衣との距離が近いことにドキドキしていた。

自宅に戻った直輝は、関節内剥離の可能性があることを

母親の真希子に話す。

「時々痛むけど我慢するか、あとは、ちゃんと手術して取り出すか。」

「手術!?」

「うん。」

「え!?」

「うーん、まだわかんないけど、大丈夫だよ。

 ちゃんと病院行って調べてもらうし。」

「そう?」

菜月の部屋に廉がやって来る。

「よぅ。」

「お疲れ様!」

「ビールある?」

「はい。」

「ありがとう。

 あとさ、腹減ったから何か適当に作ってよ。」

「・・・」

この時菜月は、どんなに疲れていても料理を作ってくれていた

直輝のことを思ってしまったでしょうね。

直輝の部屋に真希子がスイカを持ってやってくる。

「・・・最近何かあった?」

「うん?」

「何かほら、楽しいこととか・・そうじゃないこととか。」

「・・・母さんごめん。菜月と別れた。」

「・・・」

「好きだったでしょ?菜月のこと。」

「もう、そんな時に人の心配しないの。」

「・・うん。大丈夫だから。」

「わかってるよ。

 直輝が大丈夫じゃない時も大丈夫大丈夫ってやせ我慢する人だってことも。」

「・・・そんなことないよ。本当に平気だから。」

「そっか。

 あんなに仲良かったのにね。残念ね。

 いつか・・いつかはさ、あなたが心から安らげる、

 そういう女の子に、出会えるといいね。」

真希子の言葉に直輝は頷き・・。

バイト先のバー

演奏前、莉子は直輝のキーホルダーを握り締め幸せそうに微笑む。

莉子の演奏をある男が見つめていて・・。

音楽関係者でしょうか?

夜、いつもの公園で練習をする直輝。

足の痛みにベンチに腰掛けマッサージをしながら呟く。

「ついて無さ過ぎだよ・・。」

あくる日、菜月は、宇都宮と会っていた。

「正直辛いです。

 毎晩電話してたし。もう2年も。

 今でもなんか面白い事があると、直輝に報告しなきゃって、

 携帯に手が行っちゃって。」

「直輝の方が辛いと思うよ。」

「・・・わかってるんです。

 自分が悪いんだって。

 宇都さんこそ、まだ忘れられないんですか?」

「俺?・・・俺は・・・もう諦めないとな。

 うん、あんまり気が進まないけど・・

 もう一回デートしてみるか!」

「え?誰とデートするんですか?」

「川崎さんが紹介してくれた、フルート奏者の。」

「ああ・・前にここで会った。」

「いい子なんだよなー。

 俺さ、電話とかそんなにマメじゃないし、

 話もバスケの話しか出来なくて全然面白くないんだけど、

 ちゃんと笑顔で聞いてくれてさ。」

「ふーん。まあ、いいんじゃないんですか?

 私はあまり好きなタイプじゃないですけど。」

なぜかお互い嫌いあってる麻衣と菜月!

同じころ、莉子は、川崎と会っていた。

「・・・合宿、どうでした?お疲れじゃないですか?」

「いや、大丈夫だよ。

 今日を逃したら、2週間も会えなくなる。

 俺疲れて見える?」

「いえ、全然。」

「なら良かった。」

「・・・川崎さん。あの・・私・・お話が。」

「いつまで経っても川崎さんか。」

「・・すみません。」

「話、悪いけど、俺の部屋で聞いてもいいかな。

 渡したいものがあるんだ。」

「・・・」

「行こう!」

仕方なく川崎の後をついていった莉子は、ふいに立ち止まり・・。

「すいません!

 ・・・私、好きな人がいるんです。」

「・・・」

「これから、川崎さんのこと、どんどん好きになろうって思ってたのに、

 その人への気持ちが、どんどんどんどん大きくなって・・

 自分でも止められなくて・・

 色々・・色々親切にしていただいたのに・・

 本当に申し訳ありません。」

そう言い頭を下げる莉子。

「そうか・・。で、その男、誰?」

「・・・えっと・・その人は・・」

そこに川崎の両親、

正哉(田村亮)と雅恵(朝加真由美)が車で通りかかる。

「智哉!」

「母さん。」

「お母様?」と莉子。

「今あなたの家に向かってたのよ。」

「来るなら来るって言ってよ。」

「だってあなた全然帰ってこないから。

 アメリカに行く前にと思って。

 こんにちは。」

「こんにちは。」と莉子。

「父さん、この間話した子。白河莉子さん。」

「ああ!」笑顔で莉子に挨拶する正哉。

「結婚するつもりで付き合っているんだ。」

川崎は莉子のことをふたりにそう紹介する。

 

川崎の両親と一緒に食事をすることになってしまった莉子は、

困惑していた。

川崎が電話で席を外すと、正哉が莉子に言う。

「白河さん、本当にありがとう。

 あいつ、智哉は、怪我で現役を辞めてから、

 ずーっと本当に辛かったと思うんですよ。

 今はコーチで頑張っていますが、自分自身でプレー出来ない

 悔しさやもどかしさというか・・

 そういうのを日々感じるってあいつ、いつも嘆いてました。

 恥ずかしながら、私は春に、入院しましてね。

 その時に、嫁さん探すなんて・・

 昔の智哉じゃ考えられないようなこと言い出しまして。

 私も家内も嬉しくて。

 本当に良かった。

 あなたがいてくれれば、智哉ももう安心だ。

 これからもどうぞ、智哉をよろしくお願いします。」

正哉、雅恵に頭を下げられた莉子は、何も答えられず・・。

正哉たちと別れた後、川崎は、莉子に自分の思いを告げる。

「ごめん、つき合わせて。」

「いいえ・・ご馳走様でした。

 でも、川崎さん、私、」

「前に、一度言わなかったっけ?

 君がフリーなら嬉しいけど、相手がいるならいるで、

 かえって燃えるって。」

「・・・」

「俺は・・・直輝よりも誰よりも、君を幸せにする自信がある。」

「え・・」

「待ってるよ。君が俺を好きになるのを。」

「・・・」

いつもの公園を訪れた直輝は、足の痛みで思うように練習できずにいた。

そこに、莉子が帰ってきた。

「白河さん!」

「・・・」

「久しぶり。」

「こんばんは。」

「と言っても1週間ぶりか。」

「うん。」

直輝が足を痛めていることを知り、心配する莉子。

「怪我したの?」

「ああ・・」

ベンチに並んで座る二人。

「大丈夫なの?」

「うん。時々痛むけど、来週MRI検査も受けるし、

 今日も練習してるし。」

「でもここも怪我してる。」

「ああ、これこの間転んだ時に、擦り剥いちゃったの。」

「傷だらけじゃん。」

「日常茶飯事だよ、突き指とか、怪我とか。」

「そういうものなのかー。

 私は小さいときからバイオリンやってたから、

 突き指しちゃいけないってことで、

 バレーとかバスケとかドッジボールとか、

 そういうの全部嫌いだったの。」

「そうなんだ。面白いのに。」

「でも、かさぶたは好き。」

「え?かさぶた!?」

「かさぶた剥がしたあとの肌ってなんか、柔らかくてツルツルでしょ。

 それ触るのが好きなの。」

「超マニアック!」

「え?そうかなー。みんな好きだと思うよ。」

「いやいや、それはないよ。」直輝が笑う。

「じゃ、取るよ。」と直輝。

「え?ダメダメ!早いよまだ!」

「大丈夫。治ってる気がする。」

「いや、絶対早い!」

ビリっとかさぶたをはがす直輝。

「うわ、マジでツルツルだ!」

「でしょ?」

「うわ、すごい!ほら。」

「触っていい?」

「うん。」

「うわ!ほんとだ!人の触るの初めて!面白い!」

そのとき二人はお互いの距離が近いことに気づく。

「・・・」

「・・・」

二人は見つめあい・・・

突然莉子が席を立つ。

「ごめん!ごめん、馴れ馴れしく触ったりして。」

「いや・・そうじゃないんだ・・」

「ごめん。」

「あのさ・・俺、すげー嬉しかった。

 今日も会えて。

 この間も。

 ・・・これって・・友達越えちゃってるのかな・・。」

「・・・」

「じゃあさ、前みたいに、ちゃんとやれよバカって気合入れてよ。

 俺、あれ聞くと、明日から頑張ろうって思うし。」

「・・・」

莉子は、真っ直ぐに直輝に向かって歩きだし・・

そのまま彼にキスをする。

「バカ。

 ・・・友達、越えちゃったじゃない。」

そう言い走り去る莉子。

「ちょっと待って!

 ・・・」

部屋に戻った莉子は、ベッドに横になり、呟く。

「何やってるんのよ、私・・。」

直輝が菜月と別れたことを知った守口(青木崇高)と佐賀(石田剛規)は、

秀治も呼び出して、失恋祝いの会を開く。

代々木を責める秀治たちに、

「こういうのに、誰が悪いとかないんだよ。

 俺はもうこのことは忘れる。」

直輝はそうきっぱり告げる。

 

その頃、菜月は、マンションの自室でゲームをしていた。

が、いつの間にかその目からは涙があふれていた。

 

麻衣は宇都宮のキーホルダーを見つめ・・。

川崎は莉子に渡せなかったプレゼントの箱を見つめ・・。

莉子はドライフラワーにしたバラの花を見つめ・・。

彼女の部屋に飾ったひまわりは、まだ元気に咲いていた。

あくる日、体育館を訪れた直輝は、ロッカールームで廉に声をかけた。

「なあ、俺らが組めば、いい流れになると思う。」

「・・・」

「新しいアークスも、俺らが作っていかなきゃいけないと思うし。」

「・・・」

「川崎さんもそれを願っていると思う。」

「ふん。知るかよ。」

廉はいつものように冷たい態度を見せるが・・。

直輝が練習をしていると、そこに川崎が現れる。

「お疲れ様です。」

「よっ。

 今から、行ってくるよ、ボストン。」

「気をつけて。」

「うん。

 ・・・直輝。

 実は・・・見かけたんだよ、合宿所近くで、お前と、莉子ちゃんと

 いるところを。」

「・・ああ。」

「・・・俺は信じてるよ。お前を。」

「・・・」

「信じてる。」

「・・・」

「じゃあ、行ってくるわ。」

一旦歩き出した川崎は、振り返り、直輝に言う。

「I'll be back.

直輝は動揺しながらも頷き、川崎を見送る。

「フッ」ときて「ガッ」ときて「グッ」ときて「バタっ」!

莉子の擬音ばっかの説明と、麻衣のツッコミが可愛かったです。

直輝の「これって・・友達越えちゃってるのかな・・。」というセリフも

告白のように聞こえなくもない。

そして、莉子からのキス。

次週はこの友達という言葉がキーワードのよう。

莉子と直輝。今とても微妙な関係です。

直輝と菜月。別れた二人は友達にはなれないだろうなー。

菜月から莉子への友達宣言!?なんだか怖い!

秀治と麻衣はどうなる!?

川崎さんからのプレゼントは何だったのかな?

バーで莉子を見ていた男も気になります。

そしてもう一つとっても気になるのが宇都宮の過去。

菜月はそれを知っているんですね!

諦めないといけない恋・・。

誰だろう。メンバーの奥さん?

もしかして守口の妻だったり!?!?

次週、15分拡大SP。

最終回でもないのに珍しいですね!

第七回

『離さない』

直輝(山下智久)のもとに、別れたばかりの元恋人・菜月(相武紗季)

から電話が入る。

「・・直輝?私。」

「・・久しぶり。」

一方、莉子(北川景子)は、ボストンへ出発する直前の川崎(伊藤英明)に

呼び出される。

「今から出発ですか?」

「うん。行ってくる。

 多分、来週の月曜だよね?」

「え?」

「本当は、この間家で渡そうと思ったんだ。

 プレゼント。誕生日の。」

「誕生日・・何で?」

「メールアドレスに、0824って数字があった。」

「あ・・そうです。でも・・」

「受け取ってくれると、荷物が減って助かる。」

川崎はそう言い、大きなプレゼントを莉子に持たせる。

「・・・すみません。ありがとうございます。」

「向こうにいる間は、余裕がないと思うけど、

 帰国したら、真っ先に会いに来るから。」

「・・・」

「・・じゃあ。行ってきます。」

「行ってらっしゃい。」アパートに戻った莉子は、親友の麻衣(貫地谷しほり)に、

好きな人ができたことは伝えたがその相手が直輝だとは言えなかった

こと、成り行きで川崎の両親に会ってしまったこと、そして直輝に

キスしてしまったことを報告する。

「はぁ・・何であんなことしたんだろう・・。」

「ちょ、ちょっと待って!

 色々ありすぎて頭がついていけない。」

「うん、私もそうなの。」

「つい最近まで彼氏がいない仲間だったのにどうして莉子だけ

 恋愛三昧してんのよ!」

「そっち?・・でもそうかも。

 今まで2年以上何もなかったのに、こんなに恋愛モードなのって

 何年ぶりだろう。」

「で?向こうは?上矢君のリアクションは?」

「うん・・なんかびっくりしてたから、その隙に・・逃げてきた。」

「え!?やり逃げ!?」

「何とでも言って。

 でも・・今すごく反省してる。

 私、自分で自分をコントロール出来なくなっちゃったみたい。」

「呆れた。でも羨ましい!

 たまにはそういうセリフ言ってみたいなー。

 私の恋愛モード制御不能よ、みたいなさ。

 私って理性の塊で生きてるからなぁぁ。」

「そうだったっけ?」

「そうだよ!

 私っていざとなると超慎重で、だからデートまではいいんだけどさ、

 そこから先は自分から上手く動けないっていうかさ。

 だからリード上手の年上の男性がこう、

 ・・なんて、他愛ない恋愛話はいいから・・開けてみない?これ!」

「・・・」

菜月の部屋

菜月からの電話は、部屋にある直輝の衣類などをまとめたから

取りに来てほしいという連絡だった。

「ありがとう。」

「ううん。送ろうかなと思ったけど、それもどうかなと思って。」

「これはいいよ。好きだったでしょ?」ゲームを一本差し出す直輝。

「ありがとう。」

「・・じゃあ。」直輝が合鍵をテーブルに置く。

「・・・ねえ。私達・・・友達になれるかな。」

「・・・無理かな。」

「・・・」

「友達とは、一生思えないと思う。」

「・・・そう。寂しいね。」

「・・・あいつと上手くいってんだろ?」

「うん。」

直輝が帰ると、菜月は悲しそうに合鍵を握り締め・・。

麻衣と莉子の部屋

莉子は、麻衣に促されて川崎からもらったプレゼントの箱を開け始める。

箱の中には、また箱が入っていて・・。

直輝の家

手際よくオムライスを作る直輝。

「嬉しいなー。直輝さんのオムライス!」と秀治。

「私も好き!

 もう少ししたらシーズン始まって、作ってもらえなくなっちゃうもん!」

と妹の優里(大政絢)。

「そうだよね。秋はもうすぐなんだよねー。

 今シーズンもベンチ要員なのかなー。」

「私も新学期ちょっと憂鬱なんだよねー。

 この間別れた彼氏が同じクラスだから。」

「優里ちゃん彼氏いたの!?」

「そうだ!秀治君!

 お兄ちゃんに内緒で、ちょっとお願いがあるんだけど。」

「俺に?」

「私の友達で、アークスのファンの子がいるんだけど・・

 1回だけ、合コンしてくれない?」

「え!?合コン!?」

「シーッ!」

そこへ、母・真希子(真矢みき)が帰ってきた。

「ただいまー。久しぶりね、秀治君!うち来るの。」

「はい。

 居候している先のお姉さん方に、

 今夜は恋の悩みについて語り明かすから、

 出てけって言われて。」

秀治の言葉を直輝は無表情で聞いていて・・。

麻衣と莉子の部屋

箱の中にはまた箱。

「なにこれ。マトリョーシカ!?」

何重にもなっている箱を開けていくと、最後に出てきたのは

ダイヤのエンゲージリングだった。

麻衣は興奮して写真を撮り始めるか、莉子は困惑し・・・。

公園でバスケの練習をする秀治と直輝。

「すごかったですよねー、この間の試合の川崎さん!」

「うん。」

「僕中学の頃普通に川崎さんが表紙の月バスとか

 読んでたもんなー。」

「俺も。」

「あんなすごい人とバスケ出来るなんて、

 改めてすごいって思いました。

 それでいて性格も男らしくてカッコイイし。

 莉子さんは幸せ者ですよね。」

「・・莉子さんって、白河さんのこと?」

「そうですよ。白河莉子さんに、海老名麻衣さん。」

「何でお前が名前で呼んでんだよ・・。」

そんな二人の姿を窓から見つめる莉子と麻衣。

「どうしよう。どうしたらいいの?私。」

「・・・ちなみに、莉子がもっとびっくりするようなこと 

 言ってもいい?」

「なに!?もしかして宇都宮さんに2回目のデートに誘われた?」

「実は誘われた。

 でもまずはそのことじゃなくて。」

「??」

「別れたらしい、上矢君と彼女。」

「嘘・・。」

秀治が麻衣と莉子に気付く。

「うん?莉子さんと麻衣さん?」

「あ!気付かれた!」

慌てて顔を引っ込める莉子と麻衣。

「あ、隠れちゃった!

 そういえばあそこ莉子さんの部屋なんだな。」

「・・そうなんだ。」

莉子の部屋

「さーて莉子ちゃん、どうするの?」

「・・・」

JCアークスは、川崎の代理として、昨シーズン限りで引退した

元アークスの三島(前川泰之)をアシスタントコーチに迎え、

トレーニングに励んでいた。

練習後のロッカールーム

秀治が優里に頼まれた合コンのメンバーを募集していると、

宇都宮はその日麻衣と約束があると言い出す。

「川崎さんにさ、一人より誰かといたほうが強くなれるって言われて、

 なるほどなーと思ってさ。」

アークスの練習を見学に来た小学生を案内する菜月は、

つい直輝を見つめてしまう。

MRI検査を受けた直輝は、医師から関節内遊離体が痛みを

引き起こしているが、手術をして遊離体を除去すれば問題ない、

という診断を受けていた。

その帰り、直輝はスーパーマーケットで買物をしながら

川崎の言葉を思い浮かべる。

「俺は信じてる。

 信じてる。」

偶然そのスーパーに莉子もいた。

莉子は直輝に気付くと目をそらし・・そして逃げ出してしまう。

「・・・なんだそれ。」

直輝が莉子を追いかけ・・・。

すぐに莉子に追いついた直輝。

「何で・・逃げるの?」

「・・・」

「大丈夫?」

「・・・」

「そりゃ追いつくよ。俺だって、体育会系だもん。」

「そうだった・・。」

公園

「変なヤツ。」

「ありがとう。」直輝がくれたドリンクを飲み干す莉子。

「ていうか、別に逃げなくてもいいじゃん。」

「うん・・だって・・あんなことしちゃって・・」

「・・・川崎さん、ボストン行っちゃったね。」

「・・・」

「川崎さんが現役引退して、ヘッドコーチになって、

 その最初の年に俺が入ったんだ。

 で、川崎さんいつもさ・・プロの世界入って、自信なくして

 落ち込んでた俺を・・励ましてくれてさ。

 シーズン近いし、もっと、バスケに集中しないといけないし。」

「・・・」

「だから・・この間のことは、忘れる。」

「・・・」

「俺、いつまでも、白河さんと友達でいたいし。」

「・・・うん。

 そうだよね。」

「・・・」

「うん。そうだとは・・思う。

 ・・でも・・でも私はもう・・友達なんて無理かな。」

「・・・」

「上矢君のこと忘れようって、友達でいいじゃんって、

 何回も思おうとしたけど・・

 出来なかった。

 私・・やっぱり私、上矢君のこと、」

ボールを思い切りついて莉子の言葉を遮る直輝。

「だったら、・・もう・・」

「・・・」

「俺ら会わないほうがいい。」

「・・・」

「・・ごめん。でも俺・・」

直輝の頬を引っ叩く莉子。

「大嫌い。

 だったら何で・・追いかけてきたりすんのよ。

 だったら何で、いつもいつも中途半端に優しいとこ見せんのよ!」

「・・・」

「バカ。嫌い。・・・もう大嫌い!」

莉子はそう言い捨て、泣きながら立ち去る。

家に戻った直輝は、やるせない気持ちを料理にぶつけた。

「だったら他にどうすりゃいいっていいんだよ、ったく!!」

「なんか、怖い・・」と優里。

「あ・・直輝、大丈夫?手伝う?」と真希子。

「大丈夫。もう出来るから待ってて。」

「はい。」

食事の際、直輝は、関節内剥離の手術をしないことを真希子たちに

伝える。

「ふーん、手術しないの・・」と真希子。

「うん。色んな病院で聞いたんだけど、手術すると3ヶ月位は

 リハビリとかで運動できないから。」

「うん・・」

「シーズン間に合わなくなっちゃう。」

「でも、残ったままだと痛みが出るんでしょう?」

「痛む時もあるけど、今シーズンはとりあえず、このままで行く。」

「直輝、そんなに今焦らなくてもいいじゃない。

 早めに治しておいた方が、将来の為にもさ。」

「でも今シーズン頑張らないと、俺もう将来とかないからさ。」

「・・・」

「多分解雇されるし、他のチームからもオファーないと思うし。

 この間の契約更新の時にわかったの。

 だから俺がこのまま、ずっとバスケ続けていくには、

 今頑張るしかないの。」

「・・・」

「そうだ。

 今はもう、バスケのことだけで精一杯なんだ、俺は。」

別の日、宇都宮(永井大)とデートしていた麻衣は、喫茶店にいた。

いつものようにバスケの話に夢中な宇都宮も、

麻衣がついてきていないことに気付く。

「・・ごめんね。なんかこんな話ばっかりで。」

「いえいえ、私のこのティアドロップ型のイヤリングで

 こんなに話が盛り上がるなんて、とても光栄です。」

「ごめんね。」

「・・・」

「あー、あの、バイオリンは、バイオリニストって言うでしょ?

 フルートの人って何て言うの?」

「ああ、フルートはフルーティストです。

 ピアニスト、バイオリニスト、フルーティスト。」

「なるほどー!フルーティストがなんか一番おいしそうだね!」

「・・・ですよね!フルーツの、スィーツみたいな!」

「・・・」

「・・・あの、」

「なんかさ・・ごめんね。

 俺こう、話すの上手くなくてさ。」

「いえ、違うんです。これは私が悪いんです。

 そう思って、バイト先で買って来たんです。これ!」

カバンからバスケの本を取り出す麻衣。

「これ・・全部買ったの?」

「はい。私がもっとバスケ詳しくなればいいんです。

 そしたら会話もかみ合って楽しくなると。」

「・・・」麻衣の気持ちに嬉しそうに微笑む宇都宮。

同じ店の一角では、秀治(溝端淳平)、春日部(金田哲)、

松山亮介(川島章良)が、優里たち女子高生と合コンしていた。

それに気付いた麻衣は、なぜか不機嫌になる。

「何やってんのよ!」

「麻衣さん!」

「ちょっと秀治君!あなた家に月1万しか入れてない居候のくせに、

 ずいぶんいいご身分なんじゃないの?」

「これはですね・・あの頼まれて。」

「別にいいじゃん。ジュースしか頼んでないし。」と優里。

「確かに別にいいんだけど、もう辞めたいとか自信ないとか言って、

 こんな所で女子高生とニヘラニヘラ現実逃避してるのは

 何かムカつく!」

「・・すみません。」

「この人誰?秀治君。」と優里。

「この方はですね、」

「私?私は大人の女よ!

 音楽だけでは食べていけないけれど、バイトをしながら夢を追いかける、

 世間の荒波に揉まれつつも頑張っている健気な24歳の社会人だけど

 それが何か!?」

「24歳!?」「うちのお兄ちゃんと同い年だ!」「結構オバサンかも!」

「何て言った!?

 あなた達だってね、その制服が数年経てばコスプレになる日が

 やってくるのよ。」

「うっそ!」「何なのこの人!」「すっごい頭にきたんですけど!」

「ふん!」

「海老名さん・・」と宇都宮。

「は!ごめんなさい!帰りましょうか。

 合コンの邪魔になっちゃいけないし。」

家に帰った麻衣は大反省。

「怒り過ぎたー・・宇都宮さん呆れたろうな・・。」

そこへ莉子が帰ってきた。

「ただいま!」

「お帰り。」

「あれ?秀治君は?」

「そんな子知らない。」

「・・あっそう。」

「そんなことより莉子さ、あさっての誕生日どうすんの?

 川崎さんもいないしお家でパーティーしようか。」

「え!?いいの!?嬉しい、ありがとう!」

「一応聞くけど、」

「うん。」

「上矢君は呼ぶ?」

「・・・うん、もういい。あれはもう終わったの。」

「終わった?」

「うん。きっぱり終わった!だからもういいの。」

「もう終わっちゃったの?恋愛モード。」

「うん、終わったね。

 もう二度と会わないって言われたし・・

 それにもう今はむしろ・・憎んでる!」

「憎んでる・・」

「うん!だって私はこんなに正直に自分の気持ちを表現している

 っていうのに、それに向こうだって、何ていうの?こう、

 別に俺も嫌いじゃない、的なオーラを出しておきながら

いざとなると、川崎さんはいい人だ、俺達は友達だ、なんて。

 そんな酷い逃げ方ってさ、ないと思わない?」

「思う!本当にそう思う!

 秀治君も秀治君だよ。

 現実から逃げて女子高生とお楽しみだなんて。」

「女子高生?」

「あんなんだからちっともバスケ上手くなんないんだよ。」

「あー、でも確かにそういうのってあるかもね。

 スポーツ男子のくせに、何ていうの?

 アグレッシブさに欠けるっていうか。」

「それに比べて、どうよ、あの大人の男性は。」

「・・・」

「超、アグレッシブ!」

「確かに・・。」

「やっぱり私、川崎さん素敵だと思うけどな。」

「・・・」

公園で練習する直輝を、仕事帰りの真希子が見つめている。

「ママ!」優里が声を掛ける。

「シーッ!」

「何してんの?」

「優里こそ何してんのよ、こんな時間まで。」

「彼氏作ろうとしたんだけど失敗だった。」

「え?」

「あ!お兄ちゃんだ。」

「あそこまでストイックだと心配になっちゃうのよねー。

 ほら足に、ネズミまで飼ってるのに。」

「菜月さんももういないしね・・。」

「・・・」

「あれ?」莉子の部屋の窓に気付く優里。

「うん?」

「今ね、あそこの窓から人が見てた気がする。」

「どこ?」

「気のせいか・・。

 さ、もうお家に帰ろう!アイスでも買って。」

「うん。」

真希子は心配そうにその場を離れていく。

公園から聞こえるバスケットボールの音を

莉子は耳を澄まして聞いていて・・。

仕事中、菜月の携帯に代々木(金子ノブアキ)から電話が入る。

「あー。俺。

 今日おまえんち行くから。」

「あー、今日は無理かも。

 部長とBBAの人たちの食事会があるの。

 またにしてくれる?」

「あー?又とか無理だろー。

 今日がいいのに。」

「そんな無茶言わないで。仕事なんだから。

 帰ったら又電話するから。」

菜月に断られた代々木は、菜月の後輩の金沢しおん(小松彩夏)に

電話をする。

「もしもし?代々木さん?

 今夜ですか?いいですよ!」

電話を切った代々木は大あくび!

何なんだこの緊張感の無さは!?

その頃直輝は、陽一(加藤慶祐)の店で、大学時代のバスケ部

仲間たちとの飲み会に参加。

そこで気心の知れた仲間たちと楽しい時間を過ごす。

 

菜月は、足利(小木茂光)のお伴で、PBAの職員たちと会員制の

バーにいた。

そのバーは、莉子がアルバイトでバイオリンを弾いている店だった。

演奏を終えた莉子に、客の八尾(升毅)が歩み寄る。

「全く。気の毒だな。」

「え?」

「あんたじゃない。

 そのバイオリンだよ。」

「・・・」

「確かにここはコンサートホールではない。

 しかし、仮にも客のいる前で、そんな魂も思想もない、

 耳をふさぐしかないような最低の演奏をして、

 君は音楽家の端くれとして恥ずかしくはないのか!」

「・・・」

「二度と演奏などするな。楽器も客も気の毒だ。」

「・・・すみませんでした・・。」

トイレで落ち込む莉子に菜月が声を掛ける。

「大丈夫ですか?」

「・・・ああ。」

「あんまり酷い事言われてたから、ちょっと心配になっちゃって。

 あんなの酔っ払いだよ、きっと。」

「ありがとうございます。

 でも・・あのお客さんが言ってたこと、全然間違ってないんです。

 だから自己嫌悪で。」

その時菜月は、莉子のバイオリンンケースに直輝のキーホルダーが

つけられていることに気づく。

「・・・」

「恥ずかしいところをお見せして。

 心配して下さって、ありがとうございます。」

「バイオリニストさん、なんですね。」

「はい。・・いいえ。夢はあるんですけど、全然実力が

 伴ってなくて。」

「ううん!夢があるなんてすごい!

 あんな誰も聞いてないところで演奏したり、

 あんな酷いこと言われてまで、夢を追う勇気があるなんて。

 逆に凄いなって思いますよ!」

「そう・・ですか?」

「うん。

 私とか・・そんな大きな夢全然持ってないから。

 将来が見えなくても、夢に向かってがむしゃらになれるなんて、

 羨ましいです。」

「いいえ。無謀なだけで。」

「あ、そうだ!私達、友達になりません?」

「え・・」

「こんな所で会うのも縁だと思うし、

 私、実は一度お話してみたいなーって思ってたんです。」

「そうなんですか・・じゃあ。」

「嬉しい!お名前、何でしたっけ?」

「白河です。」

二人は携帯を取り出し・・。

菜月は何かたくらんでいるようで・・。

直輝の飲み会

「最近さ、全然将来が見えなくてさ。

 例えば、怪我とか年とかでさ、

 プレー出来なくなるってあるじゃん。

 そん時俺どうしてんのかなーってさ。

 だから、みんなみたいにちゃんとした企業で働いてる人間は、

 尊敬します。」と直輝。

「そうか?バスケ人口60万人以上いるのに、

 プロで飯食えてるのなんてほんの一握りだよ。」

「そうだよ、元チームメイトが今でもバスケ頑張ってんのは、

 俺達にとっちゃ誇りだよ!」

「マジで?」と直輝。

「マジでしょう!」「ちょっと上げすぎたかな。」

「俺さ、この間小学生が応援しに来てくれた時思ったんだけど、

 テレビとかでも、バスケって、試合もニュースもほとんど

 やらないじゃん。

 そんな中で、俺みたいな選手に、子供から憧れてもらえる存在に

 なるって、すごい大事だなと思って。

 だから、大人になって、バスケを夢のあるスポーツに

 していきたいと思います!」と直輝。

「おぉ!」

「スポーツ選手も、芸術家も芸能人も、見ている人に夢を持たせる

 ことが仕事だ。」

「よし!俺マジ、今年頑張るわ!」と直輝。

「よし!」

「乾杯!!」「乾杯!!」

帰り道、公園の前を通りがかった直輝は、

莉子の部屋を見つめ・・

そして帰っていく。

その時、麻衣と秀治はアパートの電球を交換していた。

「ねえ・・この間言いすぎた。ごめんね。」

「いえ。いいんです。

 あんなこと言ってくれるの、田舎のオカンと麻衣さんぐらいです。

 はい、OKです。」

「良かった!男の人こういう時便利だよねー。」

「本当ですか!?」

そのとき、秀治はバランスを崩して麻衣に覆いかぶさってしまう。

「イッテェ!」

「もう、痛いのこっち!」

「・・・」

「どいてよ、おだんご崩れちゃうでしょ。」

「麻衣さん。」

「はい。」

「僕じゃ・・ダメですか?」

「は?ちょっと何言ってんの?」

「麻衣さん。僕・・」

「ちょっとどいてよ、もう!

 うん??意外と立派な腹筋!(パンチパンチ!)」

「僕・・麻衣さんのこと・・好きになっちゃったみたいです。」

「・・・」

「この間、クローズドスタンスを、した頃から・・

 麻衣さんの、優しさとか・・ユーモアとか・・

 麻衣さんを見ると、なんか、ドキドキするっていうか・・。」

「ちょっと何。何なのこの、慣れないシチュエーション!」

逃げようとする麻衣を秀治は後ろから抱きしめる。

「わぉ・・。」

「僕、頑張りますから。

 今は、すごい頼りないかもしれないですけど・・

 まだかなり、若いし・・

 宇都宮さんよりも、大人で、いい男になれるように、

 頑張りますから。」

「ちょっと待って・・私の理性が・・。」

麻衣は、動揺しながらも、キスを求める秀治に応えようとした。

が、次の瞬間、玄関のドアが開き、莉子が帰ってきた。

「ただいまー・・・えっ!?」

莉子の姿に慌てる二人。

「私、出かけてくるー。」

「ちょっと待って!ちょっと待って!」

「大丈夫。いいから続けて。」

「こんなことになる予定じゃなかったの。

 でも彼の真っ直ぐな目を見てたら、つい私の気持ちまで

 オープンスタンスになってしまったというか。」

「いいことじゃない。大丈夫!私どっか泊まるから。

 漫画喫茶とかさ。」

「ダメだよそんなの。だって・・だって・・

 いい女は、男よりも女友達でしょ?」

「だけど、男作るなってことじゃ、ないでしょ?」

「・・・」

「それに私ね、宇都宮さんより、秀治君の方が似合ってるんじゃ

 ないかって、思ってた!」

「本当に?」

「うん。

 じゃあ、行ってきます!」

莉子はそう麻衣に告げ、部屋を出た。

 

公園のベンチで腕時計を見つめる莉子。

0時ジャスト。

「・・・誕生日の朝は、一人ぼっちで漫喫かー・・。」

公園のベンチに座っていた莉子は、直輝とのことや、

八尾に言われた言葉を思い出すうちに悲しくなり泣いてしまう。

そこに、母親から誕生日祝いの電話が入った。

「もしもし?

 ・・・お母さん・・。

 うん?・・ううん。別に。普通の声だよ。

 うん・・。ありがとう。うん。 

 今24になった。

 ・・・母さん・・産んでくれて・・ありがとね。

 ・・・うん。なんか・・いつまでたっても・・

 家にお金送ったり出来なくて・・本当に・・ごめんね・・。

 でも・・私もう・・バイオリンダメかも・・。

 うん・・。うん。大丈夫。」

そんな莉子の姿を偶然見てしまった直輝は、何も言わずにその場を

立ち去った。 

家に帰った直輝は、仕事をしていた真希子に言う。

「母さん。」

「うん?」

「・・なんか、色々ごめんね。」

「色々って何?

 あー、今朝クリーニング出し忘れたこと?」

「それもあるけど・・

 色々心配掛けてごめん。

 親孝行にこんなに時間が掛かるなんて、思ってなかった。」

「ふふ。大丈夫よ。私ほら、すーごく長生きする予定だし。ね!

 ほらとっても、まだまだ若いから。」

いたずらっ子のように笑う真希子に直輝も微笑む。

風呂に入りながら、直輝はビニールに包んだ携帯を手に取り

アドレス帳の莉子の名前を見つめ、大きくため息を吐く。

ちょっと前まではこのシチュエーションで菜月の電話を待っていたのに、

もう直輝も莉子に恋をしているようです。

翌日

アークスのロッカールーム

「直輝さん・・ちょっと相談したことがありまして。」

「うん?どうした?」

秀治は直輝に言い出そうとした時、宇都宮がフルートのCDを

持っていることに気付き、言い出せなくなってしまう。

「どないしよう・・どないしようどないしようどないしよう!

 麻衣さんが世界で一番素敵なおへそやったなんて・・

 誰にも言えんわ・・。」

秀治は一人そう呟き・・。

そういえば秀治はオヘソフェチでした。

二人はそういう関係に!?

その日の夜、麻衣と秀治は、パーティーの準備をして

莉子の誕生日を祝った。

「もう飲み物ないや。私買ってくるね。」と麻衣。

「僕が行きますよ。」

「え?いいよ。ワインに合うチーズも買いたいし。」

「麻衣さん一人で歩くの心配だし。」

「わかった。じゃあこうしよう。

 二人で行ってきて。」と莉子。

「え・・そんな主役おいて一人にしてけないよ。」

「いいからいいから。

 私は麻衣を一人で行かせるのは心配だし、

 ワインのセレクトを秀治君に任せるのも心配だし、

 私は主役だからゆっくりしてたいし。」

「そう?」

「うん。」

「・・じゃ行こっか。」

「はい。」

部屋を出た二人は手をつなぎ、買物へ。

その頃莉子は・・

「・・・気を利かせてしまった。

 結局一人か・・。」

するとそこに、直輝から電話が入る。

「もしもし。」

「もしもし。上矢ですけど。

 お誕生日・・おめでとう。」

公園から莉子の部屋を見ながら直輝が言う。

「・・・」

「もしもし?」

「あ・・はい。」

「本当は、メールしようかと思ったんだけど、

 よく考えたらアドレス知らなくてさ。」

「なんで・・誕生日・・」

「秀治に聞いた。」

「・・・もう二度と会わないって、そっちが言ったくせに。」

「・・会ってはないし。」

「・・・」

「とりあえず、それ言いたかっただけだから。」

「じゃあ、誕生日祝いに、お願い。

 上矢君の、バスケットボールのトントンって音が、聞きたい。」

ボールをドリブルする直輝。

その音を嬉しそうに聞いていた莉子は、直輝が隣りの公園にいることに

気づき窓を開ける。

見詰め合う二人。

「・・・もう・・もう二度と、キスしたりしない。

 ・・・人差し指で触ったりもしない。

 ・・・馴れ馴れしくもしない!

 ・・・ほっぺも叩かない。

 絶対に、半径5メートル以内に近寄らないようにするから!

 だから・・・

 だから・・・もう会わないなんて言わないで!

 お願いだから・・・。」

泣きながらそう叫ぶ莉子。

直輝はボールを放って走り出し・・

莉子のマンションの階段を駆け上がり、ドアを乱暴に叩く。

莉子が驚いてドアを開けると、直輝は玄関に入り込む。

「来ちゃダメ。5メートル以上・・近い。」と莉子。

莉子に歩み寄り、莉子を抱きしめ、そして莉子にキスをし・・。

菜月とのキスは挨拶程度だったのに、莉子とのキスは熱かった!

キスしながら視線を交わすシーンが素敵でした。

キスだけでなく、莉子とトラブルがあった日は

直輝は料理に感情をぶつけていました。

菜月と付き合っている時は見せたことの無い直輝の一面。

恋に突っ走ったりブレーキを掛けたり。

泣いたり怒ったり笑ったり。

ベタだ~!ベタだけどそこがいい!

バイトしながら音楽の勉強をしている莉子の、

「家にお金送ったり出来なくてごめんね」

という言葉にウルっときました。

直輝も莉子の言葉に感じるところがあったからこそ、

真希子に素直に思いを伝えたのでしょうね。

この二人は、お互いを素直に出し合うことが出来る。

ハッピーエンドになってほしいです。

麻衣と秀治カップルにもドキドキ。

秀治の真っ直ぐさ、麻衣の戸惑いがとってもカワイイです。

川崎さん、莉子、直輝の三角関係。

莉子、直輝、菜月の三角関係。

それに加えて、宇都宮さん、麻衣、秀治の三角関係、

菜月、代々木、しおんの三角関係まで!

恋愛感情に先輩・後輩の上下関係。

直輝や秀治が先輩に遠慮してしまうのもわかります。

この物語、いくつのハッピーエンドが待っているのでしょう!?

『救命病棟24時』の録画を失敗してしまったので

レビューはお休みします。

『ホン怖』を追加で予約しようとしたのがマズかった!

上官飞飞 发表于 2010-11-26 18:45:41

第八回

『行かないで』

練習帰りにいつもの公園を訪れた直輝(山下智久)は、

誕生日を迎えた莉子(北川景子)に電話する。

莉子は、誕生日のお祝いにボールをドリブルする音を

聴かせてほしい、と直輝に頼んだ。

その音で、直輝が隣りの公園にいることに気づいた莉子は、

窓を開けると、もうキスをしたりしないから会わないなんて

言わないでほしい、と叫んだ。

その言葉を聞いた直輝は、莉子の部屋に駆けあがると、

彼女を強く抱きしめてキスをする。

土足のまま部屋に入り、莉子をお姫様抱っこする直輝。

「ごめん。

 俺白河さんのこと好きになった。」

「私も。私も好き。もう離れたくない。」

二人はぎゅっと抱きしめあい・・そして又キスを交わす。

「ん・・・聞こえる!」

「うん?」

「麻衣の足音が聞こえる!」

「え・・まずい!」

「上がってきてる!

 マズイ!帰ってきた!」莉子は直輝を自分の部屋に押し込め、麻衣(貫地谷しほり)と

秀治(溝端淳平)を出迎える。3人は宴会の続きに突入!

莉子の部屋に隠れた直輝は、部屋の窓から顔を出し、

いつもの公園を感慨深げに眺める。

麻衣に豊富を聞かれた莉子は、戸惑いながらも

「私は・・夢をあきらめない事、かな。

 私が立派なバイオリニストになるなんて、

 本当夢みたいな事だと思うけど・・

 でもそれでも、諦めないで、一歩ずつ夢に近づいていけたら

 いいなって、思う。」と答える。

そんな莉子の話を直輝は微笑みを浮かべて聞いていた。

「夢追ってこう!」

「乾杯!」

盛り上がる3人。

莉子の部屋に隠れる直輝は、莉子のバイオリンケースに

直輝のキーホルダーが付いていることに気付き、

照れくさそうに笑みを浮かべた。

早朝、莉子は、麻衣たちが眠りについているのを確認して部屋に戻る。

すでに直輝も、莉子のベッドで眠っていた。

その横にしゃがみ、直輝の寝顔を幸せそうに見つめる莉子。

そんな莉子を、直輝はふいに引き寄せる。

「・・・莉子。」

「・・・」

「とか呼んでみた。」

「じゃあ・・直輝。」

「・・・」

「とか呼んでみた。」

微笑みあう二人。

そして直輝は莉子の背中から抱きしめる。

「なんだろう。

 とても不思議な感覚だ。

 ドリブルするボールが手に吸い付くような、

 引き寄せられるような・・やわらかい安心感。

 それが気持ちよくて・・

 俺は、1ミリも隙間がなくなるくらい、

 彼女を強く抱きしめた。」

恋の始まり。二人の表情からドキドキが伝わってきます。

これぞラブストーリー!

麻衣と直輝は、麻衣たちが朝食を買い出しに行った隙に、

部屋から抜け出す。

散らかった部屋を見渡す直輝。

「俺、これ片付けなくていい?」

「ああ、いいいい!そんなことしなくって。

 でも、この間のフレンチトースト食べたかったなー。」

「作ろうか?」

「うん・・麻衣たち帰ってきちゃうし、材料ないし。

 この間のやつね、麻衣が全部食べちゃったの。」

「マジで?」

「うん。あ、そうだ!

 ねえこれ見て。これが言ってたマグカップ。かわいいでしょ?」

「うん。かわいい。」

プレゼントの箱に気付く直輝。

「・・・川崎さんから。」と莉子。

「・・・」

「でも、川崎さんに言った。

 好きな人がいるって。」

「・・・」

「それも・・返そうと思ったんだけど、川崎さん、アメリカに行っちゃって。」

「俺も、川崎さん帰ってきたら、ちゃんと言うよ。

 莉子と付き合いたいって。」

「・・・」

抱きしめあう二人。

「だから、それまでけじめっていうか・・

 あまり近づき過ぎないようにしよう。」

「うん。」

「周りにも、気づかれない方がいいと思うし。」

「じゃあ、どうしたらいいの?」

「今までどおり、電話とか、公園で会うとか。」

「うん。わかった。」

「心配?」

「ううん。

 幸せすぎて・・どうしていいかわかんない。」

二人は又抱きしめあい・・。

買物帰り、手を繋いで歩く麻衣と秀治。

「でも、本当に僕でいいんですか?」

「いいのかなー。」

「え・・」

「だってほら、私の理想の男性像とはかなり違うでしょ?

 すごーく頼りないし、一生音楽続けさせてくれそうな収入も

 明らかにないし。」

「はい。仰るとおりです。」

「いいのかなー、本当に。

 あ、あれ・・。」

二人は公園に直輝の姿を見つける。

直輝は昨晩から置きっぱなしのバスケットボールを片付けていた。

莉子が部屋の窓から手を振り、直輝も手を振り返す。

「あ・・又メアド聞くの忘れた。」

直輝がふとそう呟く。

莉子は微笑みながら部屋の奥へ。

そして五線譜にアドレスを書き込み、紙飛行機にして直輝へと飛ばす。

「耳良すぎ!」

直輝の言葉に笑う莉子。

「ありがとう!」

二人は敬礼し・・そして直輝は帰っていく。

その光景を目撃していた麻衣と秀治は、大騒ぎだった。

会社

勤務時間中に、菜月(相武紗季)は、後輩のしおん(小松彩夏)の

携帯電話が鳴る。

「金沢さん!電話鳴ってる!

 ・・ったく、勤務中はマナーモードにしろっていうの!」

菜月は不機嫌そうに呟いたあと、着信の表示を見てしまう。

廉(金子ノブアキ)からだった。

「・・・すみません。」

しおんに謝られ、余裕の笑みを浮かべる菜月。

「今のすいませんって・・どういう意味?」

「・・・」

「どういう意味で、私に謝ってるの?」

「でも、私悪い事したと思ってませんから。

 だって、菜月先輩だって上矢さんいるのに代々木さんと

 付き合ったじゃないですか。

 だから私、菜月先輩には悪いなんて全然思いません。」

「あっそう。」

平然と立ち去る菜月。

一人になると、

「ふーーん。なるほどね。」

と呟いた。

バスケチームのロッカールーム

直輝の足をチェックするトレーナー。

「痛い?」

「大丈夫です。昨日から足の痛みも少なくなってきて。」

「もしかしたら、、足首の動きが改善されたのかもね。

 でもまあ、間接内剥離なだけに、いつ症状出るか

 わからないからな。

 本当に手術受けなくていいの?」

「はい。

 あと、チームのみんなには言わないでもらっていいですか?」

「まあ確かに今は弱み見せたくない時期だろうけど・・」

「変に心配掛けたくないし。」

「わかった。コーチにだけはちゃんと言えよ。」

「はい。」

直輝は、関節内剥離の痛みも治まり、いままで以上に練習に没頭する。

コーチたちも直輝の変化に注目し始める。

莉子からメールアドレスを教えてもらった直輝は、

さっそくその喜びを報告する。

『初メール  莉子へ

 今日、少しいいことがありました

 莉子と会えたおかげかな・・・とか、

 ちょっと思ったりする

 莉子といると元気になる♪

 よし 今日も張り切ってバスケしてきます

 直輝 』

「へー。絵文字とか使い人なんだー。」

莉子は嬉しそうにメールを保護する。

「なに?今朝できた彼氏からのメールとか?」と麻衣。

「違うよ。私と上矢君はまだ、彼氏とか彼女とか、

 そういうのじゃないの。

 川崎さんともちゃんと話さなきゃいけないし。」

「一発逆転って可能性もあるかもしれないしねー。」

「一発逆転?」

「ほら、川崎さんが莉子の為に崖の上の花なんかを摘もうとして、

 で、崖から落ちちゃって、もう動かない身体になっちゃって、

 で、僕にはもう君しかいないなんて言われたら、

 責任感じて結婚するでしょ?」

「何そのベタな少女漫画みたいな話。」

「現実はベタな作り話より怖いのよ。

 あー、川崎さん、この男の見る目の無い女を

 どうかお許しください!」

「・・・」

『私もバイトがんばります!

 莉子』

「短っ!」

そう呟き笑う直輝。

「直輝さんって、莉子さんと仲いいんですか?」と秀治。

「は?何急に。」

「いや、二人でよく公園で会ってるから。」

「・・」

仲間に冷やかされる直輝。

「ほら!

 いつまでも恋の話で浮かれてていいような時期じゃないんだぞ。

 ・・なんてたまにはキャプテンらしいこと言ってみたり。」

宇都宮はそう言いみんなを笑わせ、ジョギングに出かけていく。

「じゃあ俺も行きまーす!」直輝が続く。

莉子のことを思いながらグングンスピードを上げていく直輝。

莉子たちのマンション

鼻歌を歌いながら洗濯物を畳む麻衣を莉子がからかう。

「なによ自分だって彼氏が出来たからって浮かれちゃって。」

「私だってまだ秀治君と付き合うって決めてないの。」

莉子、ニヤリ。

「やめてその顔。」

「ふふふふ。」

「ていうか、今いい関係なのに恋人になることで

 それが崩れるのが怖いの。」

「うっそ!そんなに好きだったの?秀治君のこと。」

「え・・・いや、それ程でもないけど。

 今宇都宮さんが私を迎えに来たら、

 そりゃあもちろん宇都宮さんに、・・・」

「ちょっと?何妄想してんの?」

「ダメだ私やっぱりおかしい!

 今秀治君の船と宇都宮さんの船がいっぺんに私を迎えに来たら、

 秀治君の船に乗ってしまう気がする。

 それがいくらボロボロの船であっても!」

「ほーらやっぱりね!」

「私今更好きだなんて言えない。どうしよう・・。」

するとそこに、莉子がアルバイトをしている会員制バーの支配人から

電話が入る。

支配人は、莉子が店の上客の八尾(升毅)から演奏を非難されたことを

問題視し、これ以上演奏をしてもらうわけにはいかない、と告げた。

「私、もっと頑張ります!

 もっと練習して、満足してもらえるように、努力します。

 私、誰かに演奏聞いてもらえる所、今そこしかないんです。」

「そう言われてもね・・。

 申し訳ないね。今までのギャラは振り込みますから。」

「・・・」

直輝の部屋

ベッドに横になり、ふと、「莉子・・」と呟き照れ笑いする直輝。

突然腕立て伏せを張り切りだす。

真希子(真矢みき)と優里(大政絢)は、直輝の変化に気づいていた。

バスケ専門誌のインタビューで川崎が直輝への期待を語っていることを

知った真希子たちは、大喜びだった。

「ママも今年こそは一緒に見に行こうね!」

「あー、私は行かない。だって私が行くとほら、」

「気にしすぎだよー。

 ママが見に行った試合は、負けるなんてジンクスまだ信じてんの?」

「だって高校の頃からずーっとそうだったのよ?」

「意外に繊細なんだから。

 今度は行くよ!

 今シーズンは、お兄ちゃんにとって勝負の都市なんだから。」

「そうなのよね・・。」

雑誌の記事を読んだ直輝は、川崎(伊藤英明)が自分に期待して

くれていることを知り・・複雑になる。

公園

バイオリンを弾く莉子の姿を見つめる直輝、

ふと、

「俺は信じてるよ、直輝のことを。」

と川崎に言われたことが脳裏をよぎる。

ドリブルしながら公園に向かう直輝。

「あ、今ね、音だけで直輝ってわかったよ。」

「マジで?」

「足音とボールの音でわかった。

 これなら私、バスケットコートのどこにいるか

 音だけでわかるかも。」

「バスケやんないじゃん。」

「やんないけど、でもなんか嬉しい。」

「やってみる?」

「うん!触ってみたい!」

「気をつけてね。」

直輝とボールを投げあう莉子。

「結構重たいんだね。

 はい、シュート!」

直輝は莉子から受け取ったボールをシュート。

「試合した気分!」

「指大丈夫?」

「うん。

 でも・・私の夢はもう遠いかな・・。」

「え?」

「ううん。

 公式試合ってどうなの?お客さん沢山来るの?

「うーん、300人くらいかな。

 でも、決勝とか近づくと、何千人とか。

 代々木の第二体育館ってあるでしょ?

 あそこで満員で三千人。」

「へー、そんなに?すごいね!」

「すごいんだよ。

 お客さんの歓声とかすごくて、すげー興奮するし。

 莉子にも早く見てもらいたいな。」

「うん。楽しみだなー。」

「あ。」

直輝は、莉子にフレンチトーストのレシピを渡す。

「俺、忙しくなるし、あんまり作ってあげる時間無くなるからさ。

 レシピ書いておいた。」

「ありがとう!作ってみる。

 ・・・あの時、」

「うん?」

「あの時、バスの中で直輝の携帯拾ったの、私だよ。」

「え?」

「窓の外で、直輝が一生懸命走ってて、

 でも、見えなくなっちゃって。

 そしたら、川崎さんから電話が掛かってきて。」

「・・・」

「あの時私達、一瞬だけど会ってた。」

「そうか・・。」

「うん。」

「そうだったんだ。」

「え?」

「でもいいや。

 今こうやって会えてるし。 

 こうやって5分でも10分でも、ちょっと会うだけでも、

 すげー元気でるし。」

公園の前に信号待ちのタクシーが停まる。

そのタクシーには菜月が乗っていて、二人の事を見ていた。

菜月に気付くことなく無邪気に微笑みあう二人。

バスケの練習後、アークスのメンバーは川崎とネットワークカメラで

話をする。

「お疲れ様です、川崎さん!」

「何だよみんなで。照れるな。」

「どうですか?そっちの状況は。」

「うーん・・実はあまり収穫がないんだよ。

 そっちはどうだ?」

「調子いいっすよ。メニューもFまで終わりましたからね!」

「いいね!」

「暑いっすか?ボストンって、暑いっすか?」と秀治。

「まあまあね。

 ・・・直輝。調子はどうだ?」

「・・バッチリです!」

「・・・そっか。

 とにかく、あと1週間だ。

 期待してるから、頑張れよ!」

「はい!!」

莉子のバイト先の本屋に菜月がやって来る。

菜月から食事に誘われたのだ。

「急に誘ってごめんね!

 川崎さんがいないから、もしかしたら割と夜暇なのかなと思って。」

「あー、まあ・・」

「寂しいでしょ?川崎さんも忙しいから。」

「ええ・・まあ・・」

「タメ語でいいって。同い年なんだから。」

「え?そうなんですか?」

「うん、直輝がね、そう言ってた。」

「・・・」

「白河さんって直輝と友達なんだよね?

 直輝って、何でも私に話してくれてたから。」

「・・そう。」

「私もちょっと暇なんだ。直輝と別れちゃって。」

「・・・」

「あ、そういえば、前に練習試合で直輝に怒鳴ってたよね。」

「あ・・あの時は、本当にごめんなさい。」

「ううん。言ってる事当たってたし。

 昔はね、すっごいカッコ良かったんだよ。」

「え・・」

「大学4年のときに、同期の子たちと直輝の試合見に行ったのね、

 文教大の。

 直輝がバンバンシュート決めて、

 こんな凄い人と同じ会社のチームなんだって・・。」

「へー・・。」

「入社して仲良くなりたいなとか思ってたら、

 向こうから告白されて。

 運命かなってすっごい嬉しかった。」

「へー・・」

「ごめんなさい。もう別れたのに、直輝の話ばっかり。

 私って、未練がましいよね。」

「・・いやいや、そんなことは、」

「じゃあもう少しだけ話していい?」

「・・・ええ、もちろん・・どうぞ。」

「ありがとう。

 私ね、直輝の手が凄く好きだったんだ。

 指が柔らかいんだよね。触り方が優しいの。

 フィンガーロールって知ってる?

 バスケで、シュートを投げる瞬間に、キュってボールに回転かけて、

 そうすると、すごいキレイにシュートが入って。」

「・・・」

「器用なんだよね。

 泊まりに来ると、お風呂とかまですっごいピカピカに掃除してくれて、

 こっちが恥ずかしくなっちゃう。

 電話もメールもマメでしょ?

 それに、」

「・・・」

夜、部屋でバイオリンを弾く莉子。

弾きながら頭に浮かぶのは菜月の言葉ばかり・・。

「・・・ダメだ。全然集中できない・・。」

直輝が公園にやってくると、そこに麻衣と秀治がいることに気付く。

「このシュートが決まったら・・僕と付き合って下さい!」

秀治が麻衣に言う。

「え・・」展開に驚く直輝。

「確かに、収入はないけど・・

 だけど・・

 ちゃんと麻衣さんの彼氏として、認めてほしいんです!」

「なんだそれ・・」と直輝。

「いいよ。」と麻衣。

「いいの!?」と直輝。

緊張しながらも、見事にシュートを決める秀治。

「やったー!」と秀治。

「やった!」と直輝。

「やったー!!」と麻衣。

「・・ていうかプロなんだから入って当たり前だろ・・。」と直輝。

秀治が麻衣を抱きしめる。

「ちょっとやめてよこんな所で居候のくせに。」

「すいません!」

「離さないでよ!」

「・・え?」

「嘘だよ。

 こういう意地悪なセリフは、私特有の・・照れ隠しのジョークなの。

 早く気付いて突っ込んでよ。」

「・・そうなんですか。

 ってことは・・」

「好き・・なんて・・正面向いて、目見ながら言えるほど・・

 恋愛上手じゃないの、私。

 その辺は・・いくら年下だからって、男の子が上手くリードしてよ。」

麻衣を抱きしめる秀治。

「好きですよ。麻衣さん。」

その言葉に嬉しそうに微笑み、頷く麻衣。

そして麻衣は、秀治の頬にキスをした。

そんなふたりを見ていた直輝は思わず小さく拍手。

そして二人には声を掛けずにそっと帰っていく。

別の日、菜月は、体育館でひとり練習を続ける廉の姿を見ていた。

廉はシュートを外してばかりで苛付いていた。

そんな廉を見ていた菜月が笑う。

「何だよ!」

「ううん。

 私最初からあなたのプレーあんまり好きじゃなかったなーと思って。

 下品で乱暴で、自分のテクニックを見せびらかしたいだけの、

 自己満足のバスケ。」

「言ってくれるね。

 何で電話に出ないんだよ。」

「金沢さんとのデートで忙しいんじゃないの?」

「・・・ふーん。嫉妬してくれないの。」

「ごめんなさい。私、そこまで好きじゃなかったみたい、あなたのこと。」

「・・・」

「調べたんだけどね、インカレで直輝に負けた年に留学したんだね。

 そんなに悔しかった?直輝に負けたの。

 ・・・だからうちに入ったし、私にも。

 でもバスケは上手くはなったかもしれないけど、

 あなたのプレーはアークスで浮いてる。

 これじゃ又直輝に負けるかもよ。」

「うるせーんだよ!」菜月のすぐ側ににボールを投げつける廉。

だが菜月は瞬き1つせず、冷静に廉を見つめている。

「ふざけんなお前!」菜月に掴みかかる廉。

「子供ねー。

 もっと考え方変えた方がいいよ、勝ちたいんなら。」

「・・・」

そこに直輝がやってきた。

菜月は廉の手を振り切り、何も言わずにその場から去っていく。

一人になると、菜月は呟く。

「・・・何やってんのよ私・・。」

麻衣たちのマンション

麻衣と秀治が仲良く食事をする様子に、莉子は部屋で呟く。

「なんだか・・家に居場所が無くなってしまった・・。」

そこへ、直輝から電話が入る。

「実家帰るの?」

「うん、明日。

 昨日お母さんと電話したら、夏の間に一回帰ってこいって言われて。」

「ふーん。実家どこだっけ?」

「山梨。

 美味しい果物沢山あるんだよ。桃とか。」

「へー!じゃあ・・俺も行こうかな。」

「本当!?」

「嘘嘘。練習あるし。行きたいけどさ。」

「うん。そうだよね。

 ちょっと、会えなくなっちゃうね。」

「うん。

 でも大丈夫。電話もメールもあるし。」

「・・・」

「どうした?」

「ううん。

 あ、そうだ。明日の夜って会える?

 明日、直輝に会ってから、深夜バスに乗って帰ろうかな。」

「うん。じゃあ、練習終わったらすぐ行く。」

「うん。」

「7時までには間に合うと思う。」

「じゃあいつもの公園でね。

 うん、またね。」

直輝の家

「ね、どう足首?」と真希子。

「もう問題ない。大丈夫。」

「そう、良かった!

 でもだからって無理しすぎないでよ。」

「大丈夫だって。俺今すげー調子いいんだ。」

「うーん、いい顔してる。」

「ていうか、今年こそ、ちゃんと応援来てよ。」

「そうねー。この川崎さんのインタビュー読んでると、

 行きたくなっちゃうなー!」

「・・・」

直輝の携帯が鳴る。

すぐに出るが、電話は切れてしまう。

それは、菜月からだった。

翌日、莉子はスーパーにフレンチトーストの材料を買いに行く。

体育館

選手たちが練習する中、菜月は直輝のことを目で追ってしまい・・。

買物から帰った莉子は、慣れない手つきでフレンチトーストを

作り始める。

雨が降ってきた。

練習を終えて莉子のもとへ向かおうとした直輝は、

その途中で、雨に濡れながら歩く菜月に出会った。

「どうした?」

「・・・」

1つの傘でガード下まで走る直輝と菜月。

「持ってけよ。」

「いいって。」

「いいから。」

「いいってば。」

「・・置いてくね。」

「ねえ!

 大丈夫なの?右足。

 合宿の後ぐらいから・・走り方がおかしかったから。」

「ああ・・今のところは大丈夫。」

「・・・良かった。」

「ありがとう。

 ・・昨日の電話もそれだった?」

「・・・うん。もう友達でも恋人でもないけど・・

 私は・・仲間だと思ってるから。」

「・・・」

菜月がくしゃみをすると、直輝はタオルを掛けてあげる。

「風邪引くよ。」

「こんなことしないで!

 別れた女に、こんな中途半端に優しいことしないで!」

「仲間なんだろ?僕もそう思ってるし。」

「・・・」

「あいつと何かあった?」

「・・・関係ないから。直輝には。」

「うん。でも・・菜月は自分で思っているほど強くないからさ。」

「・・・」

「じゃあ・・行くわ。」

立ち去る直輝に菜月は駆け寄り背中から抱きしめる。

「行かないで。」

「・・・」

その頃莉子は土砂降りの雨の中、直輝のことを待っていて・・。

上手くいきかけると邪魔が入る。(笑)

菜月ももっと早く素直になれればよかったのに・・。

きっとあのあと直輝は、自分を抱きしめる菜月の手を

そっと離したんだろうなー。

好きな人と気持ちが通じ合った瞬間って、きっと一番幸せな時間!

莉子と直輝を見ていてそう思いました。

キスしたり微笑みあったり抱きしめあったりする二人が

幸せいっぱいなのはもちろんのこと、

直輝が帰ったあと、直輝に名前を呼ばれたことを思い出して

幸せに浸る莉子、

莉子の家からの帰り道、自転車を楽しそうに漕ぐ直輝、

別々のところで幸せをかみ締めている描写が素敵でした。

恋の力なのか、直輝はバスケも絶好調!

でもランニングを張り切る直輝に、足に負担が掛かって

しまっているのでは、とヒヤヒヤ。

菜月は直輝の足の怪我にずっと気付いていたんですね。

元カノと新しい恋。

莉子のことであんなに幸せそうな直輝が、

菜月とヨリを戻すとは考えにくい。

やっぱり、一番大きな問題は川崎さんかな。

直輝は川崎さんに、莉子は菜月に、遠慮してしまうのでしょうか。

麻衣と秀治、今日もとっても可愛かったです。

第九回

『引き裂かれた絆』

直輝(山下智久)は、深夜バスで帰省する予定の莉子(北川景子)と、

出発前に会う約束をしていた。

練習を終え、莉子のもとへと急いだ直輝は、その途中で、

雨宿りをしている菜月(相武紗季)に出会った。

直輝は、持っていた傘を菜月に手渡して立ち去ろうとした。

そんな直輝に、ひとりにしないでほしい、と言って抱きつく菜月。

「行かないで・・お願い。一人にしないで。」

「・・・菜月・・どうした?」

「・・・」

「俺・・用事あるんだ。」

「・・そうなんだ。ごめん。」

「どうしたんだよ。」

「ううん。何でもないの。

 ・・・何でもない。

 待ち合わせ?」

「うん。・・友達と。」

「・・・」

「だから・・もう行かないと。」

「そうか・・。もうホント大丈夫だから。行って。」

「風邪引くなよ。」

直輝は傘とタオルを菜月に渡し、歩き出す。

立ち去る直輝の後姿を見つめる菜月。

ふと、直輝が振り返る。

菜月は寂しそうに微笑むと、直輝から借りた傘をさして歩きだす。いつもの公園で待っていた莉子。

そこへ直輝がびしょ濡れになってやってきた。

「直輝!」

「莉子!遅れてごめん。」

「傘持ってなかったの?」

「俺もう部屋で待ってるかと思った。

 すげー待たせたよね。」

「ううん。」

「申し訳ない。」

「とりあえず行こう!」

莉子の住むマンション

「タオル持ってくるえん。」

「つーか・・バス・・時間大丈夫?」

「え?あ、もういいの。バス間に合わないから。」

「え?」

「どうしようかなと思ったんだけど、直輝に会いたかったから。」

嬉しそうに微笑む直輝。

「明日電車で帰る。親にはもう連絡した。」

「ごめん。帰れなかったんだ。」

「ううん、いいの。練習大変だった?」

「あ・・ちょっと長引いちゃって。」

「そっか。」

「ね、何これ。」

「あ!!いいのいいの!それは!!見ないで!」

「うわ!フレンチトースト?

 作ってくれたんだ。」

「いいからいいから!食べないで。もういいから。」

1つ口に頬張る直輝。

「・・・」

「・・・」

「今度一から教えるね。」

「やっぱりかぁ。レシピ通り作ったつもりなのにな。」

「嘘だよ。美味しいよ!ありがと。」

「嘘ばっかり。」

「ほんとだって。俺腹減ってたし。」

「・・・」

「食べる?」

「ううん。

 本当はね、ちょっと、怖かったんだ。

 もう来てくれないんじゃないかなーと思って、ちょっと怖かった。」

「行かないわけないじゃん。

 ちゃんと約束したし。」

「うん。

 でも、来る途中に誰か、他に好きな人が出来たんじゃないかなぁとか。

 よくよく考えたら私のこと、そんなに好きじゃないかなって思ってたら

 どうしようかなーとか。」

「思ってるわけないでしょ。」

「バカみたいだよね。」

莉子の頭を撫でる直輝。

「心配掛けてごめんね。」

見詰め合う二人。

すると、莉子の携帯電話が鳴る。

「もしもし。」

「もしもし、七海です。

 今ってもしかして、直輝と一緒?」

「・・え?」

「あ!やっぱりそうだったんだ!

 友達と待ち合わせって言ってたから、莉子ちゃんかなと思って。

 直輝遅れたでしょう。ごめんね。

 それ私のせいなの。」

「・・ああ・・ううん。」

「私が傘忘れて歩いてたら、追いかけてきて、傘とかタオルとか貸してくれて。」

「・・・」

「やっぱり莉子ちゃんだったんだー。

 二人に迷惑掛けちゃったよね。

 でも、直輝が悪いんじゃないよ。

 私のせいなの。」

「ううん。」

「直輝、シーズン前の大事な時期だから、風邪引かないようにだけ

 注意してあげてくれる?

 私達も又ご飯食べようね。

 じゃあ又!」

「・・うん、又ね。」

「大丈夫?仕事?」と直輝。

「ううん。

 ・・・直輝、今日は、早く帰らないとね。」

「え?」

「風邪引いちゃうと良くないし。」

「大丈夫だよ。俺今超元気だもん。」

「でも大事な時期だし・・

 早く、お風呂に入って、あったまった方がいいかな・・。」

「・・・うん。ありがとう。

 じゃあそうしよっかな・・。」

一人になった莉子は部屋で考え込んでいた。

そこへ、麻衣(貫地谷しほり)と秀治(溝端淳平)が帰宅する。

「ただいま!」

「お帰り。」

「莉子実家帰ったんじゃなかったの?」

「・・・」

「じゃあ莉子さんも誘えばよかったっすね!

 今日練習早めに終わったんで、外で飯食ってきたんです。」

「え・・早めに終わったの?」

「・・莉子、どうしたの?」

「ううん。何でもない。」

直輝の家

風呂から上がった直輝は、ペットボトルの水を飲みながら考える。

「あの時・・俺の頭の中には・・

 莉子の笑顔じゃなくて、

 菜月の小さな後姿が浮かんでいた。」

翌日

メディカルチェックを受ける選手たち。

ロッカールームに戻ると、直輝のロッカーの前に紙袋が置いてあった。

『この間はどうもありがとう 菜月』

洗濯されたタオルの匂いをかぎ、「懐かしい。」と呟く直輝。

莉子は久しぶりに実家に戻る。

「莉子!」母(手塚里美)が声を掛ける。

「お母さん!」

「お帰り!」

そんな中、宇都宮(永井大)は麻衣と秀治に招かれ、

すき焼きパーティーに参加。

「え!?秀治と海老名さんが付き合ってる!?」驚く宇都宮。

「ええ・・。実は、薄々気付いていらしたかもしれないんですけど、

 私ずっと宇都宮さんに憧れていたんです。とても。」

「ああ・・」

「でも、宇都宮さんは私がいなくたって一人でも立派に生きて

 いけそうですけど。秀治君は何ていうか・・。

 なのでこれからは、秦野秀治と共に、末永く仲良くしていただければと、

 よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。」と秀治。

「そっかぁ。正直ほっとしたな。」

「・・もう、こうなったら、思い切って聞いちゃいますけど、

 やっぱりその何ていうか・・本命は川崎さんで?」

「え!?」

「え?」「え?」

「違うよ!

 よく誤解されるんだよな、それ。」

「良かった~!

 ほらやっぱり違ったじゃないっすか。」と秀治。

「・・・嬉しいけど・・なんか拍子抜け・・ですね。」

「好きな女性はいるんだ。

 でも相手のいる人でさ。

 もうずーっと長い間片思いしてて、

 いい加減に諦めなきゃなと思ってたんだ。」

「そうだったんですか・・。」

「よし!またいい人探さなきゃな。」

そこへ、直輝たちも合流。

「なんって素晴らしい風景なの?

 憧れの、全日本選手。

 そして身長180センチ以上の美しいスポーツ系男子。

 そして、かわいい年下の彼。

 そして、こまめに良く働く青年A。」

「ネギ、もう少し切った方がいいですか?」と直輝。

「ありがとうございまーす。」

冷蔵庫にはシールの台紙。

「また集めてるの、そのシール。

 もう一個もらったら上矢君に上げるんだって。」

「そうですか。

 ・・あの。」

「はい?」

「俺川崎さん帰ってきたら、莉子のことちゃんと話そうと

 思っているんです。

 なんで、それまでは、秀治とか、他のみんなに、

 言わないでもらっていいですか?」

「わかってますよ、そんなこと。

 莉子が上矢君のこと好きなら上手くいってほしいし。

 でも・・最近の莉子なんか元気ない。

 まあバイオリンのバイトのこととか色々あるんでしょうけど。」

「バイオリン・・」

「・・聞いてないんですか?バイト辞めたこと。」

「いつですか?」

「とにかく、莉子を不幸にするようなことがあったら

 私許しませんから。」

「・・・」

心配になった直輝は莉子に電話したが、

莉子は眠ってしまっていていた。

その頃、ある音楽事務所では、莉子を叱った男性・八尾が

自分のせいで莉子が店を辞めたことを知らされていた。

「何だそれは・・。

 私はそんなつもりで言ったんじゃないんだ。

 彼女にもっとやる気を出してもらおうと思って。」

「どうします?先生。時間がありません。」

「彼女の連絡先、調べて。」

「わかりました。」

実家でのんびり過ごす莉子。

母親の手料理で1.5キロ太ったと母に笑う。

そんな莉子に、直輝からメールが届いていた。

『実家はどう ♪

 ゆっくり出来てる?

 俺は身体測定があったんだけど、

 体重が1.5キロ増えてた

 この調子で筋肉つけて

 当たり負けない身体になっていくといいな

 直輝』

「直輝も増えたんだ。じゃ、まっいっか!」莉子が笑う。

その日、直輝は宇都宮とともにアークスを代表してPBA

開幕記者会見に出席する。

会見を終えた直輝は莉子に電話したが、またつながらなかった。

直輝からのメールを読んだ莉子が、

同じタイミングで彼に電話していたからだった。

「また留守・・。」

寂しそうに呟くと、莉子はバイオリンを弾き始める。

テレビを見ていた両親は、テレビを消し、娘のバイオリンに聞き入る。

記者会見の帰り、菜月は宇都宮に誘われてケーキ屋に寄る。

「悪いね、つき合わせて。

 ここのケーキ本当に美味しいから食べてみてよ。」

「・・宇都さん。私今どんな顔しています?」

「え?」

「なんか、自分がどんどん嫌な女になっていく。」

「どうしたの?」

「私・・直輝にダメになって欲しかったんです。」

「・・・」

「私と別れて落ち込んで、ボロボロになって、

 バスケも何もかも上手く行かなくなって。

 後悔してほしかった、別れた事。」

「・・・」

「それで、泣いて私にすがって欲しかった。

 やっぱりお前がいないとダメだって。

 ・・・ホント、バカみたい。

 今更どうしようもないってわかっているんですけどね。」

「・・・」

「でも・・気持ちが止められないんです。

 ・・・止められないの。」

「・・・」

「なんとも思われないで記憶から消えるぐらいなら・・

 嫌われた方がよっぽどマシ・・。」

「・・・」

CDショップでヴィヴァルディの『四季』を買った直輝は、

代々木廉(金子ノブアキ)がしおん(小松彩夏)の肩を抱いて

歩いていくことに気付く。

代々木は直輝に気付くが、悪びれた様子もない。

直輝はそのことを不審に思い・・。

莉子の携帯にメールが届く。

『買ってきた♪

CDの写真が添付されていた。

それを見た莉子は、すぐに直輝に電話をかけた。

「もしもし。」

「もしもし!あー、やっと繋がったー!」と莉子。

「入れ違いになっちゃってたもんね。

 元気?」

「うん。直輝の声も元気そう!

 ね、ヴィヴァルディ、買ったんだね!」

「うん。聴いてみたらさ、春とか秋のとこも、

 よく聞いたことのあるフレーズだよね。」

「うん。タタンタンタンタラタン♪

歌いだす二人。

「でしょ?」

「それそれ!

 でもね、俺は、やっぱり夏がいいなー。強そうで。

 とくに、プレストんとこ。第三楽章の。」

「嘘!すごいちゃんと聴いてるんだね!」

「うん。でも、プレストの意味はわかんないけどね。」

「プレストは、早くっていう意味の、音楽の速度標語なの。

 急いでいる感じで、だから弾くのがすごい難しいんだ。」

「へー、速さのことなんだ。」

「うん。」

「ふーーん。」

「あ。」

「うん?」

「なんか今、涼しい風が入った音がした。」

「ああ、もう夏も終わりだもんね。」

「うん。」

「・・あのさ、」「あの、」

「うん?」「うん?なぁに?」

「いや・・何でもない。そっちは?」

「うん。私も、何でもない。」

「本当?」

「うん。なんか、もっと喋って。」

「はい?」

「なんか・・声聞きたいんだ。久しぶりだし。」

「4日ぶりか。・・そんなこと言われても、何喋っていいか 

 わかんないよ。」

「そっかぁ。こっちはね、お父さんが、」

その時、母親が夕飯と呼びに来る。

「ごめん、お母さんが呼んでる。」

「ああ。明日帰ってくるんだよね?

 そしたら、明日の夜、会ってゆっくり話そうよ。」

「うん。わかった。」

「じゃあ、練習終わったら連絡するね。」

「うん、待ってるね。頑張って。」

「ありがとう。じゃあ気をつけて帰ってこいよ。」

電話を切った直輝は、ふと、菜月の手紙を見つめ・・。

夕飯を食べながら、莉子の母親が莉子に言う。

「ねー、莉子。

 お父さんとも話してたんだけど、バイオリン、もう諦めたら?」

「え・・」

「卒業してもう2年でしょう?

 お父さんももう、来年には定年だし。

 今なら、こっちでならどこかしら就職先も探せるだろうって、 

 お父さんも言っているのよ。

 莉子が戻ってきてくれたらお母さんも安心なんだけどな。」

「・・・」

「帰ってきなさいよ、ね。」

「・・うん。考えてみるよ。」

あくる日、東京に戻った莉子は、麻衣とランチをしようと思いたち、

アルバイト先の書店を訪れる。

「麻衣、ただいま!」

「莉子~!おかえり!」

「一緒にランチ食べたくて来ちゃった。」

「ちょっと待ってて。終わらせてくる!」

そこに菜月が現れる。

「・・・菜月さん。」

「こんにちは。今日バイトじゃないんだ。」

「ああ、うん、ちょっと田舎に帰ってて。

 仕事中?」

「うん。パソコン関係の本ってどこにあるかな。」

「それでしたらこちらになります。」

「良かったね、もうすぐ帰ってくるから。」

「え?」

「川崎さん。あさってでしょ?帰国。」

「ああ・・うん。」

「どうしたの?あまり嬉しくなさそう。」

「え・・ううん、そんなこと。

 あ、パソコン関係、ここになります。」

「もしかして浮気でもしてるの?」

「・・・え?浮気・・」

「直輝と。」

「・・・」

「なーんだ。図星だったんだ。」

「・・・」

「へー。川崎さんが女性に騙されちゃうなんてね。」

「そんな・・騙してるなんて。」

「ううん。責めてるわけじゃないの。

 女だって浮気したくなる時ぐらいあるもの。

 私も・・直輝を傷つけた。」

「・・浮気したの?」

「うん。そう。」

「うそ・・あんなに大事にされてたのに。」

「・・・大事にされるだけでどうなるっていうのよ。

 教えて。そうれで生活が安定する?

 怪我や病気にならずに済む?

 一生幸せに生きることが出来る?」

「・・・」

「そんな甘いもんじゃないでしょう!?

 直輝は優しいけど・・。

 私、直輝と現実を生きたかったの。

 あなたと直輝みたいなただの傷の舐めあいじゃなくて。」

「傷の舐めあいって・・」

「だっていつも呑気に、二人で現実逃避してるんでしょ? 

 いつかは夢が叶うといいねーって。」

「・・・」

「直輝も気持ちいいんでしょうね。

 あなたとなら劣等感もないんだろうし。

 フワフワした幼稚な関係でいられて。

 でもそれっていつまで続くのかな。」

「・・ねえ、どうしてそんな話を私にするの?」

「私ダメなんだよねー。

 夢夢言ってる人間見ると、時々イラっときちゃうの。

 現実見ろよって。

 妄想に逃げてる暇があったら真面目に働けよって。」

「別に逃げたりなんかしてない!」

「じゃあ叶うの?あなたのその夢。」

「・・・」

「直輝だって。

 知ってる?足に怪我抱えているの。

 なのに手術もしないで我慢して。」

「手術・・」

「大事な時期なの!」

「・・・」

「やっぱり、知らなかったんだ。

 直輝はさぁ、そういう大事な話はあなたには出来ないんだよ。」

「・・・」

そこにやってきた麻衣は、ふたりの間に割って入る。

「ちょっと!何言ってんのあんた。」

「麻衣・・」

「話があるなら上矢君に話せばいいじゃない。

 それをわざわざ莉子に言いつけるなんて。

 何考えてんの?」

「・・・そうだよね。そうする。

 確かめたかっただけなの。

 大事なのは、川崎さんか直輝か。」

「確かめたかった?

 何でそんなこと!」

「もういいよ、麻衣。

 菜月さんの言ってる事・・合ってるし。」

「え?」

「私の夢はもう・・叶いそうにないし・・。

 浮気って思われても仕方のない事しちゃったのかもしれない、

 でも・・でも、直輝の夢をバカにすることだけは許せない。」

「・・・」

「直輝の夢は現実逃避なんかじゃない。

 絶対に絶対に叶う!」

「・・・そっ。優しいのねぇ。」

「・・・」

「もう行こう!

 なんか可哀想な人だね。

 傷つけることでしか人と関係築けないなんて。」と麻衣。

「可哀想、私が?」

「行こう!」

麻衣は莉子を連れてその場を去る。

その日の夕方、アークスのロッカールーム。

「お前よくあんな女と何年も続いたな。」廉が直輝に言う。

「え?」

「あいつやっぱ疲れるよ。

 みんなの前じゃ優等生気取りなのに中身はもろビッチだし。」

「・・なんだそれ。」

「超性格悪いし。

 やっぱ俺無理だわ。」

「ちょっと待てよ。」

「どこがそんな良かったのか?やっぱ顔?」

「ふざけんなよ!!」

廉を殴りつける直輝。

廉も直輝に殴りかかり、二人はつかみ合いのケンカに。

「謝れよ!

 菜月に謝れよ!!」

「やめろ直輝!直輝!!」

宇都宮が叫んでも、直輝の怒りは収まらず・・。

莉子は、アパートで直輝からの連絡を待っていた。

そこに秀治が戻ってくる。

「今日ロッカールームが修羅場だったんすよ。」

「修羅場?」と麻衣。

「直輝さんと代々木さんが、殴り合ってたんです。菜月さんのことで。

 僕もよくわかんないんですけど、まだ好きなんじゃないのかな、

 あんなに仲良かったし、菜月さんのこと。」

「シーーッ、余計な事言わない! 

 ご飯出来るまでここで待ってて。呼ぶから。」

「え?ちょっと・・」

「じゃあね、バイバーイ。」

そのとき、莉子の携帯電話に、直輝からのメールが届く。

『ごめん。

 今日は会えなくなった。

 直輝』

ロッカールーム

直輝は宇都宮に思いを語っていた。

「菜月には、感謝しているんです。

 いつも体の心配してくれて。

 試合前は、食事のバランスとか考えてくれて。

 契約の時も、あいつのお陰でアークス残ろうと思えたし。

 ・・・別れてみて・・俺、本当にあいつに甘えてたんだなって。

 だから許せなくて。」

「わかるよ。

 とはいえ・・色恋沙汰で職場でケンカはないだろう。

 中学生じゃないんだから。」

「・・ホントすみませんでした。」

「なぁ直輝。菜月のこともう一度考えてみたらどうだ。」

「・・・」

「あいつはまだお前のこと忘れてないよ。」

「・・・」

「代々木もそれ気付いてるんじゃないのかな。」

「・・・」

その頃、莉子は部屋で携帯を開けたり閉じたり。

直輝からの連絡を待っていて・・。

あくる朝、直輝が公園で練習していると、そこに莉子がやってくる。

「おはよう。」と直輝。

「おはよう・・。」

「昨日、ごめんね。宇都さんと、話があってさ。」

「・・・」

「・・どうした?」

「・・どうしてそうやってごまかすの?」

「・・え?」

「あの雨が降った日、菜月さんと一緒にいたんでしょう?

 昨日は菜月さんの為に、ケンカしてたんでしょう?」

「・・・」

「・・・知ってるんだから。

 全部嘘だって知ってるんだから。」

「・・・」

「どうしてそんな嘘をつくの?」

「・・嘘つく気はなくてさ。

 言ったら・・莉子が変に気にするかなと思って。」

「・・・私のことより、菜月さんの方が大事なの?」

「え?」

「何で?浮気されたんでしょう?

 どうしてそんな人のこといつまでも、そんなに大事にしてるの?」

「何だよそれ・・」

「浮気する女なんて最低じゃない。

 直輝が優しいからってバカにして、」

「何で悪口ばっか言うんだよ。」

「だって本当のことじゃない!」

「莉子は・・俺と菜月のこと知らないだろ?」

「・・・」

「・・ごめん。

 でも莉子にはそういうこと言って欲しくない。」

「・・・そうか。」

「あのさ、」

「私とだったら・・傷の舐めあいだから?」

「・・・」

「私とだったら、劣等感もなくフワフワと、楽しくやっていけると

 思ったから?」

「・・・どうしたんだよ。」

「・・・私はいつも、直輝のことだけを見てるよ。

 雨が降った夜も、晴れた日の朝も、家にいても田舎にいても

 バイオリン弾くときでも、いつでも直輝のことばっかり考えてるよ!

 なのに!」

「・・・」

「・・・どうして直輝は・・私のこと見ててくれないの・・。」

莉子がそう言い残して走り去ってしまう。

体育館で一人練習をする直輝。

莉子はバイオリンを片付けながら、母の「帰ってきなさい」という言葉を

思い浮かべていた。

 

そんな中、知らない電話番号から電話が入る。

出るかどうか迷っていると、電話は切れてしまった。

莉子は、直輝からの電話を待っていた。

「私出かけるけど・・

 待ってないで自分から電話してみたら?」と麻衣。

「え・・」

「ケンカしたままなんでしょ?上矢君と。」

「・・・あのね、麻衣。

 私・・もう田舎に戻ろうと思う。」

「え・・」

練習を終えた直輝は、菜月に呼び止められた。

「上矢さん!これ、この間の。」

菜月はそう言い、会見を伝える新聞記事を集めたスクラップブックを渡す。

「やっぱりあまり大きな記事にはならなかったけど・・。」

「ありがとう。」

「怪我大丈夫?

 聞いた。私のせいでごめんね。」

「いや。」

「・・・私ね、代々木さんとはもう終わったの。」

「・・・」

「私・・私やっぱり、直輝のこと、」

「菜月。」

「・・・」

「俺、今大事にしたい人がいるんだ。」

「・・・白河さんのこと?」

「うん。」

「・・・」

「俺菜月には感謝している。

 菜月のお陰で、俺いろんなこと知ったし。

 辛い事も、楽しい事も。」

「・・・」

「だけど・・俺はもう俺の道を行くから。」

直輝は、菜月にそう言って、莉子のもとへと走り出す。

自転車で莉子の家へと急ぐ直輝。

そのころ、莉子のアパートには川崎(伊藤英明)の姿があった。

「川崎さん・・」

「ただいま。一日帰国が早まったんだ。」

「・・・」

「約束どおり、来たよ。真っ先にね。」

「・・・」

花屋の前を通りがかった直輝は、自転車を停め、ひまわりの花を見つめる。

莉子の部屋

「麻衣ちゃんは?」

「麻衣はオケのレッスンです。

 秀治君はもうすぐ練習から戻ると思いますけど。」

「そうか。明日から練習が楽しみだな。」

「・・・川崎さん。・・すみません。これは・・受け取れません。

 私・・上矢君が好きなんです。」

誕生日プレゼントを返す莉子。

「・・・そっか。やっぱり・・いない間に仲良くなっちゃったか。」

「ごめんなさい。私、」

「納得できないよ。

 どうして俺より直輝なんだよ。」

「・・・」

「・・なんてね!

 まあ、仕方ないよ。人の心はどうやっても動かせないし。

 ・・じゃあ、今幸せなんだね。」

「え・・」

「いいんだ、莉子ちゃんが幸せなら。」

「・・・」

「直輝はいいヤツだし、あいつならきっと莉子ちゃんを大事にしてくれる。

 直輝なら、莉子ちゃんを泣かせるようなことは絶対に。」

「・・はい・・はい、幸せです。

 大事にしてくれていると思うし・・。

 ・・でも、私・・上矢君が何を考えているのか・・

 よくわからない・・。

 もう・・わからないんです・・。」

莉子の瞳から涙が溢れる。

そんな莉子の姿を見た川崎は、彼女を優しく抱きしめ…

その頃、直輝はひまわりを握り締め、莉子の元へと急いでいて・・。

上手くいきそうで上手くいかない展開にモヤモヤ。(笑)

秀治と麻衣は、宇都宮にちゃんと告白。

こんがらがった糸が少し解けました。

その宇都宮がずっと思っている相手は、やっぱり菜月なのでしょう。

川崎さんじゃなくって良かった!

菜月にとって宇都宮さんは自分の心を正直に話せる相手。

この二人にも上手くいってほしいです。

直輝は莉子に惹かれながらも、菜月のことが気になってしまって

いるようです。

それでも莉子に思いをぶつけられ、考え、

そして答えを見つけることが出来ました。

「俺はもう俺の道を行くから。」

菜月に言い放ったこのセリフにスッキリ!

莉子は川崎さんに正直に気持ちを伝えることが出来ました。

直輝と上手くいってないことで川崎さんに甘えるんじゃなくて

良かった。

でも、幸せと言いながらも溢れてしまう涙。

そんな莉子を抱きしめてしまう川崎。

あー、じれったい!

ほんのちょっと気持ちがすれ違っただけなのに、

上手くいきそうで上手くいかない二人。

莉子は夢に近づきそうですね。

直輝は手術!?その時側にいるのは菜月!?

二人は一度離れて、夢を叶えたその時に、再会するのかな!?

上官飞飞 发表于 2010-11-26 18:51:22

第十回

『最終章・別れ』

直輝(山下智久)は、莉子(北川景子)のために生花店で

一輪のヒマワリを買い求め、彼女のアパートへと急いでいた。

 

そのころ莉子は、出張先のボストンから1日早く帰国し、

約束どおり、真っ先にアパートまで訪ねてきた川崎(伊藤英明)と

一緒だった。

莉子は、川崎にもらった指輪を返すと、直輝のことが好きだと告げた。

莉子の気持ちを知り、幸せならそれでいい、と理解を示す川崎。

しかし、直輝とケンカし、バイオリニストになるという夢も

諦めようとしていた莉子は、幸せだと答えながらも、

涙をこらえることができない。

川崎は、そんな莉子を優しく抱きしめた。

直輝が莉子のアパートに到着すると、彼女の部屋からちょうど

川崎が出てくる。

「よう、直輝。」

「・・・」アパートの隣にある公園

「川崎さん!・・すみません。

 すみません、俺・・白河さんのこと好きになってしまって・・。」

「・・・」

「でも、彼女が悪いわけじゃないんです。

 友達だったのに・・俺が、気持ち止められなくて・・それで・・。」

「・・・直輝。

 俺が莉子ちゃんと今、部屋で何してたかわかるか?」

「・・・」

「お前のせいで泣いている彼女を、俺が優しく抱きしめた。」

「・・・」

「お前に彼女が守れるとは、思えない。」

「いえ!

 俺白河さん守りたいんです。

 確かに俺強くないです。

 いつもどっか自分に自信なくて・・

 劣等感ばっかで・・。

 でも、彼女はそんな俺を認めてくれたんです。

 俺のバスケを。俺の生き方を。

 彼女がいると、俺強くなれるんです。」

「・・・」

「大事な人なんです。

 だからちゃんと守って、大事にして、

 莉子と一緒に夢を追い続けたいんです。」

「・・・」

「ホントすみません。でも・・・俺絶対彼女離しません。」

「あーあ、イヤなカップルだねー、お前らは。」

「・・・」

「さっき、莉子ちゃんにも全く同じ事言われた。」

(回想)

「私やっぱり、上矢君のことが好きなんです。

 上矢君が悪いんじゃないんです。

 友達でいようって言われてたのに、

 私が・・気持ちを止められなくて。

 上矢君といると、元気になれるんです。

 大事な人なんです。

 だから・・・上矢君の夢を、応援したい。

 なのに不安になって、勝手に傷ついて・・

 私・・責めちゃった・・。

 もっと直輝のこと、信じなきゃ。」

「もしかして・・さっきからのろけてる?」

「いえ・・。

 だから・・本当にすみません。

 これは・・受け取れません。」

莉子はそう言い、川崎に指輪を返した。

(回想終わり)

「傷つくねー。若者の無防備な言葉は。」

「・・・」

「まあいいや。蒼い者同志、勝手に仲良くやってくれ。

 俺はもう知らない。

 その代わり、ちゃんと見せてくれよ。

 お前がどれだけ強くなったのかを。

 莉子ちゃんが、彼女の愛が、どれだけお前を変えたのか、

 俺にバスケで見せてみろ。」

「はい!」

川崎は直輝に微笑み、帰っていく。

「ありがとうございます!」

直輝は川崎に一礼し・・。

振り向くと、莉子が部屋の窓から二人の様子を見守っていた。

莉子のマンション

「いろいろ・・俺が悪かった。」

「寂しかったよ。足の怪我のことだって、手術が必要なくらい

 大変だったなんて、私、知らなくて・・。」

「何で、そのこと知ってんの?」

「言わないー。」

「・・・」

「・・大丈夫なの?」

「うん、平気。

 ていうか、心配掛けたくなくてさ。」

莉子が微笑む。

「男っていうのは、好きな子にカッコ悪いこととか知られたく 

 ないもんなんだよ。」

「ふーん、変なの!」莉子が笑う。

「俺だって寂しかったよ。

 あのバイオリンのバイト辞めたこと教えてくんないから。」

「あー・・それは、心配掛けたくなくて。」

「ほら。」

「・・・ごめん。」

「はい!」ひまわりの花束を差し出す直輝。

「え・・どうしたの?これ。」

「帰り道に売ってたから。」

「嬉しい!私ひまわり大好き!

 そういえば、前に駅ビルのコンサートで貰ったのも、

 こんなんだったなー。」

直輝が微笑む。

「ねえ。俺が好きなのは、莉子だけだよ。」

「・・・」

「だから・・ちゃんと信じて。俺の事。」

「・・・うん。ありがとう。」

「うん。」

二人は寄り添い、幸せそうに微笑みあう。

あくる日、直輝たちアークスの面々は、復帰した川崎の指導の下、

練習を開始する。

ところがその最中、直輝は、足首に激痛が走り、倒れてしまう。

病院に運び込まれた直輝は、医師から手術を受けるよう勧められる。

しかし直輝は、手術を受けたら開幕戦に間に合わない、といって拒絶する。

「今なんです!俺今ガンバルしかないんですよ!」

その時、菜月(相武紗季)が口を挟む。

「すみません。手術の日程を決めていただけますか?

 なるべく早く!」

「・・・」

病室を出る菜月と直輝。

「おい!何で勝手に決めるんだよ。」

「上矢さんの為に言ってるんです。」

「・・・」

「試合中に同じ事が起きたら、どれだけチームに迷惑掛けると思う?」

「・・・」

「今シーズンが、直輝にとってすごく大事だってことは

 私にだってわかってる。

 でも、だからこそ、今の状態で戦うべきじゃない。」

「・・・」

「ごめん。私が側にいたら、もっと早く判断してたのに。」

「・・・」

一方、莉子は、須賀川淳(岡本光太郎)という男から電話をもらい、

東都音楽財団の事務室に呼び出される。

するとそこに現れたのは、会員制のバーでバイオリンを弾いていた

莉子に対し、厳しい言葉を浴びせた男・八尾隆介(升毅)だった。

「先日は申し訳ないことをした。

 しかし、あれは君のせいでもあるんだ。

 君の演奏は聞くたびごとに、上手い下手のムラがあり過ぎる。

 つまり、精神がプロではない。」

「はあ・・すみません。」

「大学は?その時の講師は?現在の収入は?生活スタイルは?

 一日の平均練習時間は?」

「えーと、練習時間は一日平均、3時間・・」

「なるほど。それでは上手くなるものもなれないな。」

「・・・」

「とりあえず、君の明日からの1週間を私にくれないか?」

「え?」

「1週間後にある演奏会のバイオリン奏者に、急な欠員が出た。

 君の1週間の努力によっては、演奏してもらってもいいと思っている。」

「・・・」

「良く考えて連絡をくれ。」

「・・・あの!

 脱いだりとかって・・しなくていいんですよね?」

「・・・残念だが、私は君のヌードに全く興味がない。」

「ありがとうございます!」

「原石だ。

 徹底的に鍛え直せば、あれは伸びるぞ。」八尾が呟く。

莉子は、さっそく直輝に電話をする。

「もしもし直輝?弦楽オケ、出られるかもしれないの!

 大きな演奏会でね。

 来週が公演だから、練習しないと。」

「おぉ!良かったじゃん!」

「うん。初めてだよ、こんなチャンス。

 指揮者がすごいんだよ。

 それでね、ドボルザークの弦楽セレナーデやるんだー。」

「・・へー!」

「直輝のお陰だよ。

 直輝が、きっと誰かが聞いてるよって言ってくれたから。」

「おぉ!頑張ってね!」

「うん。がんばるね!

 また夜連絡するね。

 じゃあね。」

電話を切ったあと、直輝は痛む足をマッサージし・・。

公園

足を引きずりながらシュートの練習をする直輝。

シュートは決まらず、苛立ちを隠せない。

厳しいレッスンを受ける莉子。

チームメイトの練習をぼーっと眺める直輝。

上矢家

「大丈夫?」

直輝を気遣う真希子(真矢みき)。

「心配しなくていいよ。入院も一日だけだし、

 今日は松葉杖なくても歩けるし。」

「うん。」

「まあ・・暫く練習は出来ないけどね。」

「・・試合行こうかな!

 よーし!直輝が順調に回復して試合出られるようになったら、

 母さん試合応援に行く!」

「え?ママようやく行く気になったの?」と妹。

「だって、こんなに大変なことばっかりあったらよ、

 もうこの先はきっといいことばかりに決まってるじゃない!

 私が直輝の応援に行ってもきっと、勝てると思うの!」

「何だよそれ。」直輝が嬉しそうに呟く。

その夜

「なんかあの公園以外で会うの、はじめてじゃない?」と莉子。

「そういえば、そうだよね。」

「なんかデートみたい。」

「デートじゃないの?」

「そうか!デートだ!

 そうだ。麻衣がこれ見せてくれたんだー。本屋で見つけたんだって。」

それは、アークスの記者会見が載った雑誌。

「チームの代表選手なんてすごいね!カッコイイ!」

「・・・なんか、こう見ると、うちのユニフォームって目立つよね。」

「うん、目立つ!

 いよいよだね。楽しみだなー。」

「・・・俺さ・・」

「うん?」

「・・やっぱいいや。」

「何?」

「いや・・演奏会の練習どう?」

「あー、それがすっごい厳しいんだよねー。

 大きな団体がやってる演奏会なんだけど、

 毎日ダメ出しとかすっごいされて、

 自分のダメさに結構落ち込む。」

「そんな大きなところなんだ。」

「うん。まだ出演のOKは貰ってなくて。

 ・・・やっぱりダメかなぁ・・。」

「・・・」

「本当はね、もう田舎に帰ろうかなって思ってたんだ。」

「え?」

「お母さんに、もう夢諦めて帰ってきたらって言われちゃって。

 もう限界かなーって。

 でも今は、もうちょっと頑張ってみようって思ってる。」

「そっか。

 ・・そうだよな。

 チャンスがある限りは、頑張らないと。」

「うん。

 それに、直輝の近くにいたいし。」

少しじゃれあったあと、直輝は莉子を後ろから抱きしめる。

「もうちょっとしたら・・練習戻らないと。」

「・・そうか。」

キスをねだる莉子に直輝は微笑み、そしてキスをする。

二人は幸せそうに寄り添い・・。

莉子のバイオリンを聴く講師。

「音が明るくなったわね。

 でも、音程はもう少し良くなるかしら?」

「はい。もう一度お願いします。」

その頃、直輝は体育館で廉(金子ノブアキ)と一緒になる。

「この間は・・急に殴ったりして悪かった。」

「・・・今から手術?」

「・・ああ。」

「・・・」

「あのさ。

 宇都さんって、本番になればなるほど強いんだ。

 大事な試合で競ってるときにパス回すと、必ず決めてくれる。

 だから、もっと信用して回していいよ。

 あと、ラリーは左目の視力が弱いから、こっち側のパスが 

 あんま通らない。

 その代わりに、逆だと、かなり高めに出しても、手が長いから

 必ず通る。」

「何でそんな話・・」

「お前がやるしかないんだよ。」

「・・・」

「アークスが勝つには、お前が必要なんだ。

 だから・・もっと周り信用しろよ。」

「お前に言われる筋合いねーんだけど、」

「勝つためにここに来たんだろ?」

「・・・」

立ち去ろうとする直輝に廉が言う。

「ネズミなんて大したことねーだろ?」

「・・・」

「だから・・・お前こそブツブツ言ってねーで、

 さっさと治して帰ってこい。」

「・・俺が戻ってくるまでしっかりやっとけよ。」

そんな二人をチームメイトが見守っていた。

みんながそれぞれ、直輝にエールを送る。

「行ってきます!」

直輝も笑顔で答え・・。

病院

菜月に付き添われ、直輝は手術に向かう。

そんな中、莉子は、八尾たちの前でレッスンの成果を披露する。

演奏を終えた莉子に八尾が言う。

「柔らかな魅力を感じるが、音に迫力がない。」

「・・・」

「が、今回はその可能性を信じよう。」

「・・・」

「コンサートまであと4日。しっかり練習したまえ。」

「・・・ありがとうございます!!

 頑張ります!!」

莉子はすぐに直輝に「受かった!」とメールした。

アパートに戻った莉子は、さっそく麻衣にも報告した。

莉子の成功を喜ぶ麻衣。

「あのさ、莉子。

 ・・やっぱり、聞いてない?」

「え?」

「今朝秀治君から聞いたんだけど・・

 上矢君、今日手術するって・・」

「え・・手術・・」

 

病院に駆け付けた莉子は、直輝の病室に入ろうとして立ち止まった。

部屋に、菜月の姿があったからだった。

「あのさ、」と直輝。

「うん。」

「ありがとう。

 俺、菜月のお陰で、手術の決心ついた。」

直輝の言葉に微笑む菜月。

「薬効いてきたみたい。ちょっと寝よっかな。」

「おやすみ。」

「おやすみ。」

そこへ、真希子と優里(大政絢)がやってきた。

真希子から声をかけられ、とっさに病室の前から離れる莉子。

「どうもご無沙汰しています。」

菜月は真希子たちに挨拶したとき、莉子が来ていることに気づく。

「本当。久しぶりね。」と真希子。

「あの・・私・・本当に・・本当に、申し訳ありませんでした。」

「え?」

「私が、直輝さんと別れたから。

 私が、直輝さんをちゃんと見ていなかったからこんなことに・・」

「そんな!

 怪我のことは、菜月ちゃんに関係ないわよ。」

「いいえ。私やっぱり直輝さんと別れるべきじゃなかった。」

「あー・・」

「私・・・まだ直輝さんが好きなんです。

 忘れられないんです。」

「・・・」

「後悔しています。

 失って・・ようやく気付いたんです。

 私には・・直輝しかいなかった。

 片思いでもいいんです。

 こうやって・・同じチームの仲間として・・側にいられるだけで・・。」

涙ぐむ菜月を優しく抱きしめる真希子。

「もう泣かないの。ね、菜月ちゃん。」

「私これからも直輝さんを見守り続けたい。

 いつかまた、直輝さんが私を必要だって思ってくれるように。」

「ええ。私も陰ながら応援しているから、ね!」

「お母さん・・ありがとうございます。」

病室の前で二人の会話を聞いていた莉子は、

涙ぐみながら立ち去る。

そんな莉子を菜月は見ていて・・。

目を覚ました直輝は、莉子のメールに気付き、自分のことのように喜ぶ。

『莉子へ

 演奏会のこと、おめでとう。

 なんか自分のことみたいに嬉しいよ。

 今はきっと練習中かな?

 実は、俺は今日、脚の手術をしました。

 大変な時に心配掛けるのがイヤだったんで、

 事後報告になったけど。

 無事にネズミは取り出せました。

 これからはリハビリの日々が始まります。

 試合には暫く出られそうにありません。

 莉子にすぐに試合を見せられなくて残念。

 でも、休んでみて、新たに見えるチームのいい面や、

 弱点もいっぱいあって、

 これも勉強かなって思っています。

 だから、俺の事は心配いりません。

 演奏会、すげぇ楽しみにしてる。

 がんばってね。直輝。』

『直輝へ

 ありがとう。

 足、大丈夫?ムリはしないでね。

 明日は精一杯がんばります。

 大好きだよ、莉子。』

演奏会の日、会場には、麻衣はもちろん、莉子の両親、

光男(野村信次)と晴美(手塚理美)の姿もあった。

ドレス姿でステージ現れた莉子は、会場に目をやり直輝の姿を探した。

するとそこに、スーツ姿の直輝が松葉杖をつきながらやってくる。

直輝の姿に微笑む莉子。

直輝は笑顔で敬礼をしてみせる。

指揮者の合図で演奏会が始まる。 

莉子たちは素晴らしい演奏を聴かせ、喝采を浴びた。

会場のロビー

直輝は演奏を終えた莉子にヒマワリの花束を手渡した。

「おめでとう!」

「ありがとう!嬉しい。

 ね、足大丈夫?」

「うん。

 なんか、いつもの莉子じゃないみたいで緊張する。」

「服のせいかな。メイクもいつもより濃いから。」

「うん。

 でも、キレイだよ。」

「ありがとう。

 さっきね、理事長に、このコンサートを主催している財団の

 オーケストラに誘われたんだ。

 軽井沢で優秀な若手音楽家を集めてやっているオケで。」

「すごいじゃん!」

「うん。あ・・でもね、それに行くとすごい大変なの。

 一日に10時間以上みっちり練習して、

 コンスタントに演奏会もあるし。

 来週から1年以上、軽井沢に住むことになる。」

「・・・来週から?」

「だからそれは行かない。

 直輝に会えなくなっちゃうし、バスケの応援も行けなくなっちゃう。」

「・・・でも、」

「私、直輝の側にいたいの。

 誰よりも近くにいたい。離れたくないの。」

「・・・」

「幸せだったなー。一生に一回でも、クリタヒロフミさんの指揮で、

 こんなに大きなオーケストラで弾けて。

 直輝にも聞いてもらえて。」

「・・・」

「・・私、それだけで本当に幸せ。

 これからも直輝の側で、バイトしながらオーディション受けて、

 バイオリンもっとがんばる!」

「・・・うん。」

関係者に呼ばれて戻っていく莉子を、直輝は複雑な表情で見つめ・・。

家に帰った莉子に、麻衣は言う。

「本当にいいの?軽井沢行かなくて・・。」

「・・うん。本当は私、自信がないんだ。」

「え?あんないい演奏会だったのに。」

「違うの。

 直輝と離れて、直輝の心を繋ぎとめておく自信がないの。

 それにあの人、菜月さんは、私よりずっと直輝の近くにいて、

 直輝のことよく知ってる。」

「そんな過去の女心配したってしょうがないでしょ。」

「だって怖いんだもん。離れるのが・・。

 だからこれでいいの!」

その夜、いつもの公園

シュートを決めた直輝に莉子が拍手を送る。

「こんばんは!」

「こんばんは。

 ノーメークだ。」

「うん。

 今日は長時間厚化粧で息苦しかったから取っちゃった。

 あ・・してた方が良かった?」

「ううん。その顔が一番好き。」

「本当に?

 そういえば、直輝とここで初めて会ったときもノーメイクだったな。」

「そうだっけ。」

「うん。」

「そうだったか。」

「なんか懐かしいね。」

「うん。

 そん時に初めて、莉子の演奏を聴いた。」

「そうだ。

 なんか今日は、夢見たいな一日だったなー。

 あの時は、何もかも上手くいってなくて・・。」

「うん。俺も、上手く行ってなかった。

 大丈夫、俺は強い俺は強いって思い込もうとして・・ 

 でも本当の自分は弱くて、試合も勝てなくて、

 契約も思うように行かなくて。

 夢って言葉に押しつぶされそうで・・

 そんな夜に、初めてここで莉子に会った。

 素人のくせに、ファンになるって。

 俺のバスケ褒めてくれる莉子に会えた。

 俺は強いって・・・怒鳴ってくれる莉子に会えた。

 ・・・今の俺の夢を支えてくれているのは・・莉子なんだよ。」

「・・・」

「だから・・・

 莉子にも行って欲しい、軽井沢。」

「・・・」

「莉子にも・・夢を追い続けてほしい。」

「・・イヤだよ!だって私は直輝と!」

莉子を抱きしめる直輝。

「大丈夫だよ。

 離れてても、ずっと莉子のこと応援してる。

 俺も、莉子の一番のファンなんだよ。」

「・・・」

「頑張れよ。

 頑張ろうぜ。

 俺達さ、もう、夢見てるだけじゃいられない年になってきたけど、

 ちゃんと現実と向き合わなくちゃいけない年になってきたけど・・

 俺達・・・

 最後まで諦めないで頑張ろう。」

「・・・」

泣き出す莉子の頭を優しく叩く直輝。

「行って来い。軽井沢。」

「・・・うん。わかった。」

莉子は無理に微笑み答えると、直輝に箱を渡す。

「あげる。

 シールが溜まったの。

 こんな話になるんだったら、もっと、カッコいいプレゼント・・

 用意しておけば良かった・・。」

「嬉しいよ。」

「・・そうだよね。

 ・・・最後の最後まで諦めないって・・

 直輝と・・約束したもんね。」

「離れてても・・・

 莉子がいると思うと、強くなれる。」

「・・私もなれる。

 私も、強くなる。」

直輝が頷く。

「もう会わない!

 会ったら別れが、辛くなるから。」

「・・・」

「・・・さよなら。」

「・・・さよなら。」

莉子は敬礼し、そして泣きながら公園を立ち去る。

そんな莉子の後姿を見つめながら、直輝は莉子との思い出を思い返し・・

直輝も涙を浮かべながら、公園を立ち去った。

え~~~っ!

一年間軽井沢で過ごさなければいけないという契約のようですが、

軽井沢と東京なら日帰り出来るのに!遠距離恋愛はダメなの?

この距離で二人を引き裂くのには無理があるような気がしてしまった。

でもどちらかを海外に行かせる設定にしたとしても、

似たようなドラマはいっぱいあるし、仕方なかったのかなー。

多分今の直輝は大好きな人に側にいて自分を支えて欲しいと

いう思いもあったでしょう。

恋人の夢を応援しようと背中を押す直輝は立派でした。

莉子と直輝、川崎さんに同じことを話していたんですね。

川崎さんも大人の対応でした。

直輝は菜月との恋をちゃんと終わらせ、

そして廉にアークスでの自分の役回りを託しました。

そんな直樹に、廉もエールを送る。

この二人、いいライバルとなりそうですね。

菜月は莉子がいるのに気付きながら、真希子の前であんなことを

言うなんて・・。

本心なのかもしれないけれど、ちょっと菜月が嫌いになりました。

宇都宮さんはやっぱり菜月が好きなようです。

こちらも上手くいってほしい!

次週最終回!75分SPです。

第十一回

『旅立ち』

直輝(山下智久)は、オーケストラのバイオリニストになるチャンスを

諦めようとしていた莉子(北川景子)に、最後まで夢を追ってほしい、

と助言する。

莉子は、音楽財団の理事長・八尾(升毅)に認められ、軽井沢で活動する

オーケストラに誘われていたが、直輝と離れたくないという思いから

その話を断ろうとしていた。

直輝の思いを受け止めた莉子は、軽井沢に行くことを決意し、

別れが辛くなるからもう会わない、と彼に告げてその場を後にした。

「あれから、2週間が経っていた。」

 

直輝は、チームメイトの秀治(溝端淳平)から、莉子が明日軽井沢に

出発することを教えられる。

「明日からか・・・。」直輝が呟く。

一方、莉子は、音楽だけに集中するために携帯電話も解約していた。

莉子の行動に驚く麻衣(貫地谷しほり)に、

「中途半端な気持ちだったら音楽なんかやるなって、

 八尾さんに何回も言われたんだ。

 その通りだと思う。

 私、多分今までどこか自分に甘かったんだよ。」

「何よそれ・・。

 私莉子と一緒に試合の応援行こうと思って、

 Tシャツとスティックまで買ったんだよ・・・。」

「ごめんね。一緒に試合行けなくなって・・・。」

「・・・莉子とこうやってバイトするのも・・・今日が最後か・・・。」

ロッカールーム

莉子の携帯に電話をしてみる直輝。

「お客様のお掛けになった電話番号は、現在使われていません」

というアナウンスに戸惑い・・・。

最後のアルバイトを終えた莉子は、世話になった書店の店長・

小牧祐介(川端竜太)に挨拶をする。

するとそこに、祐介の妻・雪乃(ちすん)がやってきた。

「あれ?前に駅ビルで演奏していませんか?確か夏ごろ・・・。」

「あ・・・はい。」

「なぜかうちの弟が、演奏していた人にひまわりの花を渡そうとしてて。

 まあ結局渡しそびれて子供にあげてたけど。」

「へー。直輝君らしい話だね。」と店長。

「直輝!?」

「うん。」

「店長上矢君のこと知ってるんですか?」と麻衣。

「いや、知ってるも何も・・・。そっちこそ何で?」

「ひまわり・・・」

莉子はそう呟くと、店を飛び出す。

莉子を追いかける麻衣。

「莉子、どうしたのよ・・・。」

「麻衣!ないよ、携帯が。直輝の番号!」

「自分で解約したんでしょ?

 待って。今私が秀治君に聞いてあげるから。」

「・・・ダメだ。」

「え?」

「やっぱりダメ。

 あのひまわりが、直輝からなら、余計に私頑張らなきゃいけないんだよ。

 直輝はあの頃から、私のバイオリン応援してくれてた。 

 直輝は、私に夢に踏み出す勇気をくれたの。

 だからいいの。・・・これでいいんだよ、きっと。」

「・・・本当ね?本当にいいのね。」

「・・・うん。ありがとう、麻衣。」

莉子は、直輝と話したいという思いを必死に抑えて、

改めて真剣に音楽に取り組むことを決意する。

出発の前日、麻衣と莉子はそれぞれ今までの恋愛歴を振り返る。

直輝の携帯を拾ったこと。そして川崎と出会った事。

二人は思い出話に花を咲かせ・・・。

「あーあ。こうやって見るとさ、この夏は事件が多かったね。」

「そうだね。その前の2年間なんか、ほとんど何もなかったのにね。」

「ほんと。

 でもここに引っ越してきて、莉子と一緒に住むようになってからじゃない?

 ていうことは、このアパートはラブ運いいのかもしれない。」

「そうだね!本当にいろんなこと、麻衣と語り合ったよね、この夏。」

「そうだねー。

 ・・・たった半年だったけど、莉子といっしょに暮らせて、

 二人でいっぱいいっぱい恋の話をして、

 一緒に泣いたり笑ったり。

 私本当に楽しかったよ・・・。」麻衣が涙ぐむ。

「うん。私も楽しかった・・・。」

「莉子やっぱり行かないでよ~。やだよ~。」

「麻衣~。私もやだ~。」

「僕も悲しいです~。」

3人はティッシュで涙を拭う。

上矢家

直輝が家に帰ると、母・真希子(真矢みき)は菜月が持ってきてくれた

サプリメントを見せる。

「骨にいいサプリメントなんですって!

 やっぱり、いい子よねー、菜月ちゃんって。」

「だよねー。どうして別れちゃったのかなー。」と優里(大政彩)。

「お前は、試験勉強しなさい。」と直輝。

「はい。」

「でもまぁ・・・私も、復縁はありだと思うけどね。」

「・・・ていうかさ、」

「うん。」

「男と女って何なんだろうね。」

「え?何急に。演歌みたい。」

「母さんはさ、一度は父さんのこと好きになったわけでしょ?

 でも、別れた訳じゃん。

 人間って複雑だなーって。」

「どうしたのよ直輝。

 まあ確かに、多少は失敗したかもしれないけど、

 でも私、恋愛に後悔はないわよ。

 いつも全力投球だったもの。

 好きです!」

「そう。」

「そうよ。

 あー、不思議。直輝とこんな話をするなんて。」真希子が笑う。

「まあ俺も・・・24だからね。」

「そうかー。直輝も恋愛がファンタジーじゃないって

 気付く年になっちゃったのね。」

「うん。

 ・・・あのさ。」

「うん。」

「俺見つけたんだ。」

「うん?」

「前に母さんが言ってた、本当に、心から安らげる女の子。」

「・・・」

「でも、彼女も、大事な夢を持ってて。

 もちろん応援したいと思うし。

 でも離れたくないし。

 俺のせいで夢諦めるなんて、あり得ないし。」

「そう。

 ふーん。大事な子なのね。」

「うん。」

「じゃあ、その気持ち信じてみれば?

 恋は辛いって諦めるのは簡単よ。

 でも、諦めないで信じていれば、もしかしたら、

 信じている人だけに見えるキラキラっとしたものが

 見つかるかもしれないじゃない。」

「キラキラっとしたもの?」

「そうよ。

 直輝も子供の頃から言ってたじゃない。

 バスケは、最後の最後まで諦めちゃダメだって。

 勝つって信じてたら、絶対勝てるんだって。」

「うん。」

その夜、直輝はいつも公園に行き、莉子の部屋の窓を見つめ・・・

そして、あの看板の前に立つ。

翌朝。

莉子は、公園の大きな看板に直輝からのメッセージが書かれている

ことに気づく。

『夢に向かってガンバレ!

 1番のファンより』

「うそ・・・。

 ・・・ありがとう、直輝・・・。」

涙を浮かべながら、その看板を見つめる莉子。

出発前、莉子は、看板の写真をデジカメで撮り、敬礼をし、

軽井沢へと向かった。

「そして、俺達の夏は終わり・・・

 2009年、レギュラーシーズンが始まった。」

PBAの2009年シーズンが開幕する。

JCアークスのヘッドコーチ・川崎(伊藤英明)は、

宇都宮透(永井大)、代々木廉(金子ノブアキ)、守口修斗(青木崇高)、

佐賀弘明(石田剛規)らをコートに送り出した。

そのころ直輝は、完全復活を目指してひとりリハビリを続けていた。

2010年初夏

アークスは、復活した直輝の活躍で快進撃を続け、

プレーオフ進出を果たす。

その夜の打ち上げ会場

チームメイトたちは直輝と菜月が元サヤに戻るのではと噂する。

そこへ、直輝と菜月が合流する。

菜月は一年前直輝にプロポーズされたことを思い出していた。

寂しそうな菜月の横に宇都宮が立つ。

「宇都さん!」

「良かったね。直輝とその・・仲直りできて。」

「え?仲直りって・・

 宇都さんこそ、社長が持ってきたお見合いの話、どうしたんですか?」

「いや、受けないよ。結婚する気なんてないし。」

「まったくー。みゆき先輩が結婚してもう3年ですよ。」

「・・・」

「先輩のチア懐かしいなー。」

「いや。俺が好きなのは、3年前から別の女性なんだ。」

「そうだったんですか!?」

「うん。

 まあ相変わらず、片思いなんだけどね。」

「そうなんだー。

 宇都さんに片思いされるなんて、幸せなんですね、その人。」

「ならいいんだけどね。」宇都宮が微笑む。

菜月は意外と鈍感です。(笑)

一方、先輩の東京公演を手伝うため、久しぶりに上京した莉子は、

秀治と一緒に歩いていた直輝の姿を目撃する。

直輝を追う莉子。

だが直輝たちは莉子に気付かずバスに乗ってしまった。

莉子は必死に追いかけるが二人を乗せたバスは距離を離していく。

莉子は麻衣の待つアパートを訪れる。

「へー!秀治君試合に出られたんだ!」

「そうなんだよー!開幕半年でやっとだよ!

 まあ正味3分ぐらいでさ、あまり活躍できなかったんだけど。」

「そうなんだー。ね、アークスって最近調子どうなの?」

「どうってファイナル出場だよ!

 なんか上矢君がすごいのよ!

 3ポイントの確率60%みたいな!」

「それって、いいの?悪いの?」

「すごーくいいんだよ。60%は。

 あーあ。何でテレビ中継やらないんだろう。

 今どきさ、野球とか相撲とか見たい人ってそんなにいると思う?

 少しぐらいバスケに放送時間分けてくれてもいいと思わない?」

「なんか麻衣すっかりバスケ愛好家だね。」

「基礎知識はもうバッチリ!

 で?莉子は最近どうなのよ。」

「うん。これこの間軽井沢でやった演奏会の写真。」

「キレイね~!

 うん?何なの?この美しい人!」

「あー。先輩のチェリスト。

 ・・・いやいや、恋とか全然してないからね。

 私が今恋してるのは、モーツァルトとカバニーニと、

 チャイコフスキーだけ。」

「ロマン派嫌いじゃなかった?」

「うーん、今でも苦手だけど、でもまあ演奏の解釈は楽しくなってきた。」

「ふーん。」

「そっかぁ。直輝も頑張ってるのか。」

「・・・

 はい。試合日程表。」

「・・・」

「連絡ぐらいしたら?もう半年だよ。」

「うん。

 ・・・でもまぁ、直輝と私の運命は、交わらないのかな・・・。」

「え?」

「あー、なんか、又麻衣と演奏したいなー。」

公園

あの看板を見つめる莉子。

直輝からのメッセージは消されずにそのまま残っていて・・・。

「頑張ってるよ。」

莉子が呟く。

その帰り、莉子は代々木体育館のそばで偶然、川崎と再会する。

「莉子ちゃん!」

「川崎さん!」

「今から千葉で試合なんだ。

 協会の用で俺だけちょっと遅れちゃってさ。」

「千葉で試合なんですね。」

「そう。

 それに勝ったら、いよいよここで決勝戦だ。」

「へー!」

「見に来ないの?」

「行きたいんですけど、レッスンが。」

「そっか。

 麻衣ちゃんから聞いたよ。

 携帯も解約して一人で軽井沢で頑張ってるって。」

「はい。」

「・・・直輝も、頑張ってるよ。

 今シーズンのあいつはいい。実に楽しそうにバスケをしてる。」

「そうですか。

 私、あの時、少しでも直輝の声聞くと、

 軽井沢行きたくなくなっちゃいそうで。

 夢なんか簡単に捨てられそうで。

 だから、携帯やめたんです。

 ・・・弱かったんです。

 弱い自分が嫌だった。

 だけど、軽井沢に行ってみて、私はやっぱりバイオリンが

 大好きなんだって気付けて、大変だけど、今は毎日幸せです。」

「そっか。それは良かった。

 俺だったら、バイオリンはいいから、俺の側にいろって、

 莉子ちゃんのこと引き止めてたかもしれないな。」

「私、直輝が頑張ってこいよって言ってくれて嬉しかったのに、

 自分から連絡を絶ってしまって。

 半年も離れてて、声も聞けなかった。

 私のことなんてもう、忘れちゃってるんだろうなー。」

「・・・そうかもしれないね。」

「・・・」

「人生の先輩が思うに、運命の男と女が出会って結ばれる可能性は・・・

 そうだな・・・。

 第4クォーターにブザービートを決めて、逆転優勝するより低い。」

「ブザービート?」

「うん。知らない?

 試合終了やピリオド終了のブザーが鳴ると同時に、

 放たれたシュートが決まる事を、ブザービートっていうんだ。」

「へー。そんなことってあるんですか?」

「うん。あるよ。

 どんなに不利な状況でも、無理そうな夢でも、

 諦めなければ、きっと道は残されている。

 ・・・俺が、莉子ちゃんを落とす道もね。」

「それは・・・ないです。」

笑い合う二人。

「久しぶりに話せて楽しかったよ。」

「私も楽しかったです。ありがとうございました。」

「・・・そうだ。嘘はつかないって言ったから、最後に一言。

 直輝は、莉子ちゃんのことを、まだ思ってるよ。」

川崎はそう言い、莉子の前から立ち去った。

アークスはセミファイナルを勝ち上がり、ファイナル進出を決める。

ある日、直輝が自主練習をしていると、菜月がやってきた。

「直輝・・・私、今なら信じられる。

 直輝の夢。」

「・・・」

「あの頃は、叶うはずないって苛立って、

 自分の夢とか将来を押し付けて、直輝を傷つけたけど・・・

 今なら・・・心から信じられる。

 私直輝が好きなの。」

「・・・」

「私とじゃ・・・幸せになれない?」

「・・・

 菜月は幸せになれるよ。

 でも・・・その相手は俺じゃない。」

「・・・」

「菜月はすげーいい女だし、俺、菜月にカッコイイ男って思われたかったんだ。

 頼れるって思われたくて、自信ないときでも、カッコつけて。

 プライド守るのに必死だった。

 自分のことばっか考えて、菜月が何に悩んでいるのかも

 わかってあげられなくて。

 ほんと・・あの頃はごめん。

 でも、俺・・・」

「チッ。」

「うん?」

「ったくー。優しいね、優しすぎでしょ!

 そんなだから、嘘つかれたり浮気されたりすんのよ。」

「え・・・」

「でもまぁ、あの子はそんなことしないか。

 私ね、莉子ちゃんに言われたんだ。

 直輝の夢は、絶対に叶うんだって。

 行くんでしょ?あの子のとこ。」

「うん。」

「じゃあ、今度フレンチトーストの作り方だけ教えて。

 あれだけは・・・自分で作ってもどうしてもうまくいかなくて。」

「うん。OK。菜月なら、きっと上手く出来るよ。」

「・・・当たり前でしょ。

 あ、それと、さっきの嘘だから。

 私・・・もう直輝のこと、男としてなんとも思ってないし。」

「なんだそれ。」

涙を堪えて直輝に微笑みかける菜月。

「優勝してね。

 誰かの為じゃなくて、自分の、大事なプライドのために。」

「ありがとう。」

直輝が帰っていくと、菜月は堪えていた涙を溢れさせる。

そこにやってきたのは宇都宮だった。

「菜月・・・どうしたんだよ。」

「・・・そっちこそ、どうしたんですか?」涙を隠して答える菜月。

「俺はただ、練習に・・・。」

「まだですか?いつもバスケバスケって。

 そんなだから、男が好きとか、噂されるんですよ。」

「・・・じゃあ・・・菜月が付き合ってくれよ。」

「え!?」

「・・・一緒にケーキでも。」

「・・・いいですよ。美味しいお店見つけたんです。」

二人は明るく微笑み合い・・・。

麻衣は、秀治のためにカツ丼を作っていた。

「うわ!カツ丼だ!」

「いただきます!」

「いただきます!」

「・・・麻衣さん。」

「うん?」

「・・・」

優勝したら結婚してほしい、と言いたいがためらう秀治。

「あのー、直輝さんと莉子さんって、

 やっぱりもう終わっちゃったんですかね。」

「・・・さあ。どうだろうね・・・。

 秀治君。優勝したら・・・結婚するよ。」

「え・・・」

「だからカツ丼食べて明日も頑張ってね!」

「・・・はい!!

 カツ丼美味しい!

 絶対これ食って優勝します!

 優勝して、麻衣さん幸せにします!結婚して下さい!」

「はい!」

微笑ましい逆プロポーズでした。

川崎と一緒にランニングする直輝。

「今日ぐらい体休めろって言っただろ?」

「なんか、落ち着かなくて。」

「焦るなよ。お前は、去年のお前とはもう違うんだ。

 優勝すれば、MVPだって狙える!」

「狙ってます!

 川崎さん。」

「うん?」

「莉子のこと、迎えに行ってきます。」

「よし!行って来い!」

「はい!」

 

直輝は、莉子に会うために軽井沢を訪れた。

だが、莉子はレッスン中だった。

終電の時間まで待っていた直輝は、スタッフに一輪のヒマワリの花を

託して、その場を後にした。

寮に戻った莉子は、スタッフからひまわりの花を受け取る。

それが直輝からだと気付き、莉子は慌てて外へ飛び出していくが、

直輝は既に帰ったあとだった。

 

東京に戻った直輝は、あの公園で。

そこでは秀治がバスケの練習をしていた。

「付き合おうか?」

「直輝さん!」

「びっくりしたよ。こんな時間までバスケの練習してるなんて。」

「いや、僕も優勝したいですから。・・・結婚もあるし。」

「え!?」

「あいや・・でも良かったです。

 直輝さんが、僕の憧れている直輝さんになってくれて。」

「まあ確かに、俺も崖っぷちだったからな。」

「ほんとそうっすよ。

 去年の今頃なんて、せっかく試合に出てんのに、

 何でこんなにヘタレなんだって、」

「オイ!お前本音過ぎるだろ、それ。」

「すみません。」

「ま・・確かに・・ちょっとヘタレなとこあるね。

 せっかく軽井沢に行ったのに会えなかったし。」

「え!行ったんですか?莉子さんのとこ。」

「うん。

 莉子は莉子で、ちゃんと頑張って、夢に近づいてた。

 それがわかって良かった。」

あの看板を見つめる二人。

「僕、引っ越してきた時から、これ見てずっと思ってたんですけど、

 恋って、人を強くするんですかね。」

「・・・わかんない。

 でも・・・俺はやるよ。

 次は俺の番でしょ。」

直輝はそう言うと、秀治と練習を始める。

そして・・・

アークス対ハーツの決勝戦が幕を開けた。

観客席には、真希子や優里はもちろん、雪乃や祐介、

陽一(加藤慶祐)たちの姿もあった。

軽井沢、

「ファーストコンサートまであと1週間だ。

 しっかりやってくれ。」と八尾。

「はい!」

「Are you ready?」と外国人指揮者。

曲を奏でる一同。

ところが莉子は突然弾くのを止めてしまう。

「Ms. Shirakawa!

「・・・」

「どうした!?」と八尾。

「・・・私、行かないといけないんです。」

「はぁ!?何を言ってるんだ、白河。」

「大事な人の、大事な時なんです!

 応援に行かなきゃ。

 今会いに行かないといけないんです。」

「・・・」

「Do you really love the young man?

「Yes, I do. So much.

「Everything is O.K. Love makes you strong.

「・・・ありがとうございます!!」

莉子は会場を飛び出し・・・。

試合は、一進一退の攻防の末、アークスがリードを許したまま

残り1分となっていた。

シュートの際にファウルを受け、倒れる直輝。

残り時間30秒で直輝のフリースローとなったそのとき、

静まり返る会場に、莉子の声が響き渡る。

「ちょっとー!

 そこの8番!!

 ちゃんと来たから!

 ちゃんとファン1号が、応援に来たから!

 ちゃんと勝ちなさいよ、バーカ!!」

「バカって・・・。

 あれ?もしかしてあの子が・・大事な子?」と真希子。

「莉子ってば・・・。

 テレビ中継なくってほんっと良かった・・・。」と麻衣。

莉子の叫び声に思わず笑みをもらした直輝は、

「俺は強い・・・。」

そう呟くと、落ち着いてゴールを決めた。

 

ハーツのボールで試合が再開した。

残り数秒でパスカットに成功した廉、

「直輝!!」

と直輝にボールを回す。

直輝はそのままゴールにボールを放ち、見事、ブザービート決める。

アークスの逆転優勝だった。

チームメイトと抱き合い喜びを分かち合う直輝。

秀治は客席の麻衣の名前を叫び、

守口は客席の家族を見つめながら結婚指輪にキス、

1番と人差し指を天井に突き上げると、

みんなは川崎コーチを胴上げする。

菜月を肩に担ぎ上げる宇都宮。

そして直輝は、客席にいる莉子の元へと駆け寄った。

「久しぶりに会ってバーカはないだろ。」

笑い合う二人。

「・・・でも、莉子のお陰で強くなれた。」

莉子を抱きしめる直輝。

「もう離さない。」

そう言い彼女にキスをし、微笑み合い・・・。

莉子と菜月の違い、直輝と川崎さんの違いが最後にはっきり

描かれていて、分かりやすかったです。

菜月が直輝に対して未練タラタラなのは意外でした。

好きな人の夢を諦めさせて現実に向き合わせるのも愛の形なのかも。

でも直輝に必要なのは、自分の夢を応援してくれる、

一番のファンとなってくれる人だった。

自分と莉子の違いに改めて気付いた菜月は、強がりながら

身を引きました。

そんな菜月のことを宇都宮さんは丸ごと受け入れてくれることでしょう。

自分なら莉子に夢を捨てさせていたかも、と川崎さん。

直輝と自分の決定的に違うところに気付き、

最終的には二人を心から応援する、という流れにも納得です。

好きな人の夢を一緒に信じて支えあう莉子と直輝。

離れていても、お互いの存在に勇気をもらい、頑張りあえる。

素敵な関係ですね。

でもそんな二人はすれ違ってばかりでなかなか会えず・・・。

直輝はオフを利用して軽井沢に会いにやってきました。

そして莉子は、合同練習をすっぽかしてしまう形で代々木体育館へ。

この設定はちょっともったいなかったなぁ。

合同練習の最中に抜け出したら他の人たちにも迷惑が掛かるのでは。

それに八尾さんも呆れ顔だったような・・・。

外国人の指揮者は

「Everything is O.K. Love makes you strong.

と言っていました。

秀治君が直輝に聞いていた質問、

「恋って人を強くするんですかね。」

この答えをこの指揮者が教えてくれました。

最後の試合のシーンはバスケ初心者な私ですが見ていてワクワク!

代々木廉の「直輝ー!」も嬉しかったです。

夢に一歩近づけた二人は、これからも東京と長野、

遠距離恋愛を続けていくんでしょうね。

最後に莉子に練習をすっぽかさせたのが残念でしたが、

なかなか楽しめる恋愛ドラマでした。

菜月を現実的な女の子に描いたことが成功の1つだと思いました。

ところで、麻衣と莉子の住んでいたアパート、

ラブ運のあるマンション、と麻衣が言っていたけれど

これって、『ロング・バケーション』の瀬名のマンションと同じ場所、

という設定なのかなーと思ってしまった。

調べてみたけれど、あの建物はもう壊されてしまっているんですね。残念!

でも場所はどうやら同じ江東区?

瀬名と南が窓からスーパーボールを地面に投げて受け取るシーンと

莉子の部屋の窓、似ているような気もします。

『ロング・バケーション』が又見たくなりました。

再放送してくれないかなー。

快速回复 返回顶部 返回列表