原発事故が起きた際に甲状腺被ばくを避けるための「ヨウ素剤」について、国の原子力安全委員会の分科会は、事故後に配布する時間はほとんどないなどとして、避難指示などが出る可能性のある原発から30キロ圏内の家庭には、あらかじめヨウ素剤を配布することが有効だとする案を初めて示しました。 東京電力福島第一原子力発電所の事故では、甲状腺被ばくを避けるための「ヨウ素剤」の服用の指示が、事故直後に国から出されず、多くの住民に配布されないなど、課題を残しました。これを受けて、「ヨウ素剤」の服用や配布の在り方について議論してきた国の原子力安全委員会の分科会は、12日、提言の案を初めて示しました。この中で、事故の際に避難指示などが出される可能性のある、原発から30キロ圏内については、事故後にヨウ素剤を配布する時間はほとんどないとなどとして、あらかじめ各家庭に配布することが有効だとしています。ただ、ヨウ素剤については副作用があることから、リスクについてどのように説明し配布するかや、副作用が出た場合に補償をどうするかなどについて検討する必要があるとしています。今回の案について、委員からは「事前に配布すると、なくす人が出る可能性があり、事故後に改めて配る、二重の体制が必要だ」などという意見も出されました。分科会では、早ければ来月の会合で提言をまとめ、委員会が今年度中に予定している、原子力事故に備えた防災指針の見直しに反映させたいとしています。 |